第三十六幕!トマムの失態

文字数 8,862文字

昨晩非常に激しい雪が降ったおかげで、トマムの山の進軍は困難を極めることとなった。スノーモービルに乗っている機動隊、および小隊長らはいいとして、歩兵部隊は移動に負荷がかかる。いくらAIMの兵士が雪道の移動に慣れているとはいえ、大変なことに変わりはない。
程よく山へ近づいたあたりで、アイヒカンが俺に忠告する。


「敵には、スナイパーが多数いると考えられます。ここからは、常に注意を払ってください。 」


俺がバイクを止めて山肌を見ると、所々何かに反射してひかるものが確認できた。彼曰く、それがスナイパーなのだという。 彼らの持つライフルは非常に飛距離があり、対策を打っていかないと痛い目をみる。
するとアイヒカンは、部下のイカシリを呼び寄せた。イカシリはAIM軍のスナイパーで、今まで何度も官軍のスナイパーとやり合った猛者である。彼は、重たそうな大型のスナイパーライフルを背負っていた。
アイヒカンがイカシリに尋ねる。


「お前なら、ここから奴らを狙い撃ちできるな?」


「任せください!敵のスナイパーを一掃致します!」


どうやらイカシリの持つスナイパーライフルは、最新式に改良したものらしい。官軍の使っている旧式ライフルよりも、少しばかり飛距離があるようだ。


「敵のスナイパーは何人いる?」


「わかるだけで10はおります。」


「今ここで全員やれるか?」


イカシリは、当たり前のように答えた。


「やってみます。」


そうすると彼は、ライフルを構えてスコープを覗き込む。そして、手際よく相手の位置を確認すると、一発、二発と順序よく引き金を引く。音もせず、物凄い速さで発された銃弾は、遠く離れたトマムの山へ消えていき、時差をつけてヤマビコの如く帰ってくるのは、敵の兵士の断末魔であった。 一通り終えた後、双眼鏡で山肌を眺めると、所々に赤く染まった雪と、その上に倒れた人影を確認することができた。
俺は、その腕前に惚れ込みつつ、イカシリに尋ねる。


「全滅はできたのか?」


イカシリは残念そうな顔をしていた。


「あと3人生きております。」


さすがの名物スナイパーでも、一瞬で遠方の敵を全員撃滅することはできないようだ。しかし、7人討ち取っただけで、もはや常人を超えた強者である。俺はこの日から、イカシリの存在を強く意識し始めていた。
ある程度スナイパーを片付けると、アイヒカンとユワレとともに山の西へ回り込む。戦闘開始から数時間。このあたりから、徐々にトマム周辺が騒がしくなり始める。どうやら、正面と東側から進撃している部隊と官軍の戦いが始まったようだ。
これを機に、西側部隊も山の急斜面を登り一気に侵攻。歩兵を先頭に雪山を駆け上がると、敵が木陰や雪の中から、一斉に銃を撃ちかけてくる。それにより、兵が数名死傷。官軍は、こちらよりも高い位置から攻撃してくるので、彼らの方が圧倒的に有利であったのだ。
しかし、こちらもやられてばかりではない。歩兵を徐々に押し進めながら、敵の狙撃手を見つけ次第、機動隊で急接近してそれを討ち取る連携技で相手を追い込んだ。敵を蹴散らしながら山を登るにつれて、視界が開けていく。頂上の基地まであと数百メートルまで迫った時、思わぬ刃が降り注いできた。
敵が積もった雪の至る所に隠れて、こちらを一斉射撃してきたのだ。全身真っ白の軍服を身にまとい、雪と同化して見つけにくいため、なかなか狙いを定めにくい。それに奴らは、この山を知り尽くしているので、四方八方様々な場所に隠れて狙い撃ちをしてくる。
AIM軍は、イカシリのように群を抜いて優秀なスナイパーはいるが、数はそんなにいるわけではない。それに対して官軍には、天才的なスナイパーはいないが、上の下レベルの有能な狙撃手の数は揃っている。この状況と距離感では、彼らが圧倒的に優勢であった。それもあり、こちらの負傷者の数は、時が経つにつれて増えていった。
ユワレとアイヒカンは、一度撤退をするべきであると判断した。でも俺は、ここで退くことは敵の思う壺であると考えた。そして2人に提言する。


