第四十三幕!最恐の軍隊

文字数 12,268文字

昼と夕方の中間に差し掛かった頃。AIMの砲撃によって、合戦の火蓋が切られた。
官軍は、どうやら戦いを暗くなる前に片付けたいらしい。戦車部隊を先頭に、勢いのある突撃を開始。サクも負けじと、精鋭部隊を率いて突撃。大空町は、静かな農村から激しい主戦場へと色を変える。
俺が率いる東側の部隊も、しばらくはサクたちとともに戦うこととなる。飛び交う弾丸がまるで吹雪のようで、一歩でも油断すれば、流れ弾に当たって死ぬことになるだろう。
AIMの歩兵隊は、官軍と違って隊列を組むことが少ない。故に、ゲリラ戦はお得意であるが、平地での戦いは苦手だ。次々と配下の兵隊たちが、官軍の機関銃の餌食になっていく。しかし、こちらもやられてばかりではない。
以前イソンノアシが作り上げたスナイパー部隊が、ついに日の目をみることになる。
主力部隊の背後に配置された彼らは、遠くから的確に、相手の兵士の中でも際立って強いものに狙いを定めて、次々と撃ち殺した。
このスナイパー部隊には、イカシリと雪愛も配属されていて、彼、彼女らも大いに腕をふるっている。
それから、ドローン部隊もそれに負けじと活躍。大半は撃ち落とされて灰となってしまったが、火炎瓶の空爆によって、官軍を大いに混乱させることができた。
1時間も経つと、戦況は大きく変わる。
戦車と統率された官軍によって、AIMの戦線は大きく後退。あと1時間もしたら、AIM軍の防衛戦は破綻するだろう。
そんな頃合いを見計らって、アイトゥレ率いる機動部隊が、網走川対岸から一気に北上を開始。瞬く間に官軍の最前線をパスして、敵本陣と並ぶ位置まで到達した。
その動きを把握した官軍は、アイトゥレ軍を抑え込むべく、軍の戦列を徐々に西側へと向けさせた。
アイトゥレは、飛んでくる砲弾の嵐をかいくぐり、ひたすら前進。気づいた頃には、敵の後陣と横並びになれる場所までやってきた。そして、破壊された橋を急ぎ修復して、渡河の準備に入る。
そうはさせまいと官軍は、更に多くの部隊を西側の守りへ移させた。
ここぞ好機である。
本陣で指揮をとっていた先生は、家来に見張り台から旗を大きく振らせる。俺は、その合図と同時に部隊を中央から退避させ、一挙に東側の空白部分へ突撃させた。
東側の部隊は、俺と龍二を先頭に官軍の隙間を縫うように侵攻。背後からアイトゥレ軍、西側は川、東側は俺の部隊、そして前方はサク率いるAIMの主力。ついに官軍包囲網が成立したのだった。
しかし、予想はしていたが、官軍戦車部隊の猛攻は凄まじく、サクの主力部隊は今にも壊滅寸前。
包囲網に風穴を開けられるのも、時間の問題である。
そんな窮地に陥ったサクの元に、典一がやってきた。


