皐月 黄昏
文字数 730文字
「まぁ、アイツの話はいいだろ西島」
小柄な別クラスの男子は身軽そうに
西島の腕から外れて
私に近づいてきた
「アイツの話題は、女子と話すきっかけを作る手段のひとつだ。ここでは目的は達成されているから、必要はない」
「根津お前、友達『だし』に使うのかよ」
「なんと言われようが俺は彼女を作るためなら、手段は選ばん」
彼は飲料コーナーの扉を開けて
中からコーラの小ペットボトルを
取り出した
「ここに牛乳はないぜ。おにぎりとサンドイッチの横を探してみ」
根津は細い目をしていて鼻が高く
頬骨がこけていた
彼女よりも先に
栄養を取る事を
優先させた方がいいのではと思ったが
私は口に出さなかった
うっかり牛乳を薦めて
彼の恋が始まってしまうのは
厄介に思えたからだ
短い髪をオールバックにし
彼もまた
第二ボタンまで外して
ファッションに限界がある
学生服で努力していた
既に臨戦態勢は整っているって訳ね……
私は
彼の開いた襟首から覗く黄色い素肌と
むき出しの鎖骨を見下ろしながら
心で呟いた
「彼氏募集中の友達いたら言ってくれ。もちろん北里でも問題ない」
根津の熱意に圧倒され
私は何も言えず
ただ口を半開きにして
了解のしるしに数回頷いただけだった
根津がまだ何か言おうとした時
お菓子売り場の列から
女子達の笑い声が耳に入った
彼は物凄い勢いで振り向き
学生服の女子達を視野に入れると
私に「じゃあ」と一声かけ
そそくさと女子達の方へ歩いて言った
私は首をかしげると
紙パックの飲料が並ぶ列に向かい
手頃な牛乳を手にした
「知ってるっつーの」
根津の言葉を思いだし苛っとする
間違っても
ああいう男と恋愛には陥らないだろう
好みでもなければ理想の相手でもない
そもそも精神的なスタンスが違い過ぎる
好みの彼氏像かぁ……
普段
無意識に納めていたイメージが
頭に浮かぶ
小柄な別クラスの男子は身軽そうに
西島の腕から外れて
私に近づいてきた
「アイツの話題は、女子と話すきっかけを作る手段のひとつだ。ここでは目的は達成されているから、必要はない」
「根津お前、友達『だし』に使うのかよ」
「なんと言われようが俺は彼女を作るためなら、手段は選ばん」
彼は飲料コーナーの扉を開けて
中からコーラの小ペットボトルを
取り出した
「ここに牛乳はないぜ。おにぎりとサンドイッチの横を探してみ」
根津は細い目をしていて鼻が高く
頬骨がこけていた
彼女よりも先に
栄養を取る事を
優先させた方がいいのではと思ったが
私は口に出さなかった
うっかり牛乳を薦めて
彼の恋が始まってしまうのは
厄介に思えたからだ
短い髪をオールバックにし
彼もまた
第二ボタンまで外して
ファッションに限界がある
学生服で努力していた
既に臨戦態勢は整っているって訳ね……
私は
彼の開いた襟首から覗く黄色い素肌と
むき出しの鎖骨を見下ろしながら
心で呟いた
「彼氏募集中の友達いたら言ってくれ。もちろん北里でも問題ない」
根津の熱意に圧倒され
私は何も言えず
ただ口を半開きにして
了解のしるしに数回頷いただけだった
根津がまだ何か言おうとした時
お菓子売り場の列から
女子達の笑い声が耳に入った
彼は物凄い勢いで振り向き
学生服の女子達を視野に入れると
私に「じゃあ」と一声かけ
そそくさと女子達の方へ歩いて言った
私は首をかしげると
紙パックの飲料が並ぶ列に向かい
手頃な牛乳を手にした
「知ってるっつーの」
根津の言葉を思いだし苛っとする
間違っても
ああいう男と恋愛には陥らないだろう
好みでもなければ理想の相手でもない
そもそも精神的なスタンスが違い過ぎる
好みの彼氏像かぁ……
普段
無意識に納めていたイメージが
頭に浮かぶ