第三十四幕!叔父を撃つ

文字数 6,766文字

 開戦の合図が鳴り響く。
 白銀の大地はAIM軍先鋒部隊の突撃によって大いに震わされ、雪煙が激しく舞い上がった。
 帯広は、十勝川と札内川という天然の堀に囲まれた要害の街。本来であれば攻めることが難しく、守りに適したところである。官軍に体勢を立て直されては、戦闘が泥沼化することも考えられた。
 そこでカネスケは、スノーモービルと騎馬隊で編成された機動部隊を2つに分け、西と南から一気に街へ侵入して市街地を制圧する策を立案した。
 サクは自ら、西側の機動部隊を指揮して市街地へ侵攻。本陣は、AIM参謀長のチリと側近のユワレ、そして革命団のカネスケに任せることにした。俺は龍二とともに、サクについて市街地へと侵攻を果たした。
 市街地では住民らが右往左往に逃げ惑い、混沌とした状況が広がっていた。官軍も奇襲を受けたとはいえ、素早い対応で体勢を立て直しつつある。
 一般市民が多くいる中での激しい銃撃戦。官軍将校は、市民を逃がそうと職務を全うしているものもいれば、市民を盾にして背後から銃撃を加えてくる卑怯な奴らも存在。そのせいで、多くの市民も犠牲になった。サクはこのことを、この戦いの後も後悔していくことになる。
 時間が経つにつれ、官軍の抵抗も凄まじさを増していく。慌てて準備を終えた敵の兵士達が、司令部周辺から続々と湧いてくる。そして、AIM機動部隊と激しい戦闘になった。
 戦闘開始から2時間あまり立った頃。
 AIM軍は、市街地を制圧して司令部の攻略に手をかけ始めていた。司令部は、全出入り口を封鎖して、そこに役1万の兵力を結集。徹底した籠城作戦に出ようとしている。
 どうやら奴らは、他の砦から援軍が来ることを期待しているようだ。
 だがAIM軍は、早朝猛吹雪の中、すでに各砦に別働隊を向かわせていた。おかげで、池田砦・幕別砦・清水砦・士幌砦・鹿追砦をすでに制圧。そのため、奴らの期待は一瞬のうちに消え失せることとなった。
 サク率いる西側機動部隊は、南から来る機動部隊と門の前で集結。一気に司令部を攻め滅ぼさんと、意気揚々としていた。
 サクは、その後ろから遅れるように到着したAIM歩兵部隊に命じて、機関銃と迫撃砲で司令部の建物を集中砲火させる。官軍側も負けじと、スナイパーライフルなど遠距離射撃可能な武器を使って抵抗。だがここらで、他の歩兵部隊が帯広城全体を囲い込むような布陣に成功。AIM軍は、四方八方から帯広城こと帯広司令部への総爆撃を開始行った。
 官軍に反撃をする間も与えずに、総司令部の建物を完膚なきままに廃墟と化した。
 総司令部は、もはや巣を破壊された蟻のような官軍の残兵しかいない。サクは、徹底的な抹殺の命を下す。兵士達は、功を争って崩壊した司令部にどんどん侵攻する。
 そんな中、サクは俺を呼びつけた。


「蒼。俺は今から、少数精鋭を引き連れてとある場所へ向かうのだが、お前も来るか?」


「もちろん行く。しかし、総大将のお前がこの主戦場を捨ててどこへ向かうのだ。」


「エシャラが来るであろう場所だ。」


 サクはそう言うと、精鋭を集め始める。
 それから俺と龍二は、サクとサクが集めた8人と共に、十勝川の対岸へと移動をすることになった。


 ◇


 十勝川対岸に渡った俺たちは、サクの案内の元で音更地区にある古い墓地へ向かった。サク曰く、帯広司令部から続く地下道の出口が、そこにあるのだという。
 雪道をかき分けながら、例の墓地へ辿り着くころには、またちらほらと雪が降り始めていた。墓地には、肌寒い北風が吹き荒れている。まるで、忘れ去られた人たちの嘆きの声のようだ。
 中に入ると俺たちは、サクの案内で地下道に続く墓石へ慎重に近づいていく。迂闊に近づけないのは、下手したら先に待ち伏せをされている可能性も捨てきれないからだ。
 一歩一歩周囲を注意しながら、ようやく墓に辿り着く。するとサクは、耳を地面に当てて地下の物音を聞いた。
 彼は目を閉じて集中を研ぎ澄ます。そして、何かに気づいて顔を上げた。彼は、俺たちに墓の付近の茂みの陰へ隠れるよう指示する。俺たちは、茂みに身をひそめながら例の墓を見守る。
 数分後、その墓石が動き、下から数人の部下を引き連れたアイヌの男が姿を表した。
 サクが小声でボヤく。


