皐月 黄昏
文字数 715文字
突然すぎて
一瞬戸惑った私だったが
何気ない素振りを見せた
「ちょっと牛乳を頼まれたの」
「俺にも牛乳頼まれてよ」
男子の冗談に
可愛らしく謹み深く口に手を当て
笑う素振りを見せ
速やかに横を通り過ぎる
「ってか、俺の名前知らないでしょ」
男子達から離れたはずなのに
背後から話しかけられ
面倒な気分になったが顔には出さず
ガラス扉の飲料品を熱心に覗く振りをする
「えーと、まだ男子全員の名前覚えきれてないからなぁ」
「ああ、コイツうちのクラスじゃないから」
ノリの良い男子が割って入る
「え? そうなの?」
眉を寄せて振り向いた私は
思わずおばちゃん口調になっていた
別クラスの男子に
肩を回し親指で指し示すノリの良い男子の片手には
バスケ雑誌が握られていた
「部活は一緒だけどな」
腕の筋肉がたくましく
短髪で眉が太い彼の円らな瞳は
輝きに満ちていた
ニキビの目立つ額から
汗雫が色黒の肌を下り
頑丈そうな顎から床に落ちていく
Yシャツは第二ボタンまで外し
灰色のTシャツを露出させていた
いかにもな男子だ
これが茶道部だったら
私はここで牛乳一リットル飲み干そうと思った
「俺の名前くらいは知ってんだろ北里?」
部活男子が私に気をとられているのをいいことに
漫画好き男子はまた本を開いていた
「ええと……新田くん?」
部活男子が深いため息を吐き出す
「また新田か」
「えと……私なんか変な事言った?」
「よりによって新田と名前間違えないでくれよ。確かにアイツはバスケ部のエースだ。いやエースだったよ」
「あっ!」
彼は間違いなく新田ではない
私は新田の事を知っている
正確にはクラスの女子から
新田という男子がいけてると
聞かされた事がある
そんな奴クラスにいただろうか?
そういう話なら
この彼も客観的には十分いけてると思う
一瞬戸惑った私だったが
何気ない素振りを見せた
「ちょっと牛乳を頼まれたの」
「俺にも牛乳頼まれてよ」
男子の冗談に
可愛らしく謹み深く口に手を当て
笑う素振りを見せ
速やかに横を通り過ぎる
「ってか、俺の名前知らないでしょ」
男子達から離れたはずなのに
背後から話しかけられ
面倒な気分になったが顔には出さず
ガラス扉の飲料品を熱心に覗く振りをする
「えーと、まだ男子全員の名前覚えきれてないからなぁ」
「ああ、コイツうちのクラスじゃないから」
ノリの良い男子が割って入る
「え? そうなの?」
眉を寄せて振り向いた私は
思わずおばちゃん口調になっていた
別クラスの男子に
肩を回し親指で指し示すノリの良い男子の片手には
バスケ雑誌が握られていた
「部活は一緒だけどな」
腕の筋肉がたくましく
短髪で眉が太い彼の円らな瞳は
輝きに満ちていた
ニキビの目立つ額から
汗雫が色黒の肌を下り
頑丈そうな顎から床に落ちていく
Yシャツは第二ボタンまで外し
灰色のTシャツを露出させていた
いかにもな男子だ
これが茶道部だったら
私はここで牛乳一リットル飲み干そうと思った
「俺の名前くらいは知ってんだろ北里?」
部活男子が私に気をとられているのをいいことに
漫画好き男子はまた本を開いていた
「ええと……新田くん?」
部活男子が深いため息を吐き出す
「また新田か」
「えと……私なんか変な事言った?」
「よりによって新田と名前間違えないでくれよ。確かにアイツはバスケ部のエースだ。いやエースだったよ」
「あっ!」
彼は間違いなく新田ではない
私は新田の事を知っている
正確にはクラスの女子から
新田という男子がいけてると
聞かされた事がある
そんな奴クラスにいただろうか?
そういう話なら
この彼も客観的には十分いけてると思う