第37話 ネオクラシカルの王者

文字数 718文字

 思春期の真っ只中、私が好きになったのはイングヴェイ・マルムスティーンという超絶技巧のロックギタリストだった。それまでクラシック音楽が大好きだったので、パガニーニやバッハに影響を受けた彼の演奏は私には馴染みやすかった。初めて行ったコンサートはもちろん彼のコンサートだ。
 そして今回、久々に彼のコンサートに行った。私はギターも弾けないし、ただの音楽好きだけど、イングヴェイは本当に素晴らしくてギター史に名を残す人というのはよく分かる。ハードロックに部分的にクラシックの要素を入れるのではなく、エレキギターでクラシックを演奏したかったという彼は真にネオクラシカルという分野を開拓した人だ。生まれながらにクラシックが好きで、まるで彼の血肉のようになっているのだろう。
 私も彼の音楽が本当に自分の好きな音楽だと感じる。毎日聞いていても飽きない。その意味でイングヴェイはとても近しい人のような気がしている。彼のような音楽の天才にそのようなことをいうのは厚かましいのは分かっている。でもクラシックが自分にとてもしっくりくるのは確かだ。
 彼はごくごく若い頃から自分のすべきことが分かっていた。生まれながらの才能に日に十二時間もの練習。時には傲慢と言われる言動も途方もない努力と素晴らしい演奏に裏付けられている自信からだ。ネオクラシカルの開拓者であり、王者と呼ばれる由縁だ。

 イングヴェイ。私はあなたの音楽を愛しています。あなたはその自分で切り拓いてきた道をひたすら突き進んで欲しい。あなたの音楽人生が幸多きものとなることを、一ファンとして心から祈っています。
 そして神よ。私に彼と同時代に生きて彼の音楽を楽しめる幸運を下さったことを心から感謝します。

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