第五十七幕!天才再び

文字数 5,901文字

 スノーモービルの排気音が、どこか遠く果てへと消えていく。
 俺は、雪の上で仰向けになりながら白銀の空を見つめていた。空から舞い落ちる粉雪は、これまで天を覆っていた悪夢が破裂して灰となって降り注いでいるみたいだ。雪が降っているにも関わらず、雲間から時々顔を出す太陽が俺を照らしていた。
 しばらくすると、陣中が大騒ぎとなっていく。まあ当然だろう。毒事件の犯人が札幌官軍の幹部の豊泉美咲で、彼女を捕縛しようとした数人の兵士が死傷したのだから。
 雪の上で起き上がると、誰かがこちらへと駆けてきた。振り返り確認したところ、そこには息を切らして死にそうな顔をしたサクとユワレが居た。
 サクは血相を変えている。


「おい蒼!大丈夫か?」


 俺は、昨日まで散々疑いをかけてきたこの男を冷たくあしらった。


「死んで欲しいんじゃなかったのか?」


 すると彼は、素直に頭を下げる。その姿は、純粋なのか哀れなのかわからない無様なものである。


「すまん。本当に申し訳ないことをした。許してくれ。」


「お前の見る目の無さには呆れたぞ。」


 ここらでサクを徹底的に懲らしめようと食ってかかろうとした。
 すると、ユワレがその場で跪き頭を下げた。


「蒼どの。誠に大変申し訳ございませんでした。どうかサク様の失敗をお許しください。お願いします。」


 彼は、冷たい雪に額をつけて、何度も何度も俺に許しを請う。それを見たサクは、プライドを捨てた自分の部下の行動に目をまん丸くしている。


「おいユワレ!そこまでしなくてもいいだろ!」


 すると彼は、主人であるサクを叱咤する。


「サク様!!私たちは、そこまでしなくてはいけないのです。今まで散々お世話になった仲間に対して、凄惨な仕打ちをしてしまったのですから。誇りも命すらも捨ててでも、彼らに許してもらえるまで頭を下げなければいけないのです。」


 俺みたいな凡人に対して、プライドや見栄を投げ捨てて謝罪してくるユワレ。そんな彼の姿に俺は心を動かされていた。
 すると、サクもぎこちなく土下座をした。


「蒼、済まなかった。ユワレの言うとおりだ。俺はもう恥ずかしくて、お前ら革命団に顔向けができねえ。本当に許してくれ。」


 あのプライドが高くて負けず嫌いなサクも土下座をしている。
 俺は改めて決心する。


「サク、ユワレ、俺なんかに土下座はしないでくれ。また手を取り合って、共に未来へ向かって戦おう。」


 サクとユワレは、まだ頭を下げ続けていた。
 そんな彼らを見て、うねるように湧き上がっていたAIMへの憎しみは、いつの間にか泡となって弾け散っていた。もう彼らを憎む理由なんてどこにもない。


 ◇


 2人とたわいも無い会話をしながら陣へ戻る。そして彼らと別れた後、朝食をすませる為に炊事場へと向かった。 するとそこには、浮かない顔をしながら席に座る紗宙の姿があった。
 彼女は元気が無く、朝食の雑炊に一切手を付けていない。
 俺は、そんな彼女の横に座り、いつものように何気なく話しかけた。


「飯が冷めるぞ?」


「わかってる。」


 弱々しい声で返事が返ってきたと思うと、また何かを考え込み始めてしまう。


「あいつのこと、考えているの?」


 彼女は小さく頷いた。周囲が真犯人の発見で活気付く中、彼女だけは悲しみに暮れていたのだ。


「蒼は、美咲のこと恨んでる?」


 俺は言葉に詰まった。普段であれば、あいつの頭を一升瓶で叩き割りたい気分だ、とか言っていただろう。でも、今回はそんな悪口が何故か湧き上がってこなかった。理由は簡単で、大切な人が悲しむ顔を見たくなかったからだ。


