(70)魔女裁判⑥

文字数 685文字

魔女裁判において、被告は弁護人を依頼することは、「原則的」には可能だった。
しかし、被告に有利な弁護の希望は、証言の場合と同様に、叶えられなかった。

世俗裁判官のアンリ・ボゲは、弁護について、次のように述べている。

「弁護人は被告の希望する者を任命しないようにするべきである」
「裁判官に同調する弁護人にのみ、法廷で述べさせるべきである」
「異端を弁護して破門にされることがないように、裁判官は警告を与えなければならない」
「そうでないと、弁護人は、魔女以上に、恐ろしい罪を犯すことになるからである」
「すでに異端の疑いのある者を不当に弁護する弁護人は、異端の擁護者となる」

現代の西ヨーロッパ諸国、アメリカ、そして日本における「法の下の平等」や「人権概念」等無かった時代とは言え、あまりにも被告に不利な裁判とも言える。

(参考)
魔女と断定するまでの尋問
「魔女の槌」において示されている「被告を有罪とする4種類」は、
① 証言
② 直接的事実による証明
③ 間接的事実による証明
④ 魔女自身による自白。
である。

ただし、①~③は、被告が自白しない場合にのみ有効であって、魔女が自白すれば、有罪と決定された。

(参考)その自白を導くための、尋問例。
・魔女になってからの期間
・魔女になった理由
・お前の選んだ男色魔の名前
・悪魔に誓約した事柄
・魔女集会に出席した悪魔と人間
・集会で食べた物
・共犯者の名前
・箒の柄に塗った軟膏の材料

どの尋問も、そもそも悪魔とは無関係の被告には、答えようが無かった。
そこで、「自白」を手際よく行わせるために、過酷な拷問を実施し、魔女裁判官の意に沿うような自白を行わせたのである。
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