第15話

文字数 594文字

高校に進学した僕は、前髪を目が隠れるくらいに垂らして時代遅れの中ランにボンタン(もちろん貰い物)けど、市内随一の進学校でも、僕には3ランク落として勉強もせずにダントツトップで入った学校だったから、成績はいつも上位。
それでいてロックバンドでボーカルをしてたから、ものすごく変なモテ方をした。
体育で学ラン置いて教室空けると、いつもポッケに薄気味悪い手紙が入っていた。
学校はつまらなかった。
けど親友と「明治大学入ってザ・ガマンに出よう」と約束してたので、バンド活動を楽しみにやり過ごしていた。
ザ・ガマンとは当時のテレビ番組で、6大学対抗でガマンを競い合うというものだった。
明治は強かったし、少し頑張れば受かるだろうと思っていた。
しかし僕が得意な国語の全県模試でトップ、偏差値75を取った事が、僕より少し良い高校を出て大学中退の義父との間に亀裂を作った。
いいコでいるのは得意だった。
義父に報告すると、数学が赤点じゃないかと。
まったく勉強しなかったから、興味のない科目は全然ダメだった。
それでも国語の75のおかげで、校内では4位、もちろんクラスでは1位だった。
「留年したらどうするんだ?」
「そしたら、辞めます」
「なら今すぐ辞めろ」
「わかりました」
それだけ。
担任と母親が泣いた。
知らない。
他人に通わせてもらってる学校。
他人に住まわせてもらってる家。
解放された。
働くんだ。
働くのは、好きだ。
僕は自由だ。
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