「エシャラ...。」


 俺がそのアイヌにクギつけになっている間、サクはすでに動いていた。彼はすかさず吹き矢を構えると、エシャラへ向けて矢を放った。
 サクが放った猛毒が塗り込まれた矢は、見事に命中して奴はその場に蹲った。その瞬間、サクの部下が一斉に茂みから飛び出して、エシャラの部下へ発砲。軽い銃撃戦になったが、エシャラの部下は1人残らず雪原に散った。
 エシャラがサクの姿を確認する。


「まさかお前にやられるとはな...。」


「トリカブトは猛毒だ。もうじきお前は死ぬ。」


「予期せぬ最後だ...。」


「お前は腐っても俺の叔父だ。最後に情けとして、何か言い残したことがあるなら聞いてやる。」


「ふふ、情けをかけられる時が来るなんて...。だが俺は命乞いなどしない、今まで歩んだ道を間違いだと思ったことなどないからな。」


 サクが軽蔑した目つきでエシャラを見下す。エシャラは、サクに向かって堂々と言う。


「だが聞け!!確かに俺はお前たちを裏切り、お前の恋人の殺害にも加担してしまった。だけどそれは私利私欲のためでもなく、お前たちが憎かった訳でもない。ただこの大地を早く平穏なものに戻す為にやったことだ。そこだけはわかってくれ!」


「方向性か...。俺はまだ心の何処かでお前が騙されていると信じてやまないのかもしれない...。」


「サク、俺から最後のお願いだ。」


「なんだ?」


「北海道を頼んだ。」


「わかってる。必ずこの戦争に勝利して、本当に平和な蝦夷の地を作ってやる。」


 それを聞き届けると、エシャラは苦しそうにもがき始めた。どうやら毒が、全身に回りきったようである。
 サクは、叔父を楽に死なせる為に、懐に所持していた拳銃で彼の頭を撃ち抜いた。エシャラは一瞬で動かなくなり、仰向けになってその場にくたばった。彼の顔は苦痛の表情から、しがらみから解放された安らかなものへと変わっていた。
 サクは、エシャラを土葬するように部下に命じると、1人墓地の外へ出た。俺は彼の後を追いかける。すると彼は、一面の雪景色を見つめながら1人涙を堪えていた。


「仇を討ったのになぜ泣いている?」


「殺したことに後悔はしていない。だけどエシャラは叔父であり師匠でもあった。あの吹き矢も毒の作り方も全部エシャラから教わった。そして、さっき本心でAIMを裏切ったのは私利私欲のためではないと聞かされ、考え方の違いが生んだ悲劇に感情が抑えられなくなったのだ。」


「叔父を撃つか...。」


「もう終わったことだが、少しだけ1人でいさせてくれ。」


「わかった。本軍には先に伝えておくぞ。」


 サクは頷くと、また1人広大な大地を見つめながらしばらく黄昏ていた。


 ◇


 帯広にAIM軍現る。この知らせが届いたことで、静内に布陣していた札幌官軍本隊は、大混乱に陥った。総大将の松前大坊は、AIM全軍が対岸に建つ静内城にいると思い込んでいた。その為、まさかの展開に浮き足立っていた。すぐにでも軍を整えて、静内城に攻め込みたいところではあったが、ここ5日間ずっとAIMの罠にはまり続けて痛い目を見ているので、どうしても慎重になっていた。
 果たしてAIM軍が、帯広に現れたという情報は本当なのであろうか。先生の謀略によってデマ情報が流され、疑心暗鬼に陥っていた札幌官軍の情報網は、完全に麻痺してしまっている。情報の整理や、スパイからの連絡を待っていると、いつの間にか時刻が12時を回っている。
 そして今度は、帯広陥落とエシャラ死亡の知らせが届く。緊迫した状況の中で、スパイからの返事も届いた。どうやら、静内城はもぬけの殻となっているとのことであった。
 松前は、散々惑わされ続けたことに対する怒りが爆発。すぐに静内城に攻め込む指示を出して、自ら先頭に立って川を渡り城内へ進軍した。