「あいつもあいつの使命を全うしようとしただけだ。これ以上言うことはない。」


 俺の意外な答えを聞いた紗宙は、表情が少しばかり和らいだ。


「私、みんなからどれだけ罵倒されても、美咲の友達を辞めるつもりないから。」


 俺は、彼女の冷えた手の平に手を重ねる。


「わかった。みんなが紗宙を否定したとしても、俺は味方だ。」


 彼女が俺の手に指を優しく絡める。


「ありがとう。」


 俺は朝の寒空を見上げた。雪雲と青空がバランスの良い按配で敷き詰められていた。


「だが、あいつと戦場で対峙した時は、容赦無く殺す。それが戦争だ。」


 彼女が余計なことを言わないでとばかりに手を強く握る。だけども、それが現実だということを受け入れられないほど子供ではない。


「わかった...。」
 

 俺は、しぶしぶ受け入れている彼女を見て、また尖った発言をしてしまったと若干後悔した。


「こんな悲しみをこれ以上産まない為にも、この国を必ず作り変えてみせる。」


「そうだね。必ず平和を取り戻さないとね。」


 友達が宿敵となってしまった悲しみは消えない。俺と紗宙は、戦場で美咲と再会しないことを祈りながら、次の戦いへ向けて進んでいくのだった。


 ◇


 翌昼。数台の軍用車が山の麓へ到着した。イソンノアシとサク、それにAIM幹部の面々が頭を深々の下げている。俺は、木に寄りかかりながら、腕を組んでその光景を見守っていた。
 車から先生と見知らぬ男が2人降りてきた。先生がイソンノアシの前へとやってくる。


「首長、頭を上げてください。私は、あなた方を憎む気持ちなど微塵もございません。」


「しかし我々は、あなたや蒼殿、そして革命団に大変無礼な行いをしてしまった。そう簡単に許されることではない。」


 すると、先生も申し訳なさそうに答える。


「いえ、首長とサクは、AIMを守る為にしてしまった行為。何も間違いではございません。あれは官軍に付け入る隙を与えてしまった私の不手際。こちらこそ使命を全うできず申し訳ございません。」


 サクが先生に近づいてくる。彼は後ろめたさで一杯なのか、目がキョロキョロと泳いでいた。


「真。申し訳なかった。その上でこんなことを言うのはおこがましいかもしれないが、また共に戦ってくれないか。頼む。」


 先生が俺の方をチラリと見る。


「私は構いませんが、それをどうするかはリーダー次第でございます。」


 一同が俺の方へと視線を向ける。先生の後ろに立っている見知らぬ2人もこちらへと注目を向けた。
 昨日のこともあり、彼らへの憎悪は清算している。だからこそ、自身を持って発言できるのだ。


「いいだろう。俺達は共に、未来ある新しい時代のあり方を求める者同士だ。再び手を組み、必ずや官軍に勝ち、腐敗したこの国家を変えるぞ!!」


 俺がそう宣言すると、イソンノアシとサクは深々と感謝を述べた。そしてAIMの幹部達から歓声が湧き上がる。それを見た先生は、よくやりましたと言わんばかりに笑みを浮かべてこちらを見た。
 俺もそれに合わせ、よく戻ってきたと言わんばかりの笑みを返した。
 先生の後ろにいた石井と奥平は、その連携プレイと信頼関係に気づき、只々関心させられていたのだという。


 ◇


 皆が解散して持ち場へと戻っていく。先生が戻ってきたことで、AIMが再び一枚岩へと戻った気がした。
 先生が2人の男をつれてやってきた。2人の男は、俺の顔を疑い深く見つめていた。


「リーダー。お久しぶりでございます。束の間の休暇、ありがとうございます。」


 それを聞いて笑ってしまった。


「先生にとっては謹慎生活すら休暇か。」


「ええ。戦場から離れたことで、改めて冷静に戦況や世の情勢を見ることができましたので。」


「ははは、それは良かった。俺は、先生と会えないのが寂しかったけどな。」


「これはこれは、申し訳ございません。」


 俺は、先生の後ろの2人を睨んだ。1人は50手前くらいの白髪混じりのおっさん。彼は、スーツの上にロシア軍が来ているような防寒性抜群のコートを羽織っている。
 もう1人は30中盤くらいの中年。彼はイケメンで、髪型も若々しいパーマのかかったマッシュベースのミディアムヘア。遠目から見ると数歳は若く見えるところだ。しかし、目つきは鋭く。どこか革命家のような雰囲気が漂っている。