「サク将軍、諸葛軍師からの伝言です。」


「あ?こんな時になんだ?」


「部隊を左右に散らして、敵の戦車部隊を通してください。」


それを聞いたサクは、怒りをあらわにする。


「お前バカか?
そんなことをすれば、この作戦は失敗に終わるぞ。」


典一は、そんなサクに対して冷静に対応する。


「いえ、そんなことをしなければ、この作戦は成功致しません。」


サクは、典一の真剣な顔から目を離せない。


「ふ、まあ勝手にしろ。敗戦しても知らんからな。」


彼はそう言うと、渋々ではあったが、軍全体に中央を開けて戦車を通過させよ、との指示を出した。
サクは、先生を信頼している。しかし、彼は青の革命団の一員であり、北生蒼の配下の人間でもある。サクの中で、ついつい私情が先走りかけていたのだ。
それからサク率いる中央の精鋭部隊は、敵に気づかれないように、徐々に戦車を通す道を開く。
官軍の戦車は、まるで穴に吸い込まれるかのように、美幌町を目指して突撃を続けた。それに続く歩兵部隊も、ついに包囲網を打ち破ったと、意気揚々に戦車の後を追っていく。
この光景を見張り台から観察していた先生は、大いに笑みを浮かべていた。
戦車部隊は、ある一定のあたりまで進んだところで、大きな違和感を感じた。だけども、その時にはもう遅い。
先頭の戦車は、AIMの工兵たちが即席で作った深い落とし穴に落ち、身動きが取れなくなる。続いて後ろから迫ってくる戦車や歩兵も、次々と穴に落ちる。
立ち止まろうにも、後ろから迫ってくる味方の兵隊の波に押し流されるばかりだ。穴に落っこちた戦車や兵隊は、這い上がろうとするが、上からまた新しく仲間たちが降ってくるので、思うように身動きが取れない。それに、穴に気づいて引き返そうと考えた後陣の兵士たちも、下がればアイトゥレや蒼が率いるAIMの部隊に殺戮されてしまう。
その為、前へ出る以外の道はなかった。
それから先生は、総仕上げにかかる。工兵たちに指示を出して、穴の中に仕込ませておいた爆弾を一斉に起爆させた。
異常なまでにバカでかい爆発音とともに、穴から火炎と噴煙が吹き上がった。
そして、その穴の中の光景は、まさに地獄絵図である。
山のような焼死体、這い上がろうと助けを求める者の上から降り注ぐのは銃弾の雨。戦車部隊を全滅させたAIM軍は、勢いを盛り返して全軍で残った官軍に攻撃を加えた。
もはやなすすべのない官軍兵士は、次々と降伏。敵の将軍クラスの人間も、大方スナイパー部隊によって討死。最終的には、生き残った一部の部隊長らが、降伏および自刃したことで、戦いが終幕を迎えたのだった。
この戦いによって、官軍は約9万人の死者を出して、前代未聞の敗北を味わう。そして、軍師諸葛真の名前が、再び世に知らしめられることにもなった。





ここは薄暗い牢の中。囚人たちは、暴動を起こす危険性があると決めつけられ、強制労働の時間以外は、一切日を浴びることが許されない。故に多くの者が、希望というものを捨てて、ただ早く死にたいと願いながら一刻一刻を刻んでいる。
この網走監獄は、元々は主に重罪人を収監する普通の刑務所であった。しかし、AIMが衰退してからは、彼らに協力的な人間を主に収監する強制収容所のような場所になっていた。
囚人たちの半数異常は、刑期を言い渡されぬまま無差別に逮捕された、アイヌの人々とその関係者。彼らは、無期懲役や死刑を言い渡された犯罪者と同じ檻の中にぶち込まれる。そして、犯罪者たちから日常的に暴力やいじめ、嫌がらせを受ける奴隷のような地獄の日々を送らされていた。
刑務官らも、重罪人の悪行を見て見ぬふりをしている。そのおかげで、多数のAIMの人間が身勝手なならず者の手によって、密室の中で殺されるといった事件がなんども起こっていた。刑務官および政府にとって、犯罪者もAIMという反政府の人々も、法律から逸脱したただのゴミクズ同然だったのだ。
こんな悪習が始まってから約2年、とある男が監獄内で台頭するようになった。
その男の名前は、許原長治(ゆるしはら ちょうじ)。
元力士で、身長は180センチの大柄な男だ。彼は1年前に収監されてから、虐げられてきたAIMの人たちをかばい続けていた。しかし、良くしてくれた友人が、元レイプ犯の糞野郎により殺されたことを機に奮起。死刑囚を3人殺害したことで、刑務官の間では要注意人物とまでなった。
だが許原は、AIM関連の人間からの人望は熱い。更には、彼の強さを知って興味を持った犯罪者たちからも慕われる存在となった。
とある日の夜。
許原が子供の囚人と遊んであげていると、彼の元に他の囚人たちが集まってきた。


