水無月 雨宿り
文字数 840文字
「先輩や西島くんは、また一緒にバスケやろうって言ってるじゃない、また始めれば」
「言ったろ、自分が許せないんだって」
「でも、バスケ好きなんでしょ、このままじゃ後できっと後悔するよ」
新田が私に顔を向ける
口元が引き結ばれ苛ついた表情に
私は言葉を飲み込んだ
「西島とバスケで遊んでる時も、同じ事言われたよ」
私はしばらく黙りこんだ
やはり納得できない
先月の自分なら
綺麗事言ってないで
好きならやれって……と言ったに違いない
でも今
正直いうとあの時ほど新田が嫌いな訳ではない
むしろ話していて
親しみのわいてくる奴だと思った
新田が悩んでいるなら
一緒に解決してあげたいとすら
思えてくる
「じゃあ、こうしない?」
私にしては実に素晴らしい妙案が浮かぶ
笑顔で彼の肩を軽く二回叩くと
彼はぎこちなく身じろぎした
「私と毎回1or1で勝負して、私に負けた時、バスケ部に入部して」
「何でそうなるんだ?」
「とにかくいいじゃない、どっちにしろ、気持ちがすっきりするんじゃない?」
「まあいいけど、それじゃあ、新しい部活考えとかないとな」
「何それ、挑発のつもり?」
「俺に勝とうなんて、ずいぶんナメられたもんだ」
彼は笑っていた
私は取り合えず内心ほっとしながらも
非常に重い責任を抱えてしまったと
胃が締め付けられる気分を味わっていた
「そろそろ雨もあがってきたから、さっそく再開するか」
二人して明るくなった雨雲を
気持ち良さそうに見上げる
「あっ、ゴメン、私そろそろバイトの時間だから」
「そうか……」
まだ小雨の最中
私は自転車に向かい
途中で振り返った
「今のうちに部活用のバッシュとバスケウェア買っといた方がいいんじゃない?」
彼は微笑しながら俯き
両ズボンのポケットに手を突っ込んだ
「そうだ、ちょっと待って北里」
自転車のハンドルに手をかけた私を彼が呼び止め背後のドアを開けた
「もう牛乳はいいんだけど」
「違うって」
傘立てから青い傘を取り出し歩いてくる
「あっ……ありがとう……って何やってるの?」
次の瞬間
彼は私の自転車に乗っていた
「後ろに乗って傘さして」
「言ったろ、自分が許せないんだって」
「でも、バスケ好きなんでしょ、このままじゃ後できっと後悔するよ」
新田が私に顔を向ける
口元が引き結ばれ苛ついた表情に
私は言葉を飲み込んだ
「西島とバスケで遊んでる時も、同じ事言われたよ」
私はしばらく黙りこんだ
やはり納得できない
先月の自分なら
綺麗事言ってないで
好きならやれって……と言ったに違いない
でも今
正直いうとあの時ほど新田が嫌いな訳ではない
むしろ話していて
親しみのわいてくる奴だと思った
新田が悩んでいるなら
一緒に解決してあげたいとすら
思えてくる
「じゃあ、こうしない?」
私にしては実に素晴らしい妙案が浮かぶ
笑顔で彼の肩を軽く二回叩くと
彼はぎこちなく身じろぎした
「私と毎回1or1で勝負して、私に負けた時、バスケ部に入部して」
「何でそうなるんだ?」
「とにかくいいじゃない、どっちにしろ、気持ちがすっきりするんじゃない?」
「まあいいけど、それじゃあ、新しい部活考えとかないとな」
「何それ、挑発のつもり?」
「俺に勝とうなんて、ずいぶんナメられたもんだ」
彼は笑っていた
私は取り合えず内心ほっとしながらも
非常に重い責任を抱えてしまったと
胃が締め付けられる気分を味わっていた
「そろそろ雨もあがってきたから、さっそく再開するか」
二人して明るくなった雨雲を
気持ち良さそうに見上げる
「あっ、ゴメン、私そろそろバイトの時間だから」
「そうか……」
まだ小雨の最中
私は自転車に向かい
途中で振り返った
「今のうちに部活用のバッシュとバスケウェア買っといた方がいいんじゃない?」
彼は微笑しながら俯き
両ズボンのポケットに手を突っ込んだ
「そうだ、ちょっと待って北里」
自転車のハンドルに手をかけた私を彼が呼び止め背後のドアを開けた
「もう牛乳はいいんだけど」
「違うって」
傘立てから青い傘を取り出し歩いてくる
「あっ……ありがとう……って何やってるの?」
次の瞬間
彼は私の自転車に乗っていた
「後ろに乗って傘さして」