 ◇


 官軍が城内に入ると、情報通りAIMの姿は一切見当たらず。ただただ旗がたくさん建てられ、篝火と照明がそのままになっていた。松前は総出で城内を捜索させたが、猫一匹いなかった。その代わりに、大量の物資が置かれている。雪が強くなり始めた為、全軍を城内および周辺に集めて、そこで休息をとることに決めた。だが、それが官軍の命取りとなる。
 緊急の軍事会議を開こうと、幹部を招集し始めたその時だ。城の一部で爆発が起きたのをきっかけに、城内の至る所で激しい爆発起こる。そして、一瞬のうちに静内城は火の海と化した。先生は、松前らがここで陣を張ることまで予測して、城内の至る所に時限爆弾および火薬を仕込ませておいたのだ。
 松前はなんとかこの城を脱出したが、本体の3分の1を爆死させてしまうという大損害を被った。彼は、これを気に一層慎重になり、しばらくえりも方面への進行は見送られることとなる。
 そんな最中、静内城を抜け出したイソンノアシと先生率いるAIM軍は、チャシコタンまで戻り準備を整える。そして、一気にえりも岬側から海沿いを回り込み、官軍の広尾前線を襲撃。それを撃破して、翌日の昼前には帯広に到着。サク率いるAIM別働隊と合流を果たしたのだった。


 ◇


 俺たちは、イソンノアシら本体と合流。さっそく帯広臨時集会所で、次の戦いに向けて軍事会議を開くことになる。俺、先生、そしてカネスケは、これまでの戦いでの成果が認められ、軍事会議において出席の義務と発言権を得ることができた。
 AIMの幹部たちが見守る中で、イソンノアシが発表した次の計画。それは、南富良野の攻略と網走制圧および紋別騎兵隊の撃滅であった。この計画の理由としては、 南富良野を手に入れれば官軍の帯広侵攻を大いに妨ぐことができ、道東の制圧に専念ができる。それから日本最恐の部隊と言われている紋別騎兵隊を撃滅して、官軍の道東最大の拠点である網走を攻略すれば、北海道の半分を手中に収めたようなものだからだ。
 この計画において、軍を大きく2つに分けることになる。それに付随して、革命団メンバーもまた2つに分けて配属されることになった。
 まず、官軍の主力部隊と戦うことになる南富良野方面は、サクおよびAIM軍3万が担当。その中に俺、先生、紗宙、典一、灯恵が入ることに決まった。紗宙はともかく、灯恵を連れて行くべきか迷いはあった。しかし、先生が彼女を秘書としてそばに置き学ばせたいとのことで、連れて行くことが決まった。
 道東制圧部隊は、イソンノアシの一番弟子のアイトゥレを大将にAIM軍5万が担当。カネスケが参謀として参戦。結夏と龍二もそれについて行くこととなった。
 イソンノアシは、しっかりと帯広の地盤を整えてから、作戦を実行した方が得策と考えていた。しかし、我らの先生が、敵が混乱している間に南富良野、および道東南部の湿原地帯は押さえておいた方が良いと進言。その為、作戦実行は明日ということに決まった。


 ◇


 吹雪が強まったり弱まったりしている。
 道東地方では、例年に見ない大寒波に見舞われるという予報が出ていた。故に、まだ11月末にも関わらず半端ない寒さである。昨晩から一睡もしていない俺は、軍事会議が終わってから宿舎に戻る。すると、不意に襲い掛かった激しい睡魔に取り憑かれたかのように、壁にもたれかかっていびきをかいた。
 目覚めた頃には、窓の外は真っ暗で時計を確認すると、ざっと5時間は経過していた。俺は、ものすごく辛い夢を見たので、寝起きの気分は上がらない。
 その夢の内容は、カネスケの身体が日本政府の手で八つ裂きになる。カネスケを救うことができず、彼を革命団に誘ったことへの後悔と絶望に苛まれた俺は、次第に凶悪な悪魔へと変貌。その後、ひん曲がった社会への復讐の意味も込めて、次々と人を虐殺して行くというものであった。
 寝起き早々イライラしている、誰かがドアを激しくノックする音が聞こえてくる。若干苛立ちながらドアを開けると、そこには典一が立っていた。
 彼は、俺が寝起きだとわかると申し訳なさそうにしながらも言った。


