自分 in the Display

文字数 499文字

私はスマートフォンの画面に映る画像を見ていた。
それはグループLINEに送られてきた写真だ。画面の中でマナミとヒカリはカメラのほうをしっかりと見つめてピースサインを作りながら文字通り満面の笑顔だ。
久しぶりに3人そろっての飲み会が行われた昨日。記念にと店員さんに頼んで撮って貰った中からマユミがあげた写真。
もちろんとても楽しかったから笑顔になるのは当然だ。

でもその写真の中に2人とは違い自信なさげに少し俯きながら控えめにピースをしているいかにもパッとしない女がいた。
それは私だった。それは大嫌いな自分だった。

そんな私とは違い2人は輝いていた。退屈な日常を繰り返している私とは大違いだった。なんとなく感じながらも目を背けてきた現実をいきなり突きつけられたような気がして私は気分が重くなった。でも思った。
限界を決めているのはいつも自分なんだ
今の自分が大嫌いな変わる努力をしよう、と。




今日はマナミとヒカリと会う日だ。
ちょうど1年ぶりだ。あれから自分なりに色々な努力をしてきたつもりだ。今日ならきっと私も自信を持って同じ画角に収まることが出来るだろう。
「いってきます」
姿見に写る自分にそう言って私は家を出た。
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