「長治さん。刑務官の会話ちらっと聞いたんですけど、外の情勢がだいぶ変わってきたそうですぜ。」


「AIMのことか?」


「はい、知ってたんですか?」


「ああ。仲の良い刑務官がいて、そいつから聞いた。」


「俺たち、もしかしたらここ出れるかもしれないですね!!」


「その可能性もあるな。しかし、まだ何が起こるかわからんぞ。」


「と、言いますと?」


「AIMは勢いに乗っているが、官軍にはまだ紋別騎兵隊が存在している。奴らに勝てない限り、AIMの未来はない。そして俺たちの未来もな。」


「あ..あ...、確かにそうだ。あの鬼畜たちが消えない限り、俺らの未来なんてないんだ...。」


「ま、気長に待とうや。きっと出られる時はくる!」


そう言うと長治は、綻びた牢の鍵穴をすっと睨みつけたのだった。





大空町で官軍を撃滅したAIM軍は、休む間も無く網走まで進撃。羅臼から進軍してきたウヌカル軍と、町を大きく取り囲む外壁の前で合流した。本陣では早速会議が開かれ、どうやって町を陥落させるのかという議題が持ち上がる。
イソンノアシは、全員の顔を見渡した。


「さて、我々はついにここまできたわけだが、目の前に立ちはだかるは、かの有名な堅牢都市。どうやって攻略しようか?」


部隊長たちの中からは、穴を掘る、海から攻める、砲撃で城門を破壊する、毒ガスをドローンで散布する。様々な意見が寄せられてきた。
そんな中で先生が言う。


「持久戦しかないようですね。」


イソンノアシは首を振る。


「それは無茶な話じゃ。この街は網走湖と能取湖、オホーツク海という天然の掘と長い網走外壁に囲まれている。包囲するには人員が足りん。仮に外壁部分だけ兵士で固めて、敵の出入りを防いだところで、海から補給船が来るから意味がないじゃろう。」


「それが一般的な見解でしょうな。」


「何か考えがあるようじゃな。」


先生は、一呼吸置いてから言う。


「内側から壁を破壊いたします。」


「内側からじゃと?」


「ええそうです。すでに手はずは整っておりますので、明日の朝方に南方の壁が爆破され、道が拓けます。」


イソンノアシは驚いた。


「なんということじゃ。もしそれが本当であれば、明日中に網走を攻略できるぞ。」


「そう簡単にも行きません。網走には、監獄を取り囲む巨大な内壁も存在いたします。これを包囲して持久戦に持ち込むのです。」


「そういうことか。内壁だけであれば、囲い込めるだけの兵力は充分あるな。」


「ひとまず敵に察されぬように、外壁から少し距離を置いたあたりで陣を敷き、網走外壁崩壊の時を待ちましょう。」


話がまとまりだしたあたりで、サクが口を挟んできた。


「持久戦とは、また呑気なものだな。」


イソンノアシは彼に問う。


「サク、何か意見があるのか?」


サクは答える。


「先ほど斥候から情報が入った。どうやら紋別騎兵隊が、出陣の準備をしているとのことだ。」


他の将兵たちの間に、激しい動揺が走っていた。
カネスケは、特に神妙な表情を浮かべている。


「サクの情報が本当であれば、城を包囲しながら、なけなしの手勢で奴らと戦うなんて無謀すぎますよ。」


すると先生は、若干強めの口調で言い放つ。


「紋別騎兵隊が、そんなに恐ろしいか?」


カネスケは、それを否定しない。


「この前の屈斜路湖畔の戦いで、奴らの一部隊と戦いました。たった500の手勢で、5000人の兵隊をほぼ無傷で全滅させた狂気の軍団。こちらが総力をかけても、勝てるかわからない相手です。恐ろしい以外に感情が湧きません。」