「俺は撤退に反対だ。そこで1つ策を思いついた。」


その発言にユワレが反論。


「撤退しないと全滅するぞ!」


俺はそれに対して更に反論をかぶせる。


「撤退すれば戦が泥沼化!さらなる死傷者を生むことになる!」


ユワレは、強情な俺に呆れてしぶしぶ耳を傾けた。


「それは賭けだな。」


アイヒカンも呆れていた。


「まあ確かにやれないこともないが...。蒼どの、死ぬ覚悟はあるか?」


俺は声を張る。


「死ぬ覚悟がなきゃ、こんなとこまで来ない!」


ユワレは、冷静を保ちつつ言う。


「仕方ない。けどやってみる価値はある。」


アイヒカンは、思い悩んだ末に吹っ切れる。


「そうと決まれば、直ちに指令を出すぞ。」


こうして俺は、思いついた奇策を強引に押し通した。雪煙と鉛の雨が飛び交う中。中央にスノーモービルと騎馬隊で編成された機動部隊。左右に歩兵部隊、という陣形に急いで組み直した。そして歩兵部隊は、右がユワレ、左がアイヒカンの指揮のもと、左右へ散りつつ茂みへ向けて雪中の敵を蹴散らしながら移動。俺が率いる機動部隊は、正面を突破して勢いよく山を駆け上がった。
その途中、何度も流れ弾に直撃しそうになる。バイクの後ろの乗っている紗宙は、俺の背中に隠れつつ、援護射撃で正面突破のサポートをしてくれた。おかげで、俺は何度も命を救われた。
後ろからついてきている典一と雪愛のコンビ、それに機動部隊30騎も、何とか鉛の嵐を掻い潜り、敵の層の後ろ側へ出ることに成功。敵よりも高い場所まで来た俺たちは、後ろを振り返る。まだ分かりにくいが、さっきよりは官軍の動きや場所をみることができた。
左右の歩兵隊が、茂みの中へ入ったことを確認する。それから俺は、機動隊に指令を出す。


「雪に向かって手榴弾を投げろ。」


雪愛が目を見開く。


「え、そんなことしたら雪崩が起きますよ。」


俺は不適な笑みを浮かべる。


「それでいいんだよ。」


彼女は、俺の意図に気づいたのか、すぐに手榴弾の線を切って急斜面の雪原へ投げる。他の隊員もそれに続いて一斉に投げた。各箇所で爆発が起こり、雪煙と轟音とともに雪崩が起こる。雪崩はみるみるうちに下へ流れて、隠れていた敵兵を一気に飲み込むこととなった。
森林地帯に逃れたAIMの歩兵隊は、木々や岩のおかげで雪崩に巻き込まれていない。数分後に雪崩が収まると、隠れていた多くの敵兵が雪に埋もれる光景が完成。俺は機動隊員らに命じて、姿を晒された敵兵を次々と撃ち殺させていった。
それから、ストロベリーシロップをかけたかき氷のような山肌を背に向け山頂を見た。この騒動に動揺した官軍兵士達が、一斉に基地からこちらへ迫ってくる。
俺は、典一にAIMの軍旗を持たせて思い切り振り回させた。それを見たアイヒカンとユワレは、歩兵隊に森を出て総攻撃するように指示を出した。
俺を筆頭とした機動隊は、どんどん山頂へ迫っていく。時折後ろを振り返ると、雄大な景色が広がっていて、中腹あたりで中央部隊が戦っているのが手にとるようにわかる。
機動隊と歩兵隊が合流するとそのまま山頂のアジトへ攻めのぼる。官軍は最後の抵抗をしてきたが、力技で強引に攻め込んで、撃滅することに成功する。
アジトが陥落したことを知ると、官軍の残党たちは力尽きたように降伏。トマム奪取戦は、多数の死傷者を出しながらも、AIMの勝利で幕を下ろした。





この戦いでの俺の活躍は、大いに軍を沸かせた。だが同時に、俺の心を浮き足立たせることとなる。俺は、山頂から幾寅の町を見下ろして、つい思ってしまった。戦争で勝つことなど、案外簡単なものであると。そして隣にいる典一に言い放つ。


「この程度なら、5日もあれば旭川すら陥落させられそうだな。」


「ははは、敵は確かに思いのほか強くなさそうですな。しかし、あれはただの守備隊。気は緩められませぬな。」


「そうだな。だが、日高でやり合った本軍も大したことはなかった。俺たちが一丸になって立ち向かえば、官軍なんて虫けらよ!」


典一が苦笑いをしている。


「まあそうかもしれませんな。」


彼は、有頂天な俺の話を楽しそうに聞いていた。そんな時、サクがこちらへやってきた。


「ずいぶん危険なマネをしてくれたな。」


俺はカッコつける。


「勝つための賭けだ。」


サクがこちらを睨みつけた。


「一歩間違えれば全員雪崩で死んでいた。それに紗宙や他の仲間も、スナイパーに射殺されていたかもしれない。あまり勝手なことはするな。」


「勝算無しにそんなマネはしない。勝つために融通を聞かせて何が悪い?」


サクは冷たく言う。


「軍律を乱す。これ以上言わせるな。」


彼が舌打ちをしてその場を去る。俺は、内心不服を感じながらも、彼の背中を見守った。
雪が少しずつ激しさを増した。AIM西部隊と中央部隊は、幾寅を見下ろす形で山頂に陣を敷き、東部隊は、落合の集落を占領して、幾寅攻略に備えた。





中央部隊参謀部は、俺の活躍によって活気に満ちていたかに思えた。しかし、大将のサクが若干不機嫌なため、みんな沸く気持ちを抑えていた。
サクが先生に対して、嫌味たらしく言葉をぶつける。


