皐月   黄昏

文字数 662文字

彼氏にしたいなら

ハンサムで優しく

自分を守ってくれてお金持ち

これが多数派な意見であり

中学までの私なら迷わずこう答え

それ以外の男子には

目も向けなかっただろう

しかし

私自信も誰かに告白される事もなく

理想を語れるような

いい女ではない



実際をいうと

周囲のカップルは

いわゆる平凡で一般的な男女だった



会社勤めの姉の彼氏はヒモで

姉がほとんど生活面を世話している

私には到底真似は出来ないし

正直理解に苦しんでしまう



中学の弟には彼女がいるが

一度二人っきりで話した事があった

その時

彼女に弟のどこが好きか尋ねてみると

勉強ができて

将来生活が安定してそうだからという

子供が言う事かと思ったが

大人の恋愛になると

身ごもる立場としては

一理あるのかもしれない



そんな

愚かなまでに恋に溺れる姿と

感情とは無縁の繋がりの

両極端な恋愛模様を

目の当たりにしてる私には

一体何が自分にとって理想か

わからなくなっていた



いや、

それは単に己の本当の気持ちを誤魔化す口実なのかもしれない

恋に失敗した時の

都合の良い

言い訳に過ぎないのかもしれない



私が望む恋愛模様は……




と、

何を本気で考え込んでいるんだと

私は自嘲した

並んだレジの列は

いつの間にか

最前列まで進み

私の頭の中の議題は

ガラスケースに入った

フライドポテトの誘惑から

衝動買いを抑えるための

葛藤に変わっていた



「耐えるのよ舞、今食べたら夕御飯が食べられなくなるのよ。今夜は私の大好物のコーン入りシチューなのよ」

声には出さず

唇だけ動かして

本能的欲求に逆らおうとする



「北里さん、おつかい?」

レジ店員から

思いもよらず話しかけられ

私の身体はびくっとなった

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登場人物紹介

北里 舞 


本作の主人公  

地方住宅街に越してきた 

普通の高校一年だが 

自分の感受性を大事にしている


新田 俊 


舞が買い物帰りに旧住宅街で遭遇する  

バスケをこよなく愛する同級生  

クラスの女子にそれなりにモテる

栗澤   麻都佳 


学校近くのコンビニでバイトする 

舞の同級生にして親友


月成 


麻都佳経由で知り合う事になる

舞の宿敵の同級生 

可愛らしい外見の男子で 

女装してもバレない

織原   香月 


秋冬編から登場 

舞の中学時代の親友だった 

同じ高校に通うも...... 


常磐     景織子 


秋冬編から登場 

香月の親友の美人 

人とあまり関わりたがらない

柏木 

 

どうも景織子が好きらしい別クラス男子


基宏 


舞の中学生時代の思い出に 

出てくる男子

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