「こいつらは誰だ?」


「おおそうでした、この2人は矢口党首が東京から派遣してくれた方々です。右が平和の党の幹事長である石井重也どの、左がその用心棒をしている奥平睦夫でございます。」


 石井が俺の目を見た。その眼差しは鋭く、計り知れない意志の強さを感じる革命家の目つきだ。


「平和の党の石井重也と申します。北生蒼どの、お目に書かれことができて光栄です。」


 俺は、どうやらこいつのことをどこかで見たことがあるようだ。いったいどこでだろうか。記憶を遡っても思い出せない。


「お前のこと、どこかで見たことがある気がするのだが。」


「テレビではないですか?
 私も若き日から政治活動をしていたので。」


 テレビだとしたら、何の番組だったかな。考え込んでいると、先生が補足を入れる。


「石井殿は、元青の革命党の党員で、江戸清太郎や千秋義清の秘書をしていたことがございます。もしかしたらその時ではないですか?」


 思い出した。まさしく先生の言う通りである。まだ中学生だった当時、テレビで青の革命の特集番組を見ていた時、インタビューコーナーで革命について語ってた男だ。


「なるほど。どおりで見覚えがあるわけだ。」


 俺は、隣にいる奥平にも目を向ける。よくよく見ると、彼もまた青の革命の関係者だ。俺が中学2年の頃、清太郎の演説を聞きに言った時、受付に立っていたお兄さんである。


「石井も奥平も青の革命の関係者とは、これも何かのご縁かな。」


 奥平が俺に疑問を投げかけた。


「北生殿。あなたと青の革命の関係とは?」


 俺は鋭い眼差しで彼を見つめた。


「江戸清太郎を尊敬している。俺が彼の意思を継ぎ、日本国をひっくり返す革命の後継者だ。」


 思ったよりも迫力が出ていたのだろうか。石井と奥平の目つきが更にギラついたように感じた。そんな雰囲気を元に戻すかのように、先生が割って入る。


「リーダー。お二人は、矢口殿から我々の野望を見届けろとの指示を受けてここまで来ています。彼らを青の革命団に加入させてください。」


 俺が再び石井に目を向ける。すると彼は、どうやら俺に興味を持ったらしく、目があった瞬間に頭を下げてくる。


「北生殿。どうか私たちも、あなたの目指す革命の道を共に歩かせて頂けないでしょうか?」


 即答したらリーダーとしての格が下がる。少し考えるフリをしてから答えた。


「良いだろう。政治に詳しい人材を欲していたところだ。共に国を起こし、日本を変えていこうではないか。」


 それを聞いた石井と奥平は、ホッと一息をついた。東京から危険を冒してここまで来たのに、断られたらどうしようかと不安だったのだろう。
 こうしてまた新たに2人が加入したことで、革命団メンバーは14人へと増える。俺と先生は、石井が来たことで、一層国づくりの下準備に力を注いでいくことになる。


 ◇


 美咲が去り、先生が戻ってきた日の夜。俺が石井や奥平と革命について語り合っている頃。先生は、陣中の広場へと足を運んだ。
 そこには紗宙がいた。彼女は、篝火で暖をとりながら、真冬の星空を眺めている。
 先生が来たことに気がつくと、彼女はスッと振り向いた。


「先生!」


 先生は、彼女に深々と頭を下げる。


「紗宙。あなたには何と感謝すれば足りるのでしょうか。革命団の危機、そしてAIMを救ったのは、あなた以外に他ならないのです。本当に救世主と呼んでも過言じゃありません。ありがとうございます。」