先生は、彼を詰める。


「それではまるで、AIMに勝機はないと言っているように聞こえるが?」


カネスケの口調に焦りが出る。


「いえ、そんなつもりでは。ただ、城攻めをしながら奴らを相手にするのは、至難の策かと言いたいのです。」


「なるほど。では聞くが、紋別騎兵隊の弱点は何かわかるかい?」


「うーん、数に限りがあるとかですか?」


「確かにそれもそうだ。奴らは、何年も訓練を重ねて最強の精鋭部隊を作り上げた。そうやすやすと部隊を再編したり、増員したりすることは難しいだろう。他にはあるかね?」


カネスケは考え込んでしまう。
するとサクが答える。


「野戦においては最恐だが、城内などの局地戦は不得意とかだろ?」


「良い目の付け所だ。
では答えを言おう、紋別騎兵隊は、城攻め及び持久戦においては、最恐でもなんでもないということ。それが奴らの弱点なのだよ。」


カネスケは反論する。


「しかし、その弱点を知ったところで、どうなるのですか?」


「網走の地図を見て気づかんのか?」


カネスケは再び地図を見渡す。そして、何かを理解したようだ。


「そういうことですか。つまり...。」


そう言おうとした時、サクが割り込んだ。


「南の壁に穴を開けて町を攻略するため、北の壁は無傷で健在。その壁を利用して紋別騎兵隊を食い止めて、持久戦に持ち込むということか。」


カネスケは、サクを横目で睨んでいる。
先生は笑った。


「その通りだ。サク、カネスケ、この作戦なら文句なかろう。」


先生がそう言うと、サクもカネスケもイソンノアシも、その他部隊長たちも納得した顔をしていた。
先生は、あたりまえのことの如く、イソンノアシに言う。


「ということですので、今宵はのんびりと、雄大な網走外壁を見物しながら、お茶でも楽しみましょう。」


イソンノアシは、先生の余裕そうな表情に安心を覚えていた。
それからAIM軍は、外壁から2kmほど離れたあたりで野営。警戒をしつつも、しっかりと休息をとった。





よく早朝、AIM軍は密かに準備を整え、全軍を南側外壁の前に集結させた。
それから間も無くのことである。激しい爆発音とともに、壁の一部が崩壊。中から民衆の歓声が聞こえてきた。同時にAIM軍は、サクを先頭に一挙に市街地へ侵入。寝ぼけてろくに戦えない官軍を、次々と襲撃して撃破。そして瞬く間に網走市街地を制圧。昼になる前には、網走監獄を包囲することに成功した。
網走監獄は、旧網走監獄と網走刑務所一帯を大改築して作り上げられた巨大な城塞となっている。ここを陥落させるだけでも頑張って数日はかかると言っても良いだろう。
だがそれ以上に先生やイソンノアシが懸念したのは、中にいる囚人の命である。監獄内には、まだ1万を超える官軍が立てこもっている。奴らはいつ囚人を人質に取ろうと企み出すかはわからない。力ずくで攻める方法を取らないのには、そう言った理由もあった。





AIM軍が、監獄を包囲してから5日ほどたった頃。サクは、1人物思いに耽っていた。

いつからか自分は変わってしまった。いや、元からこんな人間だったのであろうか。
軍の代表的人間の1人でありながら、たかが女ひとりのことで蒼に嫉妬したり、手柄一つでカネスケに嫉妬したり。
最近の自分は、まるで劣等感の塊のように感じていた。
しかし、どうあがいてもこの劣等感から抜け出す術が思い当たらない。そんな時は、よくミナと一緒にいた頃の思い出を思い浮かべて現実逃避に浸っていた。
あの頃は何もかもが上手くいっていた。恋も、そして仕事も。彼女と幸せな日々を過ごすことができていれば、それ以外どうでもよかったのかもしれない。しかし、彼女がいなくなってからというものの、自分にとっての原動力は憎しみと報復、そして功名になっていた。
サクは、ミナとの幸せな毎日をしばらく妄想すると、いつも彼女がすでにこの世にいないという事実に衝突する。そして今この世にいるのは、ミナではなく、彼女に瓜二つの紗宙という女性だけだ。その紗宙は、どこの馬の骨のわからぬ陰キャラ革命家へ好意を抱いている。どうもサクは、その事実を受け入れられないでいた。


