第29話 すべてのアーティストたちへ
文字数 2,754文字
すべてのアーティストたちへ知って欲しいことがあって、これを書いている。以前、私のメンターはスティーヴ・ヴァイだとエッセイでも触れたことがあったが、最近また彼のインタビューを見ていて、とても心を動かされたことがあったので、それをシェアしたいと思う。
元になったのはキップ・ウィンガーのYouTubeチャンネルなので興味があったら見て欲しい。まだ日本語に訳したものはないと思うので、翻訳は私がした。意味のわからないところはネイティヴスピーカーの先生に聞いたが、アーティストであるスティーヴの言葉の使い方が独特、音楽業界ならではスラングなのかもしれない等々、先生でもわからないところがあるそうだ。そういうわけで誤訳があるかもしれないが、大目に見て欲しい。
豆知識として以下のことを知っておくと分かりやすいかも……。
キップもスティーヴもロックミュージシャンであるが、クラシック音楽の世界でも活躍している。スティーヴは名門バークリー音楽大学出身。グラミー賞を三度も受賞したギタリスト。キップは80年代、自身の名前を冠するバンド、ウィンガー(ヴォーカルとベース)で成功を収める一方、クラシックの作曲家としても活躍中。フランク・ザッパはロックギタリスト。93年に亡くなっている。その前衛的な音楽スタイルで熱狂的なファンがいる。スティーヴの師匠的な存在。
スティーヴ
ところで、知ってる?面白いよね。だってトウェイン同士が会うことはない。(Nary do the Twains meet. Never the twain shall meet.ともいう。 二つの物事の相容れないことの例え)
ロックを本当に理解しているロックミュージシャンはそんなにたくさんいない。またクラシック音楽もね。
キップ
珍しい人種だよね。
スティーヴ
そうだね。珍しいよね。それで自分がそういう人たちの一人だって知らなかったんだ。だろ?だって私はこんな感じでやってたんだもの。これはいいアイディアだ。これをやってみよう。他には何も考えなかったんだ。
キップ
何も考えないから良いんだよ。何故って何も固定観念とかないから、それって完全に真新のところから生まれてきたんだから。
スティーヴ
良い曲って生まれるときっていつも……。
キップ
偶然だよね。
スティーヴ
そうだよ。自分自身を疑うときもしくは考えるとき、本当にありがちなんだけど、これはいいアイディアなんだろうか?って。
キップ
兄弟、つまり、前も言ったけど、僕は君のセラピーが必要だよ。何故って僕は自己肯定感が低いんだ。良い音楽のアイデアがあって、グッと入り込んでいく、そしてさらに深く入り込んで、こんな感じだよ。「ああ、神様、僕は曲の真っ只中で、ここから出ることができるだろうか?」まるで普通じゃない精神状態なんだ、出口が見つかるまでずっと永久にそこに閉じ込められている感じ。
スティーヴ
キップ。誰だって悩むよ。私が知っている殆どの人もそれで悩んでいるよ。でもそれは自分の考えですらないよ。それは誰しもが持つものだよ。我々みんなそうだよ。自分の作ったものを疑ったり、受け入れられないとか、何かに合わせて変えなきゃいけないとか、そういうのは常識的な、つまらない考えであって、自分でもなく、他の誰かとかではなくて、そういう目で人をみる。そういうものの見方を我々は社会から受け継いでいる。社会を責めることはできない。社会を構成する人々もそれを受け継いでいるから。また、私はこういう感情を持ってしまう。「私のしていることは糞みたいにつまらないことか?これはただの屑みたいなことか?」
それでそうだよっていう人がいるとして、でもそれが何の意味があるわけ?くだらないことなんかないよ。君がさっき言ったように、自分自身を出口がないように思わせて窮地に追い込むんだ。でも本当はね、出口はあるんだよ。
キップ
出口はいつもあるんだよね。
スティーヴ
出口はいつもある。だからすべきことはね、知ることだよ。出口を見つけることは楽しいって。楽しいからそれをするんだよね。そうでしょう?
