『ありがとう』を1万回

文字数 493文字

「私はちゃんと『ありがとう』って言える人が良いなあ」

 いつだったか、飲み会でそんなことを言った子がいた。今となってはそれが何の飲み会でその言葉がどんなシチュエーションで発せられた言葉なのかも全く思い出せないがその言葉だけがずっと俺の耳に残っている。
 それ以来俺は「ありがとうと言うべきシーン」だな、と感じた時はなるべく「ありがとう」と言うように意識してきた。
 それからそれなりに長い月日が経って今となっては特に意識しなくても「ありがとう」という言葉が出てくるようになった。我ながらそれは良いことだと思う、それなりに。

 ところで「ありがとう」という言葉の語源を知っているだろうか?
 「ありがとう」とういう言葉は元来「有り(あり)」「難い(がたい)」という意味でありめったにない貴重な経験、という意味だそうだ。そんな貴重な経験に感謝するために「ありがとう」という言葉に変わり現在の意味になっていったそうだ。
 
―「有り」「難い」-こと。
 例えばこんな世界の片隅で書いているネット小説の作品ページが1万回開かれる、という経験は滅多に出来ることではないかもしれない。

 だから今日も俺は言うだろう。

 ありがとう、と。
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