本当に自分勝手な男だと自分を責めながら、雪が降り始めた曇天の空を見上げて白いため息をついた。
そんな時である。紋別へ放っていた斥候から情報が入った。生田原周辺で、騎兵隊らしき1万ほどの軍列を目撃したとのことである。
サクは、早速その斥候へ電話をかけた。


「おい、この情報は本当か?」


「は、はい。あれは紛れもなく、紋別騎兵隊でございました。」


騎兵隊は、3日前に網走へ向けて進軍を開始したと情報が入っていた。だが、網走へ向かうために、わざわざ生田原を通るだろうか。


「奴らは、どの方角へ向かった?」


「南方です。南方へ向かって、ひっそりと進んでおりました。」


サクは、すぐに地図を開く。その時すでに、彼の顔は青ざめていた。あいつらの狙いは、北見に違いない。なぜなら北見は、AIMの網走包囲における補給基地の役割も果たしていたからである。そして、さらなる事実を思い出してしまった。北見には紗宙もいる。
紋別騎兵隊は、制圧した町を徹底的に破壊して、そこにいる住民も1人残らず執拗に追い回して、絶滅させてきたことで有名だった。そうなると、彼女の命が危ない。


「サク様。すぐにでも、首長や諸葛軍師にも知らせます。」


そうするのが普通の流れである。しかし、あろうことかこんな時に私情が表に出てしまった。


「いや、親父や真には伏せておけ。俺が手勢を率いて騎兵隊を撃滅してやる。」


「し、しかし、相手は紋別騎兵隊です。サク様お一人では危なすぎます。」


サクは、斥候を怒鳴りつける。


「俺が、あんな人殺しの外道どもよりも弱いって言いてえのか??」


「い、いえ。そういうわけではございません。」


「もういい。俺の部隊だけでなんとかするから、絶対言うんじゃないぞ。親父や真には、しっかりと網走監獄を攻略してもらいたいからな。」


そう言うとサクは電話を切る。そして深く後悔するのであった。
紋別騎兵隊は、並大抵の軍隊では倒せるほど甘い相手ではない。だけども、みんなの前で良いところを見せたかった。そして、紗宙を振り向かせたかった。そんな自己顕示欲が出てしまい、こんなことを言ってしまった。
1人で立ち向かえば、おそらくはその場で殺されるか、捕らえられて拷問にかけられる。
恐怖で足が震えだしていた。
けども言ったからには、やらなければ男としてカッコ悪い。サクはしばらくふさぎこんでから、自分の配下の8000人に指示を出した。


『夜陰に紛れて陣を退き、北見へ向かう。』






清々しい朝の光が網走を包み込んだ。
俺はいつものように早起きをして、夜勤警護の兵士に労いの言葉をかけた。
そして、典一を起こして2人で陣中を見回りながら、網走監獄の内壁の上で見張りをしている敵兵に睨みを利かしていた。
そんな時に特報が入ってくる。


『サクの陣が、もぬけの殻になっている。』


この事実は、すぐさま大騒ぎとなる。
イソンノアシは敵に勘付かれないように、ウヌカルの部隊をサクのいたところに派兵する。そして、すぐに主要な人間を本陣に招集した。俺も典一に陣を任せると、龍二とともに本陣へ馳せ参じた。本陣では、イソンノアシが非常に憤りを感じていた。
彼は先生に謝罪する。


「バカ息子の身勝手な行為、許してほしい。」


「彼が包囲網から抜けたことは、確かに痛手でした。しかし、それよりも今は、サクがなぜ軍を抜け出したのか、これからどうしていくのか、ということでしょう。」


「思い当たる節がない。人一倍官軍を憎んでいるサクが、AIMを裏切るとも思えない。それに我が軍は優勢。恐ろしくなって、戦場から逃げ出したとも考えられん。あいつなりに何か考えがあるのだろうか。」