キップ
本当だよね。そうだよ。試練は素晴らしい。苦労して乗り越えたとき、楽しくなる。こんな感じ、イエーイみたいな。
スティーヴ
自信がないって小さな声が聞こえてくるとき、それはそこにいつもあって、私を悩ませる。最近はもっと小さな声になっている。でも昔は、こんな感じだったよ。80曲もあるフランク・ザッパのこのギグをどうやってこなすつもりなのか?曲の半分は恐ろしく難しい曲でギターで弾けるような曲じゃない。それでフランクは毎晩ステージに上がる1分前にセットリストを書くんだ。
キップ
そりゃ傑作だよね。
スティーヴ
全くだよね。そこで、私は一晩中寝ないで練習をして、そしてステージとかに歩いていきながら考えている。「ああ、神様、私は何をしようとしているんでしょう?私は本当に今夜演奏するんでしょうか?」でも不安の声が聞こえたり、心配しなきゃいけない理由があったりするこういう状況のどの場面にも、必ずもっと大きな声が聞こえてくる。Shut the fxxk up and just do it. (うるさい、黙れ。とっととやれ!) 君はできるはず。そうでなきゃ、ここにいないはず。
キップ
聞いた?戸惑ったり、どうやって出口を探そうって思ってる若い人たち、みんな、これが解決法だよ。
スティーヴ
解決するには君がすでにそこにいるって悟ること。君はすでに出口にいるんだ。君はそれを分かるだけでいい。出口にいないと思い込むことは幻想なんだ。それはつまらない考えの妨害なんだよ。そして一旦分かってしまえば、そんな馬鹿なことを信じる必要はない。それがもしまた起きたら、今から言うことを試してみて。「OK、これは考えにすぎない。今この考えを止める。そしてこれをやる。何故ならそれをやりたいから。そして出来ることを知っている」君が認識しなければならないことがある。混じりけのない、君にぴったりの、他の誰のものでもない、本物のインスピレーションを認識できなくてはいけない。そうでなければ君は幻想を作り上げてしまう。幻想は決して上手く働かない。多くの場合において決して上手く働かない。それは決して上手く作用しない。何故なら出口に到達するときに考えることではないからだ。それは君に相応しいことではない。相応しいことは瞬間的に君に共鳴する、突然ひらめいたりする感覚と共に。分かる?それは全然難しいことじゃない。疑問も恐れもない。君用に誂えられている。君のためにそこにある。君はただそれをするだけ。君がその感覚を得たとき、自信を越える。自信を越えた状態とは知ることだ。
キップ
それは絶対に通らなきゃいけない道だよね。
元になったのはキップ・ウィンガーのYouTubeチャンネルなので興味があったら見て欲しい。まだ日本語に訳したものはないと思うので、翻訳は私がした。意味のわからないところはネイティヴスピーカーの先生に聞いたが、アーティストであるスティーヴの言葉の使い方が独特、音楽業界ならではスラングなのかもしれない等々、先生でもわからないところがあるそうだ。そういうわけで誤訳があるかもしれないが、大目に見て欲しい。
豆知識として以下のことを知っておくと分かりやすいかも……。
キップもスティーヴもロックミュージシャンであるが、クラシック音楽の世界でも活躍している。スティーヴは名門バークリー音楽大学出身。グラミー賞を三度も受賞したギタリスト。キップは80年代、自身の名前を冠するバンド、ウィンガー(ヴォーカルとベース)で成功を収める一方、クラシックの作曲家としても活躍中。フランク・ザッパはロックギタリスト。93年に亡くなっている。その前衛的な音楽スタイルで熱狂的なファンがいる。スティーヴの師匠的な存在。
スティーヴ
ところで、知ってる?面白いよね。だってトウェイン同士が会うことはない。(Nary do the Twains meet. Never the twain shall meet.ともいう。 二つの物事の相容れないことの例え)
ロックを本当に理解しているロックミュージシャンはそんなにたくさんいない。またクラシック音楽もね。
キップ
珍しい人種だよね。
スティーヴ
そうだね。珍しいよね。それで自分がそういう人たちの一人だって知らなかったんだ。だろ?だって私はこんな感じでやってたんだもの。これはいいアイディアだ。これをやってみよう。他には何も考えなかったんだ。
キップ
何も考えないから良いんだよ。何故って何も固定観念とかないから、それって完全に真新のところから生まれてきたんだから。
