第19話

文字数 320文字

今でも僕には理解出来ない。
墮胎は殺人だ。
その理由が金であれば尚更救いがない。
彼女は流産した。
初産では良くある事だと。
けれど、後で僕との子だと知った彼女の父親が腹を蹴ったと、言われた。
僕はもう彼女と居られなかった。
別れて他の女とも妊娠騒動があった。
産んでくれ、頑張るから。
馬鹿のひとつ覚え。
信用がなかった。
いつでも堕ろす決断。
消える命、母体の苦痛。
変わってやれない。
代わりに死にたい。
その度、僕の精神は壊れた。
女は感極まると、「赤ちゃん作ろ、中に出して」と言う。
学んだ。
けど、その時僕は言うなりだった。
だから何度も出来た。
中には水子地蔵を一緒に拝もうと。 
何故産んでくれないのか? 
僕はそんなにダメなのか?
ただの玩具に、質問は許されなかった。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み