俺も会話に入る。


「サクがどこへ言ったかも検討つかないのか?」


イソンノアシは落胆している。


「現段階では、網走を出てからどの方面へ向かったかの情報は皆無だ。」


俺たちは、サクが部隊を率いて向かいそうな場所を想像するが、どれもパッとしない。みんな心配そうな顔で考え込んでいる。
北海道戦争が幕を開けてからというもの、札幌や旭川、帯広などの大都市以外の街は、22時以降に人が出歩くことがほとんどない。電気が通っている場所も限られていて、夜になるとそこらじゅうの街道は真っ暗だ。それに時期は真冬である。深夜に行軍したと思われるサクを見かけた人間などそうはいないだろう。そして、昨晩の大雪で足跡すら埋もれてしまっている。
彼は一体どこへ行ってしまったのであろうか。
こんな緊張が数時間続いた頃、ようやく自体が動き始めた。なんとサクの配下にいた斥候が、AIM本陣に戻ってきたのであった。
彼は土下座をして、イソンノアシにひれ伏した。
イソンノアシは、斥候に言葉をかける。


「よくぞ戻ってきた。して、サクのことを知っているのだろう?」


「首長。この度は大変、大変に申し訳ありませんでした。」


「謝罪は後だ。サクはどこへ向かったのじゃ?」


「北見です。正確には、北見の先にある留辺蘂という場所です。」


イソンノアシと先生は、サクの意図がわからずに顔を見合わせていた。
斥候は声を震わせる。


「サク様は...、単独で紋別騎兵隊へ決戦を挑むおつもりです。」


陣中の全員の背筋が凍った。みんな何も言わずに、ただ斥候の話に耳を傾けた。


「紋別騎兵隊は昨晩、生田原に姿を現しました。奴らは南方へ進軍をしていて、恐らくは背後から北見を襲う根端だったのでしょう。それに気づいたサク様は、騎兵隊を討伐するために昨晩動いたのです。」


紋別騎兵隊が北見へ向かっている。その事実は、俺とカネスケにも衝撃をもたらすものだった。
なぜなら北見には、紗宙と結夏、灯恵がいるからだ。
そして俺には、サクがなぜ誰にも知らせずに北見へ向かったのかがなんとなくわかる気がしていた。おそらく俺も、あいつの立場だったらそうしていたであろう。
イソンノアシは斥候に尋ねる。


「しかし、なぜその事実を我々に知らせなかったのだ?」


斥候は、萎縮しながら声を振り絞る。


「も、申し訳ございません。サク様から誰にも言うなと命令されておりました。私も伝えた方が良いと進言は致しましたが、サク様は考えを変えようとはされませんでした。」


イソンノアシは1人で考え込んでいた。きっと彼には、サクの考えはわからないのだろう。そう俺は思った。
それから俺は、部隊を率いて彼を助けに行きたいと進言しようとする。しかし、そんな時に見張りの兵隊から連絡が入る。どうやら監獄にこもっていた官軍が、城外へ出てこちらへ攻撃を仕掛けてきたのだという。俺たちは、今すぐ北見へ戻りたいという気持ちを抑えて、その敵に対する対応へ赴いた。





北見郊外の留辺蘂では、鉢合わせになる形で両軍が顔を合わせた。紋別騎兵隊1万を率いるのは、騎兵隊副隊長の神威とその弟の寿言だ。


「兄貴ー、見て見て、前方にAIM軍がいるぞ。」


「ほお、俺たちがここへ来ることを予測して、兵を隠してやがったか。」


「うーん、そのようだね。朝飯がてら北見の街を破壊しよって話だったけど、飛んだ邪魔者が出てきたね。」


「だが見てみろ。いくら伏兵といえどもただの虫けら。俺たちの前では、いようがいまいが関係ないだろう。」


「まあそうなんだけどね。とりあえず飯の前の運動程度に楽しんじゃおっか。」


「ふ、そうだな。けど寿言、忘れるなよ。」


寿言はニヤリと笑う。


「わかってるって。1人残らず殺す、これ鉄則でしょ。」


そう言うと、神威は全軍を戦闘態勢に移行させた。騎兵隊はすんなりと陣形を整え、サクたちを威嚇した。





対するサク率いるAIM軍は、斥候からの情報を元に念入りに現地を調査。準備万全の態勢で、騎兵隊を迎え撃つ構えであった。
サクは、目の前から迫り来る殺人集団を見渡しながら、昨夜のことを考えていた。