 彼女は、首を横に振る。


「私はそんな大それたことはしていません。ただ、苦しむ仲間たちの姿を見たくなかっただけなんです。」


 先生は、穏やかな表情で彼女の言葉を聞いていた。


「雪愛のこと、聞きましたよ。」


 すると彼女の表情がくすんだ。


「私、撃ち殺すことができませんでした。彼女はAIMにとっては危険人物なのに...。」


 先生が彼女の目を見た。すると紗宙は、一度呼吸を整えてから言う。


「だから、こんな人間が救世主なんて呼ばれるのは、おこがましい話です。」


 すると先生は、星空へと目を向ける。


「だからこそ、あなたを救世主と呼びたいのですよ。」


 紗宙は意外な答えに戸惑う。


「え?」


 先生は、星を指でなぞりながら語りかける。


「最後にこの世界を救うのは、武力でも知略でもお金でも人脈でもありません。」


「では一体?」


「あなたのような、愛と優しさに溢れた寛容な心の持ち主が、きっと世界を救うでしょう。」


 紗宙も再び夜空を見上げる。それから、先生の真似をして星をなぞってみた。


「難しいことはわかりません。ですが私は、蒼とも、革命団のみんなとも、そして美咲とも、死ぬまでずっと笑い合えれば良いのになっていつも思ってます。」


 先生は頷きながら微笑む。


「ははははは、紗宙らしい考えですね。」


 彼女は先生の方へ向き直る。


「やっぱり私の考えは甘いですか?」


 先生は首を振った。


「いいえ、それで良いのです。これからも友達を大切にしてください。」


 彼女の顔に、少しだけ笑顔が戻っていく。


「はい、そうします。先生、ありがとうございます。」


 2人は、しばらく談笑に浸ってから、各々の天幕へと戻っていった。陣中の篝火は、まるで再び火がついたAIM軍の心のように、激しく高らかに燃え盛っている。


 ◇


 天才諸葛真の帰還は、味方の指揮を一気に押し上げ、敵の指揮を一気に引き下げる。
 まず先生は、敵に奪われたウペペサンケ山と丸山を奪取。それから、敵の要塞があるニペソツ山を攻めると見せかけて層雲峡を攻略。前後からニペソツ山を挟み撃ちにして陥落させた。ニペソツ山を落すと軍を一気に北上させるように見せかけ、十勝山を中心とした南部の山地をまたたくまに支配下に置いた。
 そしてついには、官軍最後の砦である旭岳をも手中に収め、大雪山国立公園から官軍を排除することに成功。これによりAIM軍は、旭川攻略に王手をかけることとなった。


 ◇


 遠くに見える旭川の街。札幌と帯広に次ぐ第三の都市は、このご時世にも関わらず眩い光を放っている。
 イソンノアシは、真冬の高原に敷かれた極寒の陣地から、軍都旭川を眺めながら考えに浸っていた。自分が在命中に、AIMがまさかここまでたどり着くとは到底予想が出来なかった。そもそも、
 AIMの元支配地域は道東地方のみ。日本政府と折り合いがついていたころ、わざわざ大雪山の西側へ攻め込もうなんて考えがなかった。
 だからこそ、ここまで来たことに現実味を感じられない。でもその感覚こそが、新時代への幕開けの予兆なのではないかと彼は思った。
 先日のヒ素の後遺症と心労、そして老いによって蝕まれていく身体を抱えながら、最後の力をもって旭川を攻略しようと心に誓う。







 (第五十七幕.完)
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登場人物紹介

・北生 蒼(きたき そう)

本作シリーズの主人公であり、青の革命団のリーダー。

劣悪な家庭環境と冴えない人生から、社会に恨みを抱いている。

革命家に憧れて、この国を変えようと立ち上がる。

登場時は、大手商社の窓際族で、野心家の陰キャラサラリーマン。

深い闇を抱えており、猜疑心が強い。

自身や仲間を守るためになら手段を選ばず、敵に残忍な制裁を加えて仲間から咎められることも多い。

非常に癖のある性格の持ち主ではあるが、仲間に支えられながら成長していく。

仙台にて潜伏生活中に、恋心を抱いていた紗宙に告白。

無事に彼女と恋人関係になった。



・袖ノ海 紗宙(そでのうみ さら)