「真。お前のところのリーダーのおかげで、軍全体が油断に満ちそうだぞ。」


先生は、責められているにも関わらず、余裕そうに笑みを浮かべる。


「ふふ、しかしバランスが良いのではないでしょうか。」


サクが先生を睨みつける。


「どういうことだ?」


「我がリーダーが軍を沸かせ、サクがそれを律する。良きパワーバランスだと思いますが...。」


「無駄なことに頭を使わせるな!それよりも幾寅へ送った使者からの連絡はまだなのか?」


「おっと、丁度届いたところでした。灯恵、なんと書いてある?」


「徹底抗戦するってさ。戦いは避けられないんだな。」


サクは、その報告を軽く流し、配下の兵隊に言う。


「バカな官軍どもめ。早急に全軍に伝えるのだ。幾寅を総攻撃せよと。」


すると先生は、勝利を固めるように提案をする。


「それならば、軍勢を一挙に下山させて敵の注意がこちらへ向いた隙に、落合にいる東部隊に側面をつかせて一気に型をつけましょう。」


サクは、分かっているといった感じで答えた。


「そのつもりだ!南富良野を早々に攻略して、道東遠征隊と合流するぞ!」


そう言い終えると、彼は外の空気を吸うために陣を出ていく。そんな彼を見ていて、先生は思うのだった。サクは、私的な感情に流されている。早いうちに手を打っておかないと、軍が乱れる恐れがあると。
陣の外を見ると、雪がまた少しずつ強さを増していた。灯恵は、吹き散る雪を見つめながら先生に声をかける。


「冬が終わる頃には、北海道もまた違う世界になっているのか?」


「きっと、今までとは全く別の世界となっているだろう。少なくとも官軍は衰退する。」


灯恵はため息をつく。


「昨日までの当たり前が明日には当たり前じゃなくなっていく。ついていくのが大変だよ。」


先生は、自由奔放な彼女を見て微笑んだ。


「ははは。生きているうちにこういう時代を経験できることは、貴重だと思うぞ。」


灯恵も薄らと笑みを浮かべた。


「そうか?
私はずっと平和で良いけどな。」


先生は、思い出したように話題を変える。


「そうそう、この前の課題はできたか?」


「あはは、あれか。」


先生が横目で彼女を見た。


「サボったのか?」


「やったよ。おおかた理解はできた。」


「よし、それでいい。」


灯恵は、雪原を見つめながら小声で話す。


「勉強嫌いだから、学校の授業なんてろくに受けようと思わなかった。けど、みんなの役に立つ為って言われたら、やらないわけないよ。」


「そうか。それは頼もしいな。その努力が後々この国を動かすことになるだろう。」


「そんな大それたことじゃないだろ。」


「さあどうかな。」


灯恵は、焚火で沸かしたお湯を先生のコップに注いだ。先生が、彼女の将来をどう考えているかはわからない。だが、とんでもなく重要な仕事に就かせようとしているのは確かだった。





総攻撃の指令が全軍に行き届く。俺は、配下の兵隊を率いて我先にと山を下り敵陣に突撃する。先ほどの件を踏まえて、紗宙は雪愛の後ろに乗ってもらった。俺は典一を後ろに乗せて、ただひたすら敵将を探して戦場を駆け巡った。
AIM軍に対して、断固抵抗する構えを見せていた官軍であったが、落合から攻め上った別働隊に脇腹を突かれて総崩れとなった。官軍は次々と退却を開始。この段階で南富良野は、AIMによって制圧された。だが、俺は功を焦ってしまう。なぜなら、サクに実力を認めさせたかったからである。
官軍は崩れたが、敵将はまだ討ち取れてはいない。俺は、典一とともに一騎で敵将を追いかけ、旭川方面へと突き進んだ。 敵のしんがりを何度も討ち倒して、ようやく残り三騎というところで見失った。
典一は、功に焦る俺を諌めてくる。


「リーダー、もう充分です。引き返しましょう。」


彼の言う通り、もう充分なのかもしれない。しかし、引き下がろうとは思えない。


「それでは、ここまで追ってきたことが無駄になる。」


「無駄ではございません。官軍にAIMの恐ろしさを申し分なく味あわせることができました。これで敵が迂闊に帯広へ侵攻してくることがなくなり、道東の攻略に専念ができます。」


心残りがあった。しかし、彼の言うことも一理ある。


「やむを得ないな。引き返すぞ。」


スノーモービルを旋回させ、来た方向へ戻ろるべくアクセルを踏もうとする。だがこの時、とんでもないことに気がついてしまった。
敵を討ち果たすことに夢中になりすぎて、電波の届かぬ未開の地に、足を踏み入れていたようだ。
背後を振り返ると、走ってきた轍も雪でかき消されている。つまり、敵だけではなく、自分の現在地も見失っていたのだ。


「どこもかしこも真っ白で目印もない。これは困りましたな...。」


俺は考えた。ここらの地理に詳しいわけでもなければ、雪山のエキスパートというわけでもない。どうすれば、生きて幾寅まで帰ることができるのであろうか。
考えた末に、現状を脱する策をひらめく。


