第34話 クロワッサン、その後。

文字数 845文字

 クロワッサンです。嘘。姪の腕です。しばらく会わないうちにぷくぷくになっていました。 面白いので写真を載せました。それにしても赤ちゃんの成長は早いですねぇ。この間まで首が据わってなかったのに、もう寝返りがうてるようになり、歯が生えて……。そのうち高校生とかになって、見向きもされなくなっちゃうんだろうなぁと思うとちょっと悲しいです。まあそれでいいんだろうけど……。    

 これは十六年前にブログに書いた文章。その子が高校生になった今も、一応まだ相手にしてもらっています。たまたま見つけて、彼女に読ませると、「もう高校生になってるやん」と何故か関西弁でウケていました。本当に月日が経つのは早い。

 あれから世の中はどんどん悪くなっていったように思う。日本は東日本大震災を経験、世界的な疫病が流行り人間は互いに隔離分断され、戦争も起こった。
 どうか一日も早く、皆が安心して暮らせるような世の中になりますように。子供たちが希望を持って生きられる世の中になりますように、切に願います。

 そしてこの子たちに私は何か残せるのだろうかと思った。物理的な意味ではない。私が前の世代からしてもらったようなことが出来るのだろうか?
 人間は肉体が滅んでしまっても、その人の生み出したものを残せる。それはずばり子供であったり、形のないもの、思想、作品や仕事であったりする。実際に、様々な人々が遺したものが、私の中で血肉となり生き続けている。その人が有名かどうかは関係ない。普通の人の何気ない日常の会話であっても、かけがえのない金言になる。
 例えば最愛の祖母は、要領が悪く鈍重だった幼い私に、他者が出来る大抵のことは自分も出来ると思えと教えてくれた。お陰で不器用ながらも我慢強く物事をやり遂げるようになった。私の中で祖母は生き続けている。
 そういうことが何世代にわたって続くとすると、ある意味、人間は決して滅びはしないと言えるのではないだろうか?
 
 この二日間、姪と過ごして思ったことは、そんなことだった。     
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