青の革命団メンバー。

蒼の地元の先輩であり、幼馴染でもある。

婚約者と別れたことがきっかけで、有名大学病院の医療事務を退社。

地元に戻ってコンビニでバイトをしていた。

頭も良くて普段はクールだが、弟や仲間思いの優しい性格。

絶世の美人で、とにかくモテる。

ある事件がきっかけで、蒼と共に旅をすることになる。

旅の途中でヒドゥラ教団に拉致監禁されるが、蒼たち青の革命団によって無事救出される。

そして蒼からの告白を受け入れ、彼とは恋人同士の関係になった。


・直江 鐘ノ助(なおえ かねのすけ)

青の革命団メンバー。

蒼の大学時代の親友で、愛称はカネスケ。

登場時は、大手商社の営業マン。

学生時代は、陰キャラグループに所属する陽キャラという謎の立ち位置。

テンションが高くノリが良い。

仕事が好きで、かつては出世コースにいたこともある。

プライベートではお調子者ではあるが、仕事になると本領を発揮するタイプ。

蒼の誘いに乗って、共に旅をすることになる。

結夏に好意を抱いており、典一とは恋のライバルである。


・諸葛 真(しょかつ しん)

青の革命団メンバー。

蒼が通っていた自己啓発セミナーの講師。

かつては国連軍の軍事顧問を務めていた天才。

蒼とカネスケに新しい国を作るべきだと提唱した人。

冷静でポジティブな性格。

どんな状況に陥っても、革命団に勝機をもたらす策を打ち出す。

蒼の説得により、共に旅をすることになる。

彼のおかげで今の革命団があると言っても良いくらい、その存在感と功績は大きい。

革命団のメンバーからは、先生と呼ばれ親しまれている。


・河北 典一(かほく てんいち)

青の革命団メンバー。

沼田の町で、格闘技の道場を開いていた格闘家。

ヒドゥラ教団の信者に殺されかけたところを蒼に助けられる。

それがきっかけで、青の革命団に入団。

自動車整備士の資格を持っている。

抜けているところもあるが、革命団1の腕っ節の持ち主。

忠誠心も強く、仲間思いで頼りになる存在でもある。

カネスケとは結夏を巡って争うことがあるが、喧嘩するほど仲が良いと言った関係である。


・市ヶ谷 結夏(いちがや ゆな)

青の革命団メンバー。

山形の美容院で働いていたギャル美容師。

勝気でハツラツとしているが、娘思いで感情的になることもある。

手先が器用で運動神経が良い。

灯恵の義理の母だが、どちらかといえば姉のような存在。

元は東京に住んでいたが、教団から命を狙われたことがきっかけで山形まで逃れる。

流姫乃と灯恵の救出作戦がきっかけで、革命団と行動を共にするようになる。

山寺の修行で投げナイフの技術を取得。持ち前のセンスを活かして、革命団の危機を何度も救った。

蒼や先生は、彼女のことを天才肌だと高評価している。

革命団のムードメーカー的存在でもある。


・市ヶ谷 灯恵(いちがや ともえ)

青の革命団メンバー。

結夏の義理の娘。

家出をして生き倒れになっていたところを結夏に助けられた。

15歳とは思えない度胸の持ち主。

コミュ力が高い。

少々やんちゃではあるが、芯の通った強い優しさも兼ね備えている。

秋田公国に拉致されたところ、革命団に助けれる。

それがきっかけで、共に行動することになる。

戦場では戦えないものの、交友関係を作ったりと、陰ながら革命団を支えている。

先生から才を認められ、彼の弟子のような存在になりつつもある。


・関戸 龍二(せきど りゅうじ)

青の革命団メンバー。

『奥州の龍』という異名で恐れられた伝説の不良。

蔦馬に親族を人質に取られ、止むを得ず暴走神使に従っていた。

蒼と刃を交えた時、彼のことを認める。

革命団が蔦馬から両親を救出してくれたことに恩を感じ、青の革命団への加入を決める。

寡黙で一見怖そうだが意外と真面目。

そして、人の話を親身になって聞ける優しさを兼ね備えている。

蒼にとって、カネスケと同等に真面目な相談ができる存在となる。

真冬の北海道でもバイクを乗り回すほどのバイク好き。


・酒々井 雪路 (しすい ゆきじ)