「リーダー、この前の修行の続きしませんか?」


 俺はまだ寝ていたい気も山々だったが、ここ4日くらい修行を休んでいた。なので、重い腰を上げて、雪が舞い散る空き地へと向かう。
 外の気温はマイナス6度。典一は、こんな極寒の夜にも関わらず、タンクトップで準備体操を始める。俺も負けじと上着を脱いで、ヒートテックにTシャツという、冬の音楽フェスに行くような格好で身体をほぐした。
 俺は、彼に組手を教わりながら、さっきの夢の話をする。それを聞いた典一は苦笑いしていた。


「それは縁起の悪い夢ですな。」


「夢とはわかっているが、死という事象が身近にあるこの生活では現実味があって怖かった。」


「確かに、この環境に身をおいていたらそう思うのも仕方がないでしょう。しかしあの切れ者のカネスケのことです。きっと正夢になることなんてないと思いますぞ。」


「そうだが。やはり次の作戦で別れて行動するから、何かあった時にすぐ駆けつけられない...。」


「リーダー、心配のしすぎは身体に良くありません。それに今できることは、カネスケが殺されそうになった時に、助け出せる戦闘力を鍛えることでしょう。」


「そうだよな。典一の言う通りだ。」


「わかっていただけて幸いです。そうしたら以前教えた技の続きを伝授しましょう。」


 この日は、6時間ぶっ通しで冷たい粉雪が舞い散る中、組手や技の修行に勤しんだ。そして、修行に熱中して行く中で、さっき見た悪夢のことも、すっかりと頭から抜け去っていたのだった。
 俺は典一から、主に2つのことを教わっていた。
 1つは戦闘においての身体の動かし方。これは倒れた時の受け身や、相手の懐に入り込む方法、拳を見切って受け流す方法、ステップの踏み方など戦闘の幹となるようなことである。運動音痴の俺にとって、この上なく苦手な分野であった。だが、日々の努力と典一の熱い指導によって、初めに比べてだいぶ進歩した方だと思っている。そしてそれが、まだ生きてこの場に立っているという結果につながっているのかもしれない。
 もう1つは彼の秘伝の奥義『正拳突き』だ。これに関しては、そうやすやすとできるようになるわけがないのだが、薄い瓦を真っ二つに粉砕できるくらいにまでは成長することができた。典一自身も、まだ技の追求を続けると話していたが、彼はもう充分その技を使いこなせている。なんたって、人間の頭を拳一発で粉砕することができるのだから。
 空き地から戻る時に典一が言う。


「やはりリーダーの根気強さには関心させられてばかりです。今まで教えてきた者の中で、リーダーとの修行が一番楽しいです。」


 お世辞抜きの典一の言葉は、少し照れくさかったがささやかながら自信を与えてくれるのだった。
 思い返してみれば、青の革命団には、俺以外ネガティブな考えをする奴がいない。ネガティブなリーダーとポジティブなメンバーたちで、良いバランスで保たれているのかもしれない。そして、いつか俺も絶対的な自信を得て、この団体、そして国家をポジティブに前へ引っ張っていくリーダーになりたいと思うのだった。


 ◇


 夜が明けて朝になる。昨晩あれだけ激しく動いたというのに、全くと言っていいほど筋肉痛にならなかった。修行を始めてもう3ヶ月くらい経つ。身体もあのハードメニューに慣れてきてくれたのだろう。
 俺は、みんなよりも早く起きて準備すると紗宙を起こした。まだ眠いのか機嫌が悪そうだったが、そんな彼女を説得して外へ連れ出す。そしてスノーモービルで2ケツをしながら、先生にオススメされた朝日が綺麗に見える雪原を目指して、ちょっとしたツーリングを楽しんだ。
 彼女は初め怖がっていたが、途中からはその雪上ツーリングを俺以上に楽しんでいた。俺は、腰に腕を回してしがみつく彼女の温もりを感じつつも考えていることがあった。それは、作り上げてきた当たり前が、いつ崩れるかわからないということだ。
 サクは、長い間信頼していた叔父であり、師匠でもある人間を自らの手で撃ち殺した。俺もいつ、どんな理由で仲間と仲違いするかわからない。そして仲間が裏切った時、友達が敵対勢力になった時、自らの手で相手に制裁を加えなければならない時が来るかもしれない。そんな時、心を鬼にしてでも己の信念を貫き通すことができるのであろうか。俺にはまだ、はっきりとそれを断言できるくらいの自信が持てなかった。