「何か棒のようなものはないか?」


「トマムの戦いで使用した旗がございますぞ。」


「そいつをここに突っ立てて現在地を明確にしよう。そして旗を背に一直線に戻れば、幾寅へたどり着けるかもしれない。」


「確かに、それは妙案ですな。」


雪原の風が吹雪に変わり始めていた。視界が最悪で、目の前の景色すらまともに見えない中、スノーモービルで雪原を駆け抜ける。そして何とか山地にたどり着いたあたりで、スノーモービルがガス欠を起こして動かなくなった。
俺たちは、吹雪が収まるまで偶然見つけた岩陰に潜むことになる。運の良いことに、誰かが忘れていったキャンプ用の薪が見つかったので、持っていた火薬を爆発させて火を起こした。


「巻き込んで悪かった。」


「いや、とんでもない。私こそもっと早く撤退を促すべきでした。」


「自惚れていた。それに焦っていた自分の心の弱さが、こんな自体を招くなんて思いもしなかった。」


「リーダーの気持ちもわからなくもないです。数日前にいきなり戦場に立ったと思えば連勝続き。それは私でも自惚れてしまいます。」


つい気落ちして弱音を吐いてしまう。


「それにサクに対して少し焦りを感じていた。その結果がこれだ。本当にすまなかった。」


正直、俺たちに生きて帰れる保証はない。平和な時代であれば、もしかしたら自衛隊や警察が捜索してくれていたかもしれない。はたまたは、地域の猟友会や除雪業者と運よく鉢合わせて、命拾いしたかもしれない。
だけど今は違う。もうこの地域に、駆けつけてくれる自衛隊や警察はいない。いたとしても、それに見つかれば俺たちは刑務所に連行されて、革命罪で処刑が間違えないだろう。そして、この戦時中の北海道で、わざわざ街から出ようとする除雪業者や猟友会も存在しない。はたまたは、AIM軍の救助部隊がきてくれることも考えられる。だけど、サクが俺たちを死んだことにして、そのまま放置することも考えられる。
そうすると、他人の力が期待できない。だから自力で、どこにあるのかもわからない幾寅へ向かわねばならないのだ。
外の吹雪もまだ止みそうにない。俺たちは寒さに耐えながら、死の瀬戸際を縄にしがみつきながら歩いていくのだった。






幾寅に置かれた本陣では、戦勝祝いで和気藹々としていた。どうやら、俺と典一が行方不明になったことは、将兵の士気の低下にもつながりかねないため非公開にしているらしい。
しかし、参謀室はもちろん緊迫感に包まれている。サクがまたもや暴言を撒き散らしていたからだ。


「あのバカは何をやっているんだ!せっかく50人の部下を任せる隊長にしてやったのに、自分勝手なことしやがって!」


サクは、紗宙と仲が良い俺への嫉妬も合間ってか、激しくバッシングしていた。そんな彼に先生が言う。


「すぐに捜索隊を出します。急ぎ人選を。」


サクは、何言ってんだという目で先生を見る。


「何だと?そんなの兵隊の無駄だ。それに、あいつほどの生命力があれば、勝手に這い上がってくるだろう。」


すると灯恵が立ち上がり、サクを問い詰める。


「じゃあお前は、蒼と典一を見殺しにするって言うんだな?」


サクは笑う。


「俺は試してるのだ。奴が本当に生きる価値があるのかをな。」


灯恵は怒りを抑えきれずに、彼の頰を思い切りビンタをした。サクは、想定外で驚きを隠せていない。


「いい加減にしろ!!自分が偉い立場だからって好き勝手言いやがって!!そんなら私が1人でも助けに行く!!」


サクは、首長の息子でもある自分に対して、堂々と反抗してくる彼女へ苛立ちながら、悪口も込めて言い返す。


「バカな不良娘が。死ににいくようなもんだぞ。」


灯恵は、その態度に対して更に腹を立て、部屋を出て捜索へ出かけようとした。そんな彼女を先生が止める。


「吹雪が止むのを待った方が良い。そしたら一緒に探しに出よう。」


灯恵が声を張り上げる。


「2人は、雪山で一晩過ごせる装備をしてないんだろ!それに、この吹雪は明日の昼頃まで続くってニュースで言ってた...。一歩遅れれば死ぬかもしれないのに、待ってなんかいられるかよ!!」


