(78)新教の魔女裁判官

文字数 1,230文字

ザクセン(新教公国)の立法家である、ベネディクト・カルプツォフ(1595~1666:ルター派、ライプチヒ大学教授)は、最高裁判事として、二万通以上の死刑宣告書の署名を行った。
他の新教国に大きな影響を与えた「刑法の実際」(1635年)を出版し、その中の、魔女に関する部分は、新教版の「魔女の槌」とされる。
※実際に「魔女の空中飛行、魔女集会、悪魔との性交、魔女マーク」他が、カトリック側と同じように記載されている。

また、裁判の方法として、「17種類の拷問法」が書かれている。
※「指締め」「梯子」「ろうそくであぶる」「爪の間に木のクサビを打ち込む」等があり、これもカトリック国と大差ない残虐性を記している。

※参考
(同書中の)1582年の判決文
「2人の魔女を生きながら焼き、2人の男を赤く熱した鉄の大ペンチで肉を引きちぎった後に、『車輪』で轢殺した」

同じく1559年の判決文
「1人の被告に対し自白すれば放免との約束で自白させ、その上で斬首した」
(完全な嘘であるが、嘘をついても殺したのが、異端審問と魔女狩りである)

その「刑法の実際」の中では、下記のように解説を行っている。
「必要なのは敏速な判決であり、公正を期すために手間取る必要はない」
※現代裁判で「公正」は、裁判の重要な要素であるが、全く気にしていない。

「法では裁けない事柄が多いので、裁判官の自由裁量権に任せるべきである」

「裁判官は真相を知るためには、欺瞞を用いてもよい」

「自白は必須条件ではなく、他人の証言だけで判決を下してもよい」

「最も凶悪な魔女の罪はひそかに行われるので、証明は困難である。正規の手続きでは数千人に一人も罰せられないから、他の犯罪とは異なる根拠で判定するべきである」

また、新教徒の裁判官は、女性の魔女に対して、異常な程に熱心な性的関心を示した。
例)裁判記録より
「18年間にわたり、週2回悪魔と性交し、年3回魔女集会に同伴した」
「悪魔と性交し、双子を生んだ」
「週3回、30年間性交し、たびたびブロッケン山に同伴した」


プロテスト教会の大勢力であるメソジスト教会創設者の、オクスフォード大学教授ジョン・ウェズリーは、その「信仰日誌」1768/5/25に記述した。 
「一般の英国人、ヨーロッパの学問ある人たちの多くが、魔女や超自然現象に関する話を単なる老婆のおとぎ話として黙殺したことは、遺憾である」
「魔女を黙殺することは、聖書を黙殺することに等しいのである」
「私は、目に見えない世界についての、あらゆる時代によって確認されている魔女と超自然現象についての説明を、不信心者に示したい」

また、敬虔誠実なキリスト教信者の、A・Dホワイトは、ドグマチズムに支配されないキリスト教的教育の場として、コーネル大学を創設し、「科学と宗教の闘争」を著述した。
その中で、「科学を妨害したことについて、ローマ・カトリックを非難することほど不当なことはない、プロテスタント教会は、それ以上に非難に値する」と書いている。





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