無気力/lazyboy

文字数 498文字

雨が降っている。
薄暗い部屋の中で俺はベッドに横になったまま首だけ動かして時間を確認する。
16時17分

何もしないまま休日が溶けていく。


もうやめた
世界征服やめた


スマホから流しているYouTubeの中で男が歌っていた。ちょうど一回り前のうさぎ年の年に事故で死んだラッパーの歌だ。

俺は今日一日何をすることをやめただろう。
この果てしない起床と二度寝の反復運動の中でいくつの今日一日の可能性を潰してきたのだろう。

新作のスニーカーを見に行くのやめた
買い物に出かけるのやめた
アイツのLINEに返信するのやめた
あの娘に連絡するのやめた
洗濯するのやめた

自分で自分がイヤになってくる。
俺はもっと早く起きるべきだったのだ。
だけど身体が水分を含んだ綿製品のように重たかったので何をする気もおきなかった。


今日のご飯
考えるので精一杯


相変わらずYouTubeの中でラッパーは歌っていた。
俺は猛烈な空腹感に襲われた。
冷蔵庫の中のことを思い浮かべる。
白ご飯と味噌汁は昨日の残りがあったはずだ。
後は…牛肉と舞茸もあったはずだ。その時俺は猛烈に舞茸を食べたくなった。
一緒に炒めてしまおう。

俺はYouTubeを閉じて起き上がった。
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