先生は、彼女の目をまっすぐ見た。


「冷静になりなさい!!」


その冷たいようだが悟すような一言で、灯恵はつい黙り込んでしまう。
先生は、口調を改め、彼女に優しく言う。


「蒼と典一を信じよう。」


灯恵は俯いて、先生と顔をあわせることもなく部屋を出ようとした。すると、扉の前に雪愛と紗宙が立っていた。
雪愛が先生に声をかける。


「先生、私におまかせ下さいな!」


「雪愛か。確かに雪山には慣れているようだが外は猛吹雪。さすがに危ないんじゃないか?」


彼女は、自信満々で答える。


「大丈夫!元札幌官軍近衛部隊の実力見せたります!」


先生は悩む。しかし、雪愛の自信満々の顔を見ると、紡いでいた口を開いた。


「わかった。雪愛に2人の捜索を任せる。」


彼女は明るい顔で、ハツラツと答える。


「ありがとうございます!!絶対に見つけ出しますね!」


それから早速準備に取り掛かるため、スノーモービルが止めてある車庫へ向かっていく。彼女が部屋を出てから、紗宙が先生に言う。


「私もついていく!」


サクが止めとけといった顔で紗宙を見た。だが彼女は、そんなものを見抜きもせずに先生にお願いする。
だけども、先生はそれを許さなかった。


「たとえ雪愛と一緒でも、吹雪の雪山は非常に危険な場所です。今は行くことを許可することはできません。それに、もし貴女が死んだとして、リーダーが帰ってきたらどう思われるでしょうか。彼はとても悲しむことでしょう。そんなリーダーを私は見たくないのです。」


それを聞いた紗宙は、自分の力では何もできない悔しさから、拳を強く握りしめていた。そんな彼女を宥めるように、先生は声をかける。


「ですが、吹雪が止んで視界が確保できたら、灯恵も連れて捜索へ向かいましょう。私も身内の誰かが死んでいくのはもうこりごりです。だからそれまで辛抱してください。」


彼女は、悔しさを押し殺しながらも、先生の目を見て答える。


「そうね。わがまま言ってごめんなさい。」


「大丈夫です。革命団のメンバーは、私にとって家族のようなものです。誰1人として無駄死にはさせるつもりはございません。」


この言葉を聞き終えると、紗宙と灯恵も明日の準備をすると言って部屋を出た。残った先生は、サクにお願いする。


「と言うわけなので、救命ソリを使わせていただきますよ。」


するとサクは、ぶっきらぼうに言い放つ。


「勝手にしろ。そして、明後日の朝までには必ず戻るんだぞ。」


「ええ、必ずや全員生きてここへ戻ります。」


サクは、ふてくされながら椅子に腰をかけると、疲れた顔で天井を見る。彼もまた、嫉妬心が故にひどいことを言ってしまったと、彼なりに反省しているようだった。






将兵たちが去ってから、雪愛は車庫へ入った。彼女が携帯を確認すると、タイミングよく電話がかかってくる。スノーモービルの点検をする片手間で電話に応答した。
雪愛は、周囲を確認しながら小声で話す。


「お疲れ様です。どうしましたか?」


「捜査の方は順調か?」


「もちろんですよ。青の革命団と接触できましたしね!」


電話の相手のトーンが上がる。


「おお、それは本当か!それで奴らのことは何かわかったか?」


「概要程度はわかりましたよ。まあそれも、あと少しで意味をなさなくなると思いますが。」


「どう言うことだ?」


雪愛は嬉しそうに答える。


「掴んでしまったんです。リーダーの北生蒼を暗殺する絶好の機会を。」


電話の相手は笑う。


「ふはははは。それは面白い。また何か動きがあればすぐ報告してくれ。」


「ええ、すぐに報告しますね。」


そう言い終えると電話が切れた。
彼女は、ヒグマ対策で拝借した猟銃を背負うと、スノーモービルのエンジンをかけた。そしてゴーグルを着け、アクセルを全開にして車庫を飛び出す。ゴーグルに覆われた彼女の瞳は、北生蒼の命しか見てはいない。






(第三十六幕.完)
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登場人物紹介

・北生 蒼(きたき そう)

本作シリーズの主人公であり、青の革命団のリーダー。

劣悪な家庭環境と冴えない人生から、社会に恨みを抱いている。

革命家に憧れて、この国を変えようと立ち上がる。

登場時は、大手商社の窓際族で、野心家の陰キャラサラリーマン。

深い闇を抱えており、猜疑心が強い。

自身や仲間を守るためになら手段を選ばず、敵に残忍な制裁を加えて仲間から咎められることも多い。

非常に癖のある性格の持ち主ではあるが、仲間に支えられながら成長していく。

仙台にて潜伏生活中に、恋心を抱いていた紗宙に告白。

無事に彼女と恋人関係になった。



・袖ノ海 紗宙(そでのうみ さら)

青の革命団メンバー。

蒼の地元の先輩であり、幼馴染でもある。

婚約者と別れたことがきっかけで、有名大学病院の医療事務を退社。

地元に戻ってコンビニでバイトをしていた。

頭も良くて普段はクールだが、弟や仲間思いの優しい性格。

絶世の美人で、とにかくモテる。

ある事件がきっかけで、蒼と共に旅をすることになる。

旅の途中でヒドゥラ教団に拉致監禁されるが、蒼たち青の革命団によって無事救出される。

そして蒼からの告白を受け入れ、彼とは恋人同士の関係になった。


・直江 鐘ノ助(なおえ かねのすけ)

青の革命団メンバー。

蒼の大学時代の親友で、愛称はカネスケ。

登場時は、大手商社の営業マン。

学生時代は、陰キャラグループに所属する陽キャラという謎の立ち位置。

テンションが高くノリが良い。

仕事が好きで、かつては出世コースにいたこともある。

プライベートではお調子者ではあるが、仕事になると本領を発揮するタイプ。

蒼の誘いに乗って、共に旅をすることになる。

結夏に好意を抱いており、典一とは恋のライバルである。


・諸葛 真(しょかつ しん)