青の革命団メンバー。

かつては政治家を目指して、東京の大学で法律を学んでいたが、少数民族の為に戦いたいという思いから北海道へ渡り、AIMに参加する。

ツーリングが趣味で、それ故に機動部隊へと配属されてしまう。

だが、そこで龍二と出会い、彼の紹介で青の革命団へと加入。蒼や先生とともに、新国家の憲法作成することになった。



※第三十八幕から登場

・イカシリ

青の革命団メンバー。

AIM軍の腕利きのスナイパーで、アイヒカンの部隊に所属していた。

射撃の腕は一流で、雪愛(美咲)から密かにライバル視されている。

南富良野で蒼と一緒に戦った時、彼に才能を認められ、次第と行動を共にすることが多くなる。そしていつの間にか、蒼の配下のスナイパーとなり、彼の元で官軍と壮絶な銃撃戦を行う。

服が好きで、アイヌの伝統衣装を自分でアレンジして作った服を着こなしている。



※第三十六幕から登場

・間宮 恋白 (まみや こはく)

青の革命団メンバー。

麟太郎の娘で、年齢は4歳。

生まれたばかりの頃、麟太郎が官軍に捕えられてしまい、母子家庭で育つ。

紋別騎兵隊が街に侵攻した時、母親を殺され、更には自分も命を狙われるが、サクの手により助けられた。

それから灯恵の力により、北見の街を脱出して、一命を取り留める。

命の恩人でもある灯恵のことを慕っている。また彼女から実の妹のように可愛がられており、「こはきゅ」という愛称で呼ばれている。



※第四十四幕から登場

・間宮 麟太郎 (まみや りんたろう)

青の革命団メンバー。

恋白の父親で、元銀行員。

網走監獄に捕らえられていたが、AIMの手により助け出された。

娘が灯恵により助けられたことを知り、何か恩返しがしたいと青の革命団に参加する。

経済について詳しく、蒼からは次期経済担当大臣として、重宝されることになる。

また長治とは、監獄で共に生活していたので仲が良い。



※第五十一幕から登場

・許原 長治 (ゆるしはら ちょうじ)

青の革命団メンバー。

元力士。北海道を武者修行していた時、AIMに協力したことがきっかけで、網走監獄に捕らえられていた。

囚人達からの人望が熱く、彼らをまとめ上げる役を担っていた。

AIMに助けられた後は、青の革命団に興味を持ち、自ら志願する。

典一と互角にやりあうほど喧嘩が強く、蒼や先生からの期待は厚い。

監獄を共に生き抜いた間宮と、その娘の恋白とは仲が良い。



※第四十三幕から登場

・レオン

紗宙が飼っている茶白猫。

元は帯広市内にいた野良猫であったが、紗宙と出会い、彼女に懐いてAIM軍の軍用車に忍び込む。

大雪山のAIM陣で紗宙と再会して、彼女の飼い猫になった。



※第五十二幕から登場

・石井 重也 (いしい しげや)

青の革命団メンバーであり、日本の国会議員。

矢口宗介率いる野党最大の政党、平和の党の幹事長を勤めている。

党首である矢口から命を受け、用心棒の奥平とともに北海道へ渡航。先生の紹介で蒼と会い、革命団への加入を果たす。

政治に詳しい貴重な人材として重宝され。雪路とともに、新国家の憲法作成に携わっていくこととなる。

頑固で曲がったことが嫌いな熱い性格だが、子供には優しいので、恋白から慕われている。

元青の革命党の党員でもあり、革命家の江戸清太郎と親しい関係にあった為、革命家を志す蒼に強く共感していく。



※第五十四幕から登場

・奥平 睦夫 (おくだいら むつお)