 (第三十四幕.完)

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登場人物紹介

・北生 蒼(きたき そう)

本作シリーズの主人公であり、青の革命団のリーダー。

劣悪な家庭環境と冴えない人生から、社会に恨みを抱いている。

革命家に憧れて、この国を変えようと立ち上がる。

登場時は、大手商社の窓際族で、野心家の陰キャラサラリーマン。

深い闇を抱えており、猜疑心が強い。

自身や仲間を守るためになら手段を選ばず、敵に残忍な制裁を加えて仲間から咎められることも多い。

非常に癖のある性格の持ち主ではあるが、仲間に支えられながら成長していく。

仙台にて潜伏生活中に、恋心を抱いていた紗宙に告白。

無事に彼女と恋人関係になった。



・袖ノ海 紗宙(そでのうみ さら)

青の革命団メンバー。

蒼の地元の先輩であり、幼馴染でもある。

婚約者と別れたことがきっかけで、有名大学病院の医療事務を退社。

地元に戻ってコンビニでバイトをしていた。

頭も良くて普段はクールだが、弟や仲間思いの優しい性格。

絶世の美人で、とにかくモテる。

ある事件がきっかけで、蒼と共に旅をすることになる。

旅の途中でヒドゥラ教団に拉致監禁されるが、蒼たち青の革命団によって無事救出される。

そして蒼からの告白を受け入れ、彼とは恋人同士の関係になった。


・直江 鐘ノ助(なおえ かねのすけ)

青の革命団メンバー。

蒼の大学時代の親友で、愛称はカネスケ。

登場時は、大手商社の営業マン。

学生時代は、陰キャラグループに所属する陽キャラという謎の立ち位置。

テンションが高くノリが良い。

仕事が好きで、かつては出世コースにいたこともある。

プライベートではお調子者ではあるが、仕事になると本領を発揮するタイプ。

蒼の誘いに乗って、共に旅をすることになる。

結夏に好意を抱いており、典一とは恋のライバルである。


・諸葛 真(しょかつ しん)

青の革命団メンバー。

蒼が通っていた自己啓発セミナーの講師。

かつては国連軍の軍事顧問を務めていた天才。

蒼とカネスケに新しい国を作るべきだと提唱した人。

冷静でポジティブな性格。

どんな状況に陥っても、革命団に勝機をもたらす策を打ち出す。

蒼の説得により、共に旅をすることになる。

彼のおかげで今の革命団があると言っても良いくらい、その存在感と功績は大きい。

革命団のメンバーからは、先生と呼ばれ親しまれている。


・河北 典一(かほく てんいち)

青の革命団メンバー。

沼田の町で、格闘技の道場を開いていた格闘家。

ヒドゥラ教団の信者に殺されかけたところを蒼に助けられる。

それがきっかけで、青の革命団に入団。

自動車整備士の資格を持っている。

抜けているところもあるが、革命団1の腕っ節の持ち主。

忠誠心も強く、仲間思いで頼りになる存在でもある。

カネスケとは結夏を巡って争うことがあるが、喧嘩するほど仲が良いと言った関係である。


・市ヶ谷 結夏(いちがや ゆな)

青の革命団メンバー。

山形の美容院で働いていたギャル美容師。

勝気でハツラツとしているが、娘思いで感情的になることもある。

手先が器用で運動神経が良い。

灯恵の義理の母だが、どちらかといえば姉のような存在。

元は東京に住んでいたが、教団から命を狙われたことがきっかけで山形まで逃れる。

流姫乃と灯恵の救出作戦がきっかけで、革命団と行動を共にするようになる。

山寺の修行で投げナイフの技術を取得。持ち前のセンスを活かして、革命団の危機を何度も救った。

蒼や先生は、彼女のことを天才肌だと高評価している。

革命団のムードメーカー的存在でもある。


・市ヶ谷 灯恵(いちがや ともえ)

