選択のワンダーランド

文字数 498文字

 パスタにするかハンバーグにするか。
 
 平日のお昼時を少し過ぎた午後2時半のファミレスのテーブル席に一人座りながら男は一人頭を悩ませていた。お腹を軽くさすって自らの空腹具合を確認する。

 …結構お腹が空いている。パスタを頼むとして、それだけではお腹は満たされなさそうだ。

 では、パスタはなしだ。

 男は決断する。ハンバーグにしよう、と。

 しかし一口にハンバーグといっても様々な種類がメニュー表には並んでいた。ライスやスープをつけるセットにも出来るらしい。
 なおも男は腕を組んでメニュー表とにらめっこを続けていた。

 そのままどれくらいの時間が流れただろう。それは男にとっては永遠とも思える時間だったが実際には2分弱の時間しか経っていなかった。

 男はテーブルのベルを押した。ほんの数秒後に店員の若い男性がやって来たので注文をする。

 チーズのかかったハンバーグにライスの大盛り、単品でサラダを一つ。
 
 店員は男の言葉を復唱すると厨房のほうへと戻っていった。
 
 そこで男はメニューをテーブルの端に置き、やっと息をついた。

 この店内に入ってからの時間だけでいくつの選択をしただろう。
 
 人生は選択に溢れている。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み