青の革命団メンバー。

蒼が通っていた自己啓発セミナーの講師。

かつては国連軍の軍事顧問を務めていた天才。

蒼とカネスケに新しい国を作るべきだと提唱した人。

冷静でポジティブな性格。

どんな状況に陥っても、革命団に勝機をもたらす策を打ち出す。

蒼の説得により、共に旅をすることになる。

彼のおかげで今の革命団があると言っても良いくらい、その存在感と功績は大きい。

革命団のメンバーからは、先生と呼ばれ親しまれている。


・河北 典一(かほく てんいち)

青の革命団メンバー。

沼田の町で、格闘技の道場を開いていた格闘家。

ヒドゥラ教団の信者に殺されかけたところを蒼に助けられる。

それがきっかけで、青の革命団に入団。

自動車整備士の資格を持っている。

抜けているところもあるが、革命団1の腕っ節の持ち主。

忠誠心も強く、仲間思いで頼りになる存在でもある。

カネスケとは結夏を巡って争うことがあるが、喧嘩するほど仲が良いと言った関係である。


・市ヶ谷 結夏(いちがや ゆな)

青の革命団メンバー。

山形の美容院で働いていたギャル美容師。

勝気でハツラツとしているが、娘思いで感情的になることもある。

手先が器用で運動神経が良い。

灯恵の義理の母だが、どちらかといえば姉のような存在。

元は東京に住んでいたが、教団から命を狙われたことがきっかけで山形まで逃れる。

流姫乃と灯恵の救出作戦がきっかけで、革命団と行動を共にするようになる。

山寺の修行で投げナイフの技術を取得。持ち前のセンスを活かして、革命団の危機を何度も救った。

蒼や先生は、彼女のことを天才肌だと高評価している。

革命団のムードメーカー的存在でもある。


・市ヶ谷 灯恵(いちがや ともえ)

青の革命団メンバー。

結夏の義理の娘。

家出をして生き倒れになっていたところを結夏に助けられた。

15歳とは思えない度胸の持ち主。

コミュ力が高い。

少々やんちゃではあるが、芯の通った強い優しさも兼ね備えている。

秋田公国に拉致されたところ、革命団に助けれる。

それがきっかけで、共に行動することになる。

戦場では戦えないものの、交友関係を作ったりと、陰ながら革命団を支えている。

先生から才を認められ、彼の弟子のような存在になりつつもある。


・関戸 龍二(せきど りゅうじ)

青の革命団メンバー。

『奥州の龍』という異名で恐れられた伝説の不良。

蔦馬に親族を人質に取られ、止むを得ず暴走天使に従っていた。

蒼と刃を交えた時、彼のことを認める。

革命団が蔦馬から両親を救出してくれたことに恩を感じ、青の革命団への加入を決める。

寡黙で一見怖そうだが意外と真面目。

そして、人の話を親身になって聞ける優しさを兼ね備えている。

蒼にとって、カネスケと同等に真面目な相談ができる存在となる。

真冬の北海道でもバイクを乗り回すほどのバイク好き。


・酒々井 雪路 (しすい ゆきじ)

青の革命団メンバー。

かつては政治家を目指して、東京の大学で法律を学んでいたが、少数民族の為に戦いたいという思いから北海道へ渡り、AIMに参加する。

ツーリングが趣味で、それ故に機動部隊へと配属されてしまう。

だが、そこで龍二と出会い、彼の紹介で青の革命団へと加入。蒼や先生とともに、新国家の憲法作成することになった。



※第三十八幕から登場

・イカシリ

青の革命団メンバー。

AIM軍の腕利きのスナイパーで、アイヒカンの部隊に所属していた。

射撃の腕は一流で、雪愛(美咲)から密かにライバル視されている。

南富良野で蒼と一緒に戦った時、彼に才能を認められ、次第と行動を共にすることが多くなる。そしていつの間にか、蒼の配下のスナイパーとなり、彼の元で官軍と壮絶な銃撃戦を行う。

服が好きで、アイヌの伝統衣装を自分でアレンジして作った服を着こなしている。



※第三十六幕から登場

・間宮 恋白 (まみや こはく)

青の革命団メンバー。

麟太郎の娘で、年齢は4歳。

生まれたばかりの頃、麟太郎が官軍に捕えられてしまい、母子家庭で育つ。

紋別騎兵隊が街に侵攻した時、母親を殺され、更には自分も命を狙われるが、サクの手により助けられた。

それから灯恵の力により、北見の街を脱出して、一命を取り留める。

命の恩人でもある灯恵のことを慕っている。また彼女から実の妹のように可愛がられており、「こはきゅ」という愛称で呼ばれている。



※第四十四幕から登場

・間宮 麟太郎 (まみや りんたろう)

