第8話

文字数 513文字

はるちゃんお元気ですか?
わたしも来年から中学生になるよ。
今年、そっちへ行った最後の夏休み。
毎日あそこへ行ったんだ。
はるちゃん来なかった。
中学生になって、部活とか忙しいのかな?
それとも、去年わたしがあんな事しちゃったから?
ともあれどきどきして行った最初の日から、わたしがっかりしちゃった。
工事してたんだ。
ガラガラと、わたしたちの秘密基地はたくさんの大人たちに壊されてた。
猫ちゃんたちはもう居なかったよ。
悲しかったけど、毎日見に行った。
わたしたちのあの夏の日がなくなっちゃうみたくて、ただずっと見てた。
壊されて、トラックに積まれて、どっかへ運ばれるわたしたちのおうち。
あそこではるちゃんと子猫たち。
ほんとのわたしが居た。
あれから東京帰っても、あんな気持ちになれなかったよ。
だからわたし、あんなこと。
ごめんね、困ってたもんね。
真っ平らになってからも、居た間毎日あそこではるちゃん待ってた。
わたしたちまだ子供だけど、はるちゃんが好き。
今年会えたらお嫁さんにしてもらう約束するんだ。
そう思って、頑張ってたのに。
住所わからないからあの団地のあたりの住所、お名前で届きます様に。
もう会えないなんて、嫌だよ。

やっぱりお手紙、返って来ちゃった。
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