(4)異端①カタリ派について

文字数 1,332文字

カタリ派は、東方、バルカン半島ボゴミリ派の系譜を引く異端とされている。
※尚、本格的な西欧出現は1140年代。
特徴としては、下記の通りになる。

・厳格な禁欲の戒律を実践した。
・肉欲と肉食と殺生を嫌悪し、乳製品も拒絶した。
 ただし、当時のヨーロッパ独特の考え方で、魚は水中に湧く「植物」なので食べた。
・古代マニ教の残党あるいは復活と見る風潮もあり、特に異端審問官たちは「新マニ教」と呼んだ。
 尚、古代マニ教は霊界と現世の二元論。
 ただし、厳密に古代マニ教からの、連続性(同一性)は証明困難とされている。
・彼らは、自分たちこそが正統なキリスト教徒であり、異端は、自分たち以外(ローマ教会と他の異端も含める)であると、考えていた。

・尚、カタリ派に二種類あった。
①本物の異端者
 厳格な戒律に耐えた、完徳者、善教徒、善信者。
②末期の帰依者。
 俗世に生きて、完徳者の生き方には倣わず、しかも異端の教えで救われることを望む人々。(死ぬ間際に、入信の儀式を行う人が、ほとんどだった)


・カタリ派は、ローマ教会こそが悪魔の教会として、全ての形骸化した儀式典礼を否定した。
・イエス・キリストの人性、化体説、幼児洗礼の教えを否定した。
・現世の権力、制度、所有こそ、交換は、「一切物質的なものは悪魔のものである」として認めなかった。
・客観的には、極端な悲観主義、徹底した虚無主義。
・「後生のために自殺を儀式化」、「太陽礼拝」、「財産秘匿」等の根拠のない噂もあった。
・また教会堂は不要、破壊するべきとした。
 「祈りに場所は問わない」「酒場、馬屋でも問題がない」
 神の教会は、建物の中ではなく、信徒の霊魂の交わりの中にあるとした。

・十字架はイエス・キリスト教を虐殺した道具であり、本来は焼き捨てるべき、と断定した。
 実際に寄せ集めた十字架の山を灰にしたこともある。
・ローマ・カトリック教会の聖餐礼を否定し、聖職者への畏敬を廃止、教会維持税納付を拒否した。

・現世は悪の世界であって、現世こそ地獄との考え。
・神の世界は霊界にあるのだから、現世の創造者(旧約の神)は悪魔である。(旧約は悪魔の書である)
・人間の肉体は悪魔の創造物であって、神の世界に属する霊魂が、肉体という牢獄につながれ、現世(地獄)を彷徨っている。

・現世の絆から離脱以外に、救いの道はない。
・カタリ派(彼らの真のキリスト教団)に加入し戒律を守り続ければ、天国に帰れると、説いた。
・教会への加入(パプテスマの授礼)には水を用いない。(水は悪魔が作ったものであるから)
・新約聖書だけを拠り所とした。

カタリ派が異端とされた、当時の南フランス、ラングドック地方は、ヨーロッパで最も豊かで、文化的な地域だった。
多くの宗派(カトリックだけでなく、ユダヤ教、イスラム教まで含めて)が平和に共存であり、集会も自由に行われていた。
他地域では、考えられないが、ユダヤ人まで公職についていた。

しかし、ローマ教会は、この状態を容認することはなかった。
「異端を全て滅ぼし、その富と領土を、全て奪い取ることを許可する」

第4回十字軍(同じキリスト教国であるコンスタンティノープルを攻めた)直後、再び十字軍を組織、このラングドック地方を虐殺と強奪の対象としたのである。
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