水無月     満月

文字数 674文字

T字型デスクスタンドに照らされた

教科書とノートを閉じ

シャーペンを置いた手と

頬杖してた手を天井に伸ばし

回転椅子に座ったまま背伸びする



あくびをしながら

机の二段本棚の上に置いてある丸い時計に目をやると

すでに針は二時を回っていた



狭い部屋のため

すぐ背後にはスペース半分を占領するベッドがある

ただ

今夜はとても眠れる心境ではなかった



アーガイルのパジャマの上から羽織ったカーディガンを脱ぐと

ベッド下のドア横に位置するタンスに放った

そしていつものように

届かずフローリングの床に落下する



歩くのも面倒だし

座ったままキャスターで移動すると

下で寝てる両親を起こしてしまう

結局

放置したまま明日の朝片付ける事に決めた



「こういうのを、あいつはマジで嫌いそう」

私は小声で呟き唇を綻ばした後

うっとりするような甘いため息を漏らした



スタンドを消すと部屋が真っ暗になった

目を凝らすと

時計の文字盤が蛍光塗料で浮かび上がり

肩に触れてるカーテンの向こう側が

ほのかに明るくなった



静かな室内に響く時計の秒針音に混じって

屋根を叩く雨の音が耳に入る

私は椅子の向きを変え

カーテンの隙間から夜景を覗いてみた



家の前に並んだ電柱の外灯が

路地のアスファルトを

灰色に照らしていた

向かいで密集したどの家の窓も暗く

玄関門の外灯と

芝生の緑を浮きだたすガーデンライトの光がよく目立つ



窓には小さな雨雫がいくつも付着していた

外灯に反射しているのか

一粒一粒がダイヤのように輝いている

ゆっくりと数は増え

やがて隙間が埋め付くされた一部が

結合を繰り返し

一本の線を作って滑り落ちていく



私はそっと窓に手のひらを這わせ

今日の出来事を振り返った

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登場人物紹介

北里 舞 


本作の主人公  

地方住宅街に越してきた 

普通の高校一年だが 

自分の感受性を大事にしている


新田 俊 


舞が買い物帰りに旧住宅街で遭遇する  

バスケをこよなく愛する同級生  

クラスの女子にそれなりにモテる

栗澤   麻都佳 


学校近くのコンビニでバイトする 

舞の同級生にして親友


月成 


麻都佳経由で知り合う事になる

舞の宿敵の同級生 

可愛らしい外見の男子で 

女装してもバレない

織原   香月 


秋冬編から登場 

舞の中学時代の親友だった 

同じ高校に通うも...... 


常磐     景織子 


秋冬編から登場 

香月の親友の美人 

人とあまり関わりたがらない

柏木 

 

どうも景織子が好きらしい別クラス男子


基宏 


舞の中学生時代の思い出に 

出てくる男子

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