青の革命団メンバー。

結夏の義理の娘。

家出をして生き倒れになっていたところを結夏に助けられた。

15歳とは思えない度胸の持ち主。

コミュ力が高い。

少々やんちゃではあるが、芯の通った強い優しさも兼ね備えている。

秋田公国に拉致されたところ、革命団に助けれる。

それがきっかけで、共に行動することになる。

戦場では戦えないものの、交友関係を作ったりと、陰ながら革命団を支えている。

先生から才を認められ、彼の弟子のような存在になりつつもある。


・関戸 龍二(せきど りゅうじ)

青の革命団メンバー。

『奥州の龍』という異名で恐れられた伝説の不良。

蔦馬に親族を人質に取られ、止むを得ず暴走神使に従っていた。

蒼と刃を交えた時、彼のことを認める。

革命団が蔦馬から両親を救出してくれたことに恩を感じ、青の革命団への加入を決める。

寡黙で一見怖そうだが意外と真面目。

そして、人の話を親身になって聞ける優しさを兼ね備えている。

蒼にとって、カネスケと同等に真面目な相談ができる存在となる。

真冬の北海道でもバイクを乗り回すほどのバイク好き。


・酒々井 雪路 (しすい ゆきじ)

青の革命団メンバー。

かつては政治家を目指して、東京の大学で法律を学んでいたが、少数民族の為に戦いたいという思いから北海道へ渡り、AIMに参加する。

ツーリングが趣味で、それ故に機動部隊へと配属されてしまう。

だが、そこで龍二と出会い、彼の紹介で青の革命団へと加入。蒼や先生とともに、新国家の憲法作成することになった。



※第三十八幕から登場

・イカシリ

青の革命団メンバー。

AIM軍の腕利きのスナイパーで、アイヒカンの部隊に所属していた。

射撃の腕は一流で、雪愛(美咲)から密かにライバル視されている。

南富良野で蒼と一緒に戦った時、彼に才能を認められ、次第と行動を共にすることが多くなる。そしていつの間にか、蒼の配下のスナイパーとなり、彼の元で官軍と壮絶な銃撃戦を行う。

服が好きで、アイヌの伝統衣装を自分でアレンジして作った服を着こなしている。



※第三十六幕から登場

・間宮 恋白 (まみや こはく)

青の革命団メンバー。

麟太郎の娘で、年齢は4歳。

生まれたばかりの頃、麟太郎が官軍に捕えられてしまい、母子家庭で育つ。

紋別騎兵隊が街に侵攻した時、母親を殺され、更には自分も命を狙われるが、サクの手により助けられた。

それから灯恵の力により、北見の街を脱出して、一命を取り留める。

命の恩人でもある灯恵のことを慕っている。また彼女から実の妹のように可愛がられており、「こはきゅ」という愛称で呼ばれている。



※第四十四幕から登場

・間宮 麟太郎 (まみや りんたろう)

青の革命団メンバー。

恋白の父親で、元銀行員。

網走監獄に捕らえられていたが、AIMの手により助け出された。

娘が灯恵により助けられたことを知り、何か恩返しがしたいと青の革命団に参加する。

経済について詳しく、蒼からは次期経済担当大臣として、重宝されることになる。

また長治とは、監獄で共に生活していたので仲が良い。



※第五十一幕から登場

・許原 長治 (ゆるしはら ちょうじ)

青の革命団メンバー。

元力士。北海道を武者修行していた時、AIMに協力したことがきっかけで、網走監獄に捕らえられていた。

囚人達からの人望が熱く、彼らをまとめ上げる役を担っていた。

AIMに助けられた後は、青の革命団に興味を持ち、自ら志願する。

典一と互角にやりあうほど喧嘩が強く、蒼や先生からの期待は厚い。

監獄を共に生き抜いた間宮と、その娘の恋白とは仲が良い。



※第四十三幕から登場

・レオン

紗宙が飼っている茶白猫。

元は帯広市内にいた野良猫であったが、紗宙と出会い、彼女に懐いてAIM軍の軍用車に忍び込む。

大雪山のAIM陣で紗宙と再会して、彼女の飼い猫になった。



※第五十二幕から登場

・石井 重也 (いしい しげや)