青の革命団メンバー。

平和の党の幹事長である石井の用心棒として、共に北海道へ渡航。先生の紹介で蒼と会い、革命団への加入を果たす。

石井とは青の革命党時代からの知人で、かつて彼の事務所で勤務をしていた。その頃、江戸清太郎の演説を聞きに来ていた蒼にたまたま遭遇している。

普段は物静かだが、心の中に熱い思いを持った性格。



※第五十四幕から登場

羽幌 雪愛(はほろ ゆあ)

札幌官軍三将の豊泉美咲が、AIMに潜入する為の仮の姿。

青の革命団について調査する為に、蒼や先生に探りを入れたり、時には彼らの命を狙う。

その一方で、スナイパーとしてAIM側で戦に参戦。戦力として大いに貢献。紗宙や灯恵と仲良くなり、彼女らに銃の手解きをする。

また、その関わりの中で紗宙の優しさに触れ、スパイであることに後ろめたさも生まれてしまう。

性格はポジティブで明るいが、裏に冷酷さも兼ね備えている。



※第三十五幕から登場

・矢口 宗介 (やぐち そうすけ)

国会議員で、先生の旧友。

27歳の若さで初当選を果たし、33歳で野党最大の政党である平和の党の党首まで上り詰めた。

温厚で正義感が強く、日本国を腐敗させた神導党と激しく対立。神導党の後継団体であるヒドゥラ教団から、命を狙われている。

内からの力だけでは日本国を変えられないと判断して、旧友である先生が所属する革命団に未来を託すべく、石井と奥平を北海道へと派遣した。

蒼や先生にも負けず劣らずのロン毛が特徴。



※第五十四幕から登場

・イソンノアシ

AIMの首長であり、英雄シャクシャインの末裔。

サクの父親でもあり、温厚で息子思いの性格。それ故に、AIM軍や統治領域の民衆からの人望が厚い。

諸葛真が大学生の頃、遭難から救ったことがきっかけで、彼とは親友の仲になる。

サクの和人嫌いというトラウマを克服させる為に、彼を革命団の案内役に任命した。


・サク

イソンノアシの息子で、英雄シャクシャインの末裔。

毒舌で攻撃的な性格。

実行力と統率力、そして軍才があるので、AIM関係者からの人望が厚い。また父を尊敬していて、親子の関係は良好。

しかし、交戦的で容赦がないので、札幌官軍からはマークされている。

かつては、温厚かつ親しまれる毒舌キャラだったが、恋人を官軍に殺されたから変貌。和人を軽蔑して、見下すようになったという。

殺された恋人と瓜二つの紗宙へ、淡い好意を寄せる。



・ミナ

サクの元婚約者。

アイヌ民族の末裔で、自らの出自やアイヌの文化に誇りを持っており、北海道を愛していた。

2年前、裏切り者の手によってサクと共に捕らえられる。

そして、彼の目の前で、松前大坊に殺された。



※第三十三幕と第五十幕で登場

・ユワレ

サクの側近であり、幼馴染でもある。

正義感が強く、曲がったことが好きではない性格で、みんながサクを恐れて諌めようとしない中、唯一間違っていることは間違っていると言ってのける存在。

また忠義に熱く、蒼から何度も革命団への入団オファーを受けるが、全て断り続けている。



※第三十三幕から登場

・アイトゥレ

AIM幹部の筆頭格で、イソンノアシやサクの代わりに、軍の総大将を務めることも多々ある。

歴史ファンで、特に好きなのが戦国時代。お気に入りの武将は本多忠勝。

道東遠征で、共に戦うカネスケの才を見抜き、別働隊を任せるなど、彼に軍人としての経験をつませる。



※第三十八幕から登場

・京本 竹男(きょうもと たけお)

北海道知事であり、札幌官軍の代表。

日本政府の指示の元、北海道の平和を守る為に、AIMとの紛争に身を投じた。

政府に忠誠を尽くす一方で野心家でもあり、いつかは天下を取ろうと画策している。

それ故に、紛争を理由に軍備の増強を図る。

人の能力を的確に見抜き、公平な評価を下すことから、部下からの信頼は厚い。

公にはしていないがヒドゥラ教団の信者で、土龍金友のことを崇拝している。



※第三十二幕から登場

・土方 歳宗 (ひじかた とししゅう)