青の革命団メンバー。

恋白の父親で、元銀行員。

網走監獄に捕らえられていたが、AIMの手により助け出された。

娘が灯恵により助けられたことを知り、何か恩返しがしたいと青の革命団に参加する。

経済について詳しく、蒼からは次期経済担当大臣として、重宝されることになる。

また長治とは、監獄で共に生活していたので仲が良い。



※第五十一幕から登場

・許原 長治 (ゆるしはら ちょうじ)

青の革命団メンバー。

元力士。北海道を武者修行していた時、AIMに協力したことがきっかけで、網走監獄に捕らえられていた。

囚人達からの人望が熱く、彼らをまとめ上げる役を担っていた。

AIMに助けられた後は、青の革命団に興味を持ち、自ら志願する。

典一と互角にやりあうほど喧嘩が強く、蒼や先生からの期待は厚い。

監獄を共に生き抜いた間宮と、その娘の恋白とは仲が良い。



※第四十三幕から登場

・レオン

紗宙が飼っている茶白猫。

元は帯広市内にいた野良猫であったが、紗宙と出会い、彼女に懐いてAIM軍の軍用車に忍び込む。

大雪山のAIM陣で紗宙と再会して、彼女の飼い猫になった。



※第五十二幕から登場

・石井 重也 (いしい しげや)

青の革命団メンバーであり、日本の国会議員。

矢口宗介率いる野党最大の政党、平和の党の幹事長を勤めている。

党首である矢口から命を受け、用心棒の奥平とともに北海道へ渡航。先生の紹介で蒼と会い、革命団への加入を果たす。

政治に詳しい貴重な人材として重宝され。雪路とともに、新国家の憲法作成に携わっていくこととなる。

頑固で曲がったことが嫌いな熱い性格だが、子供には優しいので、恋白から慕われている。

元青の革命党の党員でもあり、革命家の江戸清太郎と親しい関係にあった為、革命家を志す蒼に強く共感していく。



※第五十四幕から登場

・奥平 睦夫 (おくだいら むつお)

青の革命団メンバー。

平和の党の幹事長である石井の用心棒として、共に北海道へ渡航。先生の紹介で蒼と会い、革命団への加入を果たす。

石井とは青の革命党時代からの知人で、かつて彼の事務所で勤務をしていた。その頃、江戸清太郎の演説を聞きに来ていた蒼にたまたま遭遇している。

普段は物静かだが、心の中に熱い思いを持った性格。



※第五十四幕から登場

羽幌 雪愛(はほろ ゆあ)

札幌官軍三将の豊泉美咲が、AIMに潜入する為の仮の姿。

青の革命団について調査する為に、蒼や先生に探りを入れたり、時には彼らの命を狙う。

その一方で、スナイパーとしてAIM側で戦に参戦。戦力として大いに貢献。紗宙や灯恵と仲良くなり、彼女らに銃の手解きをする。

また、その関わりの中で紗宙の優しさに触れ、スパイであることに後ろめたさも生まれてしまう。

性格はポジティブで明るいが、裏に冷酷さも兼ね備えている。



※第三十五幕から登場

・矢口 宗介 (やぐち そうすけ)

国会議員で、先生の旧友。

27歳の若さで初当選を果たし、33歳で野党最大の政党である平和の党の党首まで上り詰めた。

温厚で正義感が強く、日本国を腐敗させた神導党と激しく対立。神導党の後継団体であるヒドゥラ教団から、命を狙われている。

内からの力だけでは日本国を変えられないと判断して、旧友である先生が所属する革命団に未来を託すべく、石井と奥平を北海道へと派遣した。

蒼や先生にも負けず劣らずのロン毛が特徴。



※第五十四幕から登場

・イソンノアシ

AIMの首長であり、英雄シャクシャインの末裔。

サクの父親でもあり、温厚で息子思いの性格。それ故に、AIM軍や統治領域の民衆からの人望が厚い。

諸葛真が大学生の頃、遭難から救ったことがきっかけで、彼とは親友の仲になる。

サクの和人嫌いというトラウマを克服させる為に、彼を革命団の案内役に任命した。


・サク

イソンノアシの息子で、英雄シャクシャインの末裔。

毒舌で攻撃的な性格。

実行力と統率力、そして軍才があるので、AIM関係者からの人望が厚い。また父を尊敬していて、親子の関係は良好。

しかし、交戦的で容赦がないので、札幌官軍からはマークされている。

かつては、温厚かつ親しまれる毒舌キャラだったが、恋人を官軍に殺されたから変貌。和人を軽蔑して、見下すようになったという。

殺された恋人と瓜二つの紗宙へ、淡い好意を寄せる。



・ミナ

サクの元婚約者。

アイヌ民族の末裔で、自らの出自やアイヌの文化に誇りを持っており、北海道を愛していた。

2年前、裏切り者の手によってサクと共に捕らえられる。

そして、彼の目の前で、松前大坊に殺された。



※第三十三幕と第五十幕で登場

・ユワレ

サクの側近であり、幼馴染でもある。

正義感が強く、曲がったことが好きではない性格で、みんながサクを恐れて諌めようとしない中、唯一間違っていることは間違っていると言ってのける存在。

また忠義に熱く、蒼から何度も革命団への入団オファーを受けるが、全て断り続けている。



※第三十三幕から登場

・アイトゥレ

AIM幹部の筆頭格で、イソンノアシやサクの代わりに、軍の総大将を務めることも多々ある。

歴史ファンで、特に好きなのが戦国時代。お気に入りの武将は本多忠勝。

道東遠征で、共に戦うカネスケの才を見抜き、別働隊を任せるなど、彼に軍人としての経験をつませる。



※第三十八幕から登場

・京本 宗男(きょうもと むねお)