青の革命団メンバーであり、日本の国会議員。

矢口宗介率いる野党最大の政党、平和の党の幹事長を勤めている。

党首である矢口から命を受け、用心棒の奥平とともに北海道へ渡航。先生の紹介で蒼と会い、革命団への加入を果たす。

政治に詳しい貴重な人材として重宝され。雪路とともに、新国家の憲法作成に携わっていくこととなる。

頑固で曲がったことが嫌いな熱い性格だが、子供には優しいので、恋白から慕われている。

元青の革命党の党員でもあり、革命家の江戸清太郎と親しい関係にあった為、革命家を志す蒼に強く共感していく。



※第五十四幕から登場

・奥平 睦夫 (おくだいら むつお)

青の革命団メンバー。

平和の党の幹事長である石井の用心棒として、共に北海道へ渡航。先生の紹介で蒼と会い、革命団への加入を果たす。

石井とは青の革命党時代からの知人で、かつて彼の事務所で勤務をしていた。その頃、江戸清太郎の演説を聞きに来ていた蒼にたまたま遭遇している。

普段は物静かだが、心の中に熱い思いを持った性格。



※第五十四幕から登場

羽幌 雪愛(はほろ ゆあ)

札幌官軍三将の豊泉美咲が、AIMに潜入する為の仮の姿。

青の革命団について調査する為に、蒼や先生に探りを入れたり、時には彼らの命を狙う。

その一方で、スナイパーとしてAIM側で戦に参戦。戦力として大いに貢献。紗宙や灯恵と仲良くなり、彼女らに銃の手解きをする。

また、その関わりの中で紗宙の優しさに触れ、スパイであることに後ろめたさも生まれてしまう。

性格はポジティブで明るいが、裏に冷酷さも兼ね備えている。



※第三十五幕から登場

・矢口 宗介 (やぐち そうすけ)

国会議員で、先生の旧友。

27歳の若さで初当選を果たし、33歳で野党最大の政党である平和の党の党首まで上り詰めた。

温厚で正義感が強く、日本国を腐敗させた神導党と激しく対立。神導党の後継団体であるヒドゥラ教団から、命を狙われている。

内からの力だけでは日本国を変えられないと判断して、旧友である先生が所属する革命団に未来を託すべく、石井と奥平を北海道へと派遣した。

蒼や先生にも負けず劣らずのロン毛が特徴。



※第五十四幕から登場

・イソンノアシ

AIMの首長であり、英雄シャクシャインの末裔。

サクの父親でもあり、温厚で息子思いの性格。それ故に、AIM軍や統治領域の民衆からの人望が厚い。

諸葛真が大学生の頃、遭難から救ったことがきっかけで、彼とは親友の仲になる。

サクの和人嫌いというトラウマを克服させる為に、彼を革命団の案内役に任命した。


・サク

イソンノアシの息子で、英雄シャクシャインの末裔。

毒舌で攻撃的な性格。

実行力と統率力、そして軍才があるので、AIM関係者からの人望が厚い。また父を尊敬していて、親子の関係は良好。

しかし、交戦的で容赦がないので、札幌官軍からはマークされている。

かつては、温厚かつ親しまれる毒舌キャラだったが、恋人を官軍に殺されたから変貌。和人を軽蔑して、見下すようになったという。

殺された恋人と瓜二つの紗宙へ、淡い好意を寄せる。



・ミナ

サクの元婚約者。

アイヌ民族の末裔で、自らの出自やアイヌの文化に誇りを持っており、北海道を愛していた。

2年前、裏切り者の手によってサクと共に捕らえられる。

そして、彼の目の前で、松前大坊に殺された。



※第三十三幕と第五十幕で登場

・ユワレ

サクの側近であり、幼馴染でもある。

正義感が強く、曲がったことが好きではない性格で、みんながサクを恐れて諌めようとしない中、唯一間違っていることは間違っていると言ってのける存在。

また忠義に熱く、蒼から何度も革命団への入団オファーを受けるが、全て断り続けている。



※第三十三幕から登場

・アイトゥレ

AIM幹部の筆頭格で、イソンノアシやサクの代わりに、軍の総大将を務めることも多々ある。

歴史ファンで、特に好きなのが戦国時代。お気に入りの武将は本多忠勝。

道東遠征で、共に戦うカネスケの才を見抜き、別働隊を任せるなど、彼に軍人としての経験をつませる。



※第三十八幕から登場

・京本 竹男(きょうもと たけお)