スティーヴ
良い曲って生まれるときっていつも……。
キップ
偶然だよね。
スティーヴ
そうだよ。自分自身を疑うときもしくは考えるとき、本当にありがちなんだけど、これはいいアイディアなんだろうか?って。
キップ
兄弟、つまり、前も言ったけど、僕は君のセラピーが必要だよ。何故って僕は自己肯定感が低いんだ。良い音楽のアイデアがあって、グッと入り込んでいく、そしてさらに深く入り込んで、こんな感じだよ。「ああ、神様、僕は曲の真っ只中で、ここから出ることができるだろうか?」まるで普通じゃない精神状態なんだ、出口が見つかるまでずっと永久にそこに閉じ込められている感じ。
スティーヴ
キップ。誰だって悩むよ。私が知っている殆どの人もそれで悩んでいるよ。でもそれは自分の考えですらないよ。それは誰しもが持つものだよ。我々みんなそうだよ。自分の作ったものを疑ったり、受け入れられないとか、何かに合わせて変えなきゃいけないとか、そういうのは常識的な、つまらない考えであって、自分でもなく、他の誰かとかではなくて、そういう目で人をみる。そういうものの見方を我々は社会から受け継いでいる。社会を責めることはできない。社会を構成する人々もそれを受け継いでいるから。また、私はこういう感情を持ってしまう。「私のしていることは糞みたいにつまらないことか?これはただの屑みたいなことか?」
それでそうだよっていう人がいるとして、でもそれが何の意味があるわけ?くだらないことなんかないよ。君がさっき言ったように、自分自身を出口がないように思わせて窮地に追い込むんだ。でも本当はね、出口はあるんだよ。
キップ
出口はいつもあるんだよね。
スティーヴ
出口はいつもある。だからすべきことはね、知ることだよ。出口を見つけることは楽しいって。楽しいからそれをするんだよね。そうでしょう?
キップ
本当だよね。そうだよ。試練は素晴らしい。苦労して乗り越えたとき、楽しくなる。こんな感じ、イエーイみたいな。
スティーヴ
自信がないって小さな声が聞こえてくるとき、それはそこにいつもあって、私を悩ませる。最近はもっと小さな声になっている。でも昔は、こんな感じだったよ。80曲もあるフランク・ザッパのこのギグをどうやってこなすつもりなのか?曲の半分は恐ろしく難しい曲でギターで弾けるような曲じゃない。それでフランクは毎晩ステージに上がる1分前にセットリストを書くんだ。
キップ
そりゃ傑作だよね。
スティーヴ
全くだよね。そこで、私は一晩中寝ないで練習をして、そしてステージとかに歩いていきながら考えている。「ああ、神様、私は何をしようとしているんでしょう?私は本当に今夜演奏するんでしょうか?」でも不安の声が聞こえたり、心配しなきゃいけない理由があったりするこういう状況のどの場面にも、必ずもっと大きな声が聞こえてくる。Shut the fxxk up and just do it. (うるさい、黙れ。とっととやれ!) 君はできるはず。そうでなきゃ、ここにいないはず。
キップ
聞いた?戸惑ったり、どうやって出口を探そうって思ってる若い人たち、みんな、これが解決法だよ。
スティーヴ
解決するには君がすでにそこにいるって悟ること。君はすでに出口にいるんだ。君はそれを分かるだけでいい。出口にいないと思い込むことは幻想なんだ。それはつまらない考えの妨害なんだよ。そして一旦分かってしまえば、そんな馬鹿なことを信じる必要はない。それがもしまた起きたら、今から言うことを試してみて。「OK、これは考えにすぎない。今この考えを止める。そしてこれをやる。何故ならそれをやりたいから。そして出来ることを知っている」君が認識しなければならないことがある。混じりけのない、君にぴったりの、他の誰のものでもない、本物のインスピレーションを認識できなくてはいけない。そうでなければ君は幻想を作り上げてしまう。幻想は決して上手く働かない。多くの場合において決して上手く働かない。それは決して上手く作用しない。何故なら出口に到達するときに考えることではないからだ。それは君に相応しいことではない。相応しいことは瞬間的に君に共鳴する、突然ひらめいたりする感覚と共に。分かる?それは全然難しいことじゃない。疑問も恐れもない。君用に誂えられている。君のためにそこにある。君はただそれをするだけ。君がその感覚を得たとき、自信を越える。自信を越えた状態とは知ることだ。
キップ
それは絶対に通らなきゃいけない道だよね。