北海道知事であり、札幌官軍の代表。

日本政府の指示の元、北海道の平和を守る為に、AIMとの紛争に身を投じた。

政府に忠誠を尽くす一方で野心家でもあり、いつかは天下を取ろうと画策している。

それ故に、紛争を理由に軍備の増強を図る。

人の能力を的確に見抜き、公平な評価を下すことから、部下からの信頼は厚い。

公にはしていないがヒドゥラ教団の信者で、土龍金友のことを崇拝している。



※第三十二幕から登場

・土方 歳宗 (ひじかた とししゅう)

札幌官軍三将の筆頭で、身長190㎝超えの大男。

京本からの信頼も厚く、札幌官軍の総司令官の代理を務めることもある。

武術の達人で、国からも軍人として評価されており、一時期は先生と同じく国連軍に所属していた経験もある。

北海道の治安を守る為にAIMとの戦争で指揮を取るが、特にアイヌやAIMを憎んでいるわけではない。

部下からも慕われていて、特に美咲は彼のことを尊敬している。また彼女と同様に松前の残虐非道な行為をよく思ってはいない。



※第五十一幕から登場

・豊泉 美咲(とよいずみ みさき)

札幌官軍三将の1人。

セミロングの銀髪が特徴的なスナイパー。銃の腕前は、道内一と言われている。

性格はポジティブで、どんな相手にも気軽に話しかけられるコミュ力の持ち主。

京本からの指示を受け、青の革命団の実態調査の任務を引き受ける。

キレ者で冷酷な所もあるが、非道な行為を繰り返す同僚の松前を心底嫌っている。



※第三十ニ幕から登場

・松前 大坊(まつまえ だいぼう)

札幌官軍三将の1人。

人柄はさておき、能力を買われて三将の地位まで上り詰める。

サクの恋人を殺害した張本人。

類を見ない残忍性で、AIMおよびアイヌの人々を恐怖に陥れた。

再びAIM追討部隊の指揮官に任命され、AIMと革命団の前に立ち塞がる。



※第三十ニ幕から第五十幕まで登場

・エシャラ

イソンノアシの弟で、サクの叔父に当たる人物。

元AIMの幹部で、考え方の違いから、札幌官軍に内通して寝返る。

サクとミナを松前大坊へ引き渡し、ミナの殺害に少なからず加担した。

温厚だが、自分の信念を曲げない性格。

AIMをえりもへ追いやって以降は、松前の手先として帯広地域を統治していた。



※第三十三幕〜三十四幕で登場

・御堂尾 神威 (みどうお かむい)

紋別騎兵隊の副隊長。

日本最恐の軍隊と恐れられる騎兵隊の中でも、群を抜く武勇と統率力を誇る。

しかしその性格は、冷酷で自分勝手で俺様系。

人を恐怖で支配することに喜びを覚え、敵対した者は、1人残らず殺し、その家族や周りにいる者、全てを残忍な方法で殺害。

また、騎兵隊の支配地である紋別の町では、彼の気分次第で人が殺され、女が連れさらわれていた。

その残酷さは、松前大坊と匹敵するほど。

結夏に因縁があるのか、執拗に彼女のことを狙う。



※第四十一幕から登場


・御堂尾 寿言 (みどうお じゅごん)

神威の弟で、紋別騎兵隊の隊員。

兄と同じく残忍な性格。

兄弟揃って紋別の町にふんずりかえり、気分で町の人を殺したり、女性に乱暴なして過ごしている。

食べることが好きで、体重が100㎏を超えている大男。

兄の神威と違い、少し間抜けな所があるものの、他人を苦しめる遊びを考える天才。

大の女好き。



※第四十二幕から第四十八幕まで登場

・北広島 氷帝 (きたひろしま ひょうてい)

紋別騎兵隊の隊長で騎兵隊を最恐の殺戮集団に育て上げた男。

『絶滅主義』を掲げ、戦った相手の関係者全てをこの世から消すことを美学だと考えている。

松前大坊からの信頼も厚く、官軍での出世コースを狙っていた。



※第四十六幕から第四十九幕まで登場

・仁別 甚平 (にべつ じんべえ)

黒の系譜に選ばれた者の1人。

カニバリズムを率先して行い、雪山で焚き火をして遭難者を寄せ付け、殺害しては調理して食べる、という行為を繰り返している。

特に若い娘の肉を好んで食す。

リンに狂酔しており、彼女の興味を一心に浴びる蒼を殺そうと付け狙う。



※第四十二幕から登場

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