北海道知事であり、札幌官軍の代表。

日本政府の指示の元、北海道の平和を守る為に、AIMとの紛争に身を投じた。

政府に忠誠を尽くす一方で野心家でもあり、いつかは天下を取ろうと画策している。

それ故に、紛争を理由に軍備の増強を図る。

人の能力を的確に見抜き、公平な評価を下すことから、部下からの信頼は厚い。

公にはしていないがヒドゥラ教団の信者で、土龍金友のことを崇拝している。



※第三十二幕から登場

・土方 歳宗 (ひじかた とししゅう)

札幌官軍三将の筆頭で、身長190㎝超えの大男。

京本からの信頼も厚く、札幌官軍の総司令官の代理を務めることもある。

武術の達人で、国からも軍人として評価されており、一時期は先生と同じく国連軍に所属していた経験もある。

北海道の治安を守る為にAIMとの戦争で指揮を取るが、特にアイヌやAIMを憎んでいるわけではない。

部下からも慕われていて、特に美咲は彼のことを尊敬している。また彼女と同様に松前の残虐非道な行為をよく思ってはいない。



※第五十一幕から登場

・豊泉 美咲(とよいずみ みさき)

札幌官軍三将の1人。

セミロングの銀髪が特徴的なスナイパー。銃の腕前は、道内一と言われている。

性格はポジティブで、どんな相手にも気軽に話しかけられるコミュ力の持ち主。

京本からの指示を受け、青の革命団の実態調査の任務を引き受ける。

キレ者で冷酷な所もあるが、非道な行為を繰り返す同僚の松前を心底嫌っている。



※第三十ニ幕から登場

・松前 大坊(まつまえ だいぼう)

札幌官軍三将の1人。

人柄はさておき、能力を買われて三将の地位まで上り詰める。

サクの恋人を殺害した張本人。

類を見ない残忍性で、AIMおよびアイヌの人々を恐怖に陥れた。

再びAIM追討部隊の指揮官に任命され、AIMと革命団の前に立ち塞がる。



※第三十ニ幕から第五十幕まで登場

・エシャラ

イソンノアシの弟で、サクの叔父に当たる人物。

元AIMの幹部で、考え方の違いから、札幌官軍に内通して寝返る。

サクとミナを松前大坊へ引き渡し、ミナの殺害に少なからず加担した。

温厚だが、自分の信念を曲げない性格。

AIMをえりもへ追いやって以降は、松前の手先として帯広地域を統治していた。



※第三十三幕〜三十四幕で登場

・御堂尾 神威 (みどうお かむい)

紋別騎兵隊の副隊長。

日本最恐の軍隊と恐れられる騎兵隊の中でも、群を抜く武勇と統率力を誇る。

しかしその性格は、冷酷で自分勝手で俺様系。

人を恐怖で支配することに喜びを覚え、敵対した者は、1人残らず殺し、その家族や周りにいる者、全てを残忍な方法で殺害。

また、騎兵隊の支配地である紋別の町では、彼の気分次第で人が殺され、女が連れさらわれていた。

その残酷さは、松前大坊と匹敵するほど。

結夏に因縁があるのか、執拗に彼女のことを狙う。



※第四十一幕から登場


・御堂尾 寿言 (みどうお じゅごん)

神威の弟で、紋別騎兵隊の隊員。

兄と同じく残忍な性格。

兄弟揃って紋別の町にふんずりかえり、気分で町の人を殺したり、女性に乱暴なして過ごしている。

食べることが好きで、体重が100㎏を超えている大男。

兄の神威と違い、少し間抜けな所があるものの、他人を苦しめる遊びを考える天才。

大の女好き。



※第四十二幕から第四十八幕まで登場

・北広島 氷帝 (きたひろしま ひょうてい)

紋別騎兵隊の隊長で騎兵隊を最恐の殺戮集団に育て上げた男。

『絶滅主義』を掲げ、戦った相手の関係者全てをこの世から消すことを美学だと考えている。

松前大坊からの信頼も厚く、官軍での出世コースを狙っていた。



※第四十六幕から第四十九幕まで登場

・仁別 甚平 (にべつ じんべえ)

黒の系譜に選ばれた者の1人。

カニバリズムを率先して行い、雪山で焚き火をして遭難者を寄せ付け、殺害しては調理して食べる、という行為を繰り返している。

特に若い娘の肉を好んで食す。

リンに狂酔しており、彼女の興味を一心に浴びる蒼を殺そうと付け狙う。



※第四十二幕から登場

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