第16話 体毛

文字数 593文字

 苦手なもの、それは男性の胸毛。恐ろしく昔に、男の人の胸毛の濃いのを目撃してびっくりしたことがある。ギャーと心の中で叫んでしまうくらいの衝撃だった。

 私は昔から「俺は男、ギラギラしているでしょ?」的な胸毛がどうしても苦手だった。ちなみに筋肉ムキムキもあまり好きではない。でも胸毛ほどの抵抗はない。
 
 今では信じられないけれど、もっと若かったときは、あるバンドのヴォーカルが胸毛ボーボーだからということだけで、声や曲はとても好きなのに、今一つのめり込めなかった。

 先日、そのバンドのライヴに行った感想を、海外在住の日本人女性がブログに書いているのを発見した。
 その人はそのヴォーカルの胸毛のことを女性の皆さんお待ちかねのとか書いていた。ということは胸毛を観たいってことだと思う。でも若いときみたいに、半裸でライヴとかしなくなっているので観れなかったらしい。人それぞれだなと思った。

 今の私にとって、胸毛はそう重要ではない。あのギラギラしていたヴォーカルの人は、今では苦み走った格好いいおじさんになっていた。ワイルド系なのは変わらないけれど、人生経験が顔相に出ているというか、匂い立つような若さのせいで目立たなかった知性や思慮深さが現れているし、若いときよりずっと素敵だと思う。胸毛はまだあるんだろうけど、もうどうでもいいかも。
 私も大人になり寛容になったということだろうか。そう思いたい。
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