札幌官軍三将の筆頭で、身長190㎝超えの大男。

京本からの信頼も厚く、札幌官軍の総司令官の代理を務めることもある。

武術の達人で、国からも軍人として評価されており、一時期は先生と同じく国連軍に所属していた経験もある。

北海道の治安を守る為にAIMとの戦争で指揮を取るが、特にアイヌやAIMを憎んでいるわけではない。

部下からも慕われていて、特に美咲は彼のことを尊敬している。また彼女と同様に松前の残虐非道な行為をよく思ってはいない。



※第五十一幕から登場

・豊泉 美咲(とよいずみ みさき)

札幌官軍三将の1人。

セミロングの銀髪が特徴的なスナイパー。銃の腕前は、道内一と言われている。

性格はポジティブで、どんな相手にも気軽に話しかけられるコミュ力の持ち主。

京本からの指示を受け、青の革命団の実態調査の任務を引き受ける。

キレ者で冷酷な所もあるが、非道な行為を繰り返す同僚の松前を心底嫌っている。



※第三十ニ幕から登場

・松前 大坊(まつまえ だいぼう)

札幌官軍三将の1人。

人柄はさておき、能力を買われて三将の地位まで上り詰める。

サクの恋人を殺害した張本人。

類を見ない残忍性で、AIMおよびアイヌの人々を恐怖に陥れた。

再びAIM追討部隊の指揮官に任命され、AIMと革命団の前に立ち塞がる。



※第三十ニ幕から第五十幕まで登場

・エシャラ

イソンノアシの弟で、サクの叔父に当たる人物。

元AIMの幹部で、考え方の違いから、札幌官軍に内通して寝返る。

サクとミナを松前大坊へ引き渡し、ミナの殺害に少なからず加担した。

温厚だが、自分の信念を曲げない性格。

AIMをえりもへ追いやって以降は、松前の手先として帯広地域を統治していた。



※第三十三幕〜三十四幕で登場

・御堂尾 神威 (みどうお かむい)

紋別騎兵隊の副隊長。

日本最恐の軍隊と恐れられる騎兵隊の中でも、群を抜く武勇と統率力を誇る。

しかしその性格は、冷酷で自分勝手で俺様系。

人を恐怖で支配することに喜びを覚え、敵対した者は、1人残らず殺し、その家族や周りにいる者、全てを残忍な方法で殺害。

また、騎兵隊の支配地である紋別の町では、彼の気分次第で人が殺され、女が連れさらわれていた。

その残酷さは、松前大坊と匹敵するほど。

結夏に因縁があるのか、執拗に彼女のことを狙う。



※第四十一幕から登場


・御堂尾 寿言 (みどうお じゅごん)

神威の弟で、紋別騎兵隊の隊員。

兄と同じく残忍な性格。

兄弟揃って紋別の町にふんずりかえり、気分で町の人を殺したり、女性に乱暴なして過ごしている。

食べることが好きで、体重が100㎏を超えている大男。

兄の神威と違い、少し間抜けな所があるものの、他人を苦しめる遊びを考える天才。

大の女好き。



※第四十二幕から第四十八幕まで登場

・北広島 氷帝 (きたひろしま ひょうてい)

紋別騎兵隊の隊長で騎兵隊を最恐の殺戮集団に育て上げた男。

『絶滅主義』を掲げ、戦った相手の関係者全てをこの世から消すことを美学だと考えている。

松前大坊からの信頼も厚く、官軍での出世コースを狙っていた。



※第四十六幕から第四十九幕まで登場

・仁別 甚平 (にべつ じんべえ)

黒の系譜に選ばれた者の1人。

カニバリズムを率先して行い、雪山で焚き火をして遭難者を寄せ付け、殺害しては調理して食べる、という行為を繰り返している。

特に若い娘の肉を好んで食す。

リンに狂酔しており、彼女の興味を一心に浴びる蒼を殺そうと付け狙う。



※第四十二幕から登場

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