誰にも気付かれぬように、あえて北見市内を避けてこの地までやってきて、陣をある程度敷き終えたあたりで、その場をアヘヌワシに任せると、サクは一騎スノーモービルで北見のAIM寮へ向かう。
彼は寒空の中、網走の陣中で書いた手紙を寮のポストへ投函。どうしても、彼女へ今の思いを伝えておきたかったのだ。できれば、一目会って直接話したかったが、今の自分にはそんな自信もなく、手紙を書くくらいが精一杯であった。
そして帰り道。吹雪が吹き荒れる39号線で、彼は様々なことへの後悔を抱えながら、自軍の陣営へ戻った。


昨晩からあまり寝れていなかったサクは、自販機で買ったエナジードリンクを一気に飲みほした。
そして、アヘヌワシに部隊長を集めさせると全員の前で言い放つ。


「俺たちは今から、明らかに無謀であると誰もが思うようなことに手を掛ける。日本最恐と言われた紋別騎兵隊に単独で挑むのだ。
しかし、俺たちがやらなくて誰がやるというのだ!我々サク部隊が、奴らの野望を阻止して人々を守り、殺されてきた者の仇を討ち、AIMの光となるのだ!
良いか!全員俺についてこい!!」


そう言うと彼は、部隊長を配置場所へ戻してから、一言天に向かってぼやいた。


「ミナ、俺を守ってくれ...。」





留辺蘂の戦いは、紋別騎兵隊の攻撃から幕を開けた。騎兵隊は銃騎兵を左右に展開させて、サクたちを囲むように銃撃を浴びせていく。
サク軍はそれを阻止せんと、横陣の両翼に厚い層を築いてそれに対抗。騎兵隊の機敏な動きを抑え込むことに、なんとか成功したかのように思えた。しかし、騎兵隊の兵士は、一人一人が相当なやり手である。いくら兵を増員しようと、彼らに太刀打ちできるものがいなければ歯が立たない。両翼の部隊は、次々と騎兵隊によって撃ち殺されていった。
とはいえ、サク軍の抵抗も凄まじく、騎兵隊の銃騎兵に少なからずの損害を与えることができた。
しかし、騎兵隊にとってそんなものは、かすり傷程度に過ぎない。彼らは次に長弓部隊を中央に繰り出した。そして、アヘヌワシが指揮するサク軍中枢に向かって一斉射撃を行う。
今の時代になぜ彼らが弓を用いるのか。それは、騎兵隊が独自で作り出した弓矢は、飛距離も十分兼ね備えていて、なおかつ銃の数十倍とも言われる貫通力を持っていた。
これは、防弾チョッキなど紙切れ同然で、戦車の甲板にすら穴を開けると言われているほどである。極め付けには、鏃にトリカブトを改良した猛毒が塗りたくられていた。この猛毒は、掠ると1分も経たずに相手を死に至らしめることができる凶悪なものだ。故に騎兵隊の長弓部隊は、主戦力の一つでもある。
一斉に放たれた毒矢は、サク軍の上空から、まるで酸性雨のように、液体を飛び散らせながら地上に降り注いだ。サク軍の兵隊は避けようと逃げ惑うが、この盆地において、隠れられそうな場所もない。その場にいたほとんどが、鋭い刃と猛毒によって命を落としていった。
左右、そして中央をズタズタの穴だらけにされたサク軍は、もはやあばら家のようなものだ。騎兵隊の重砲兵部隊が、サクのいる本体めがけて、次々とロケットランチャーをぶちかましていった。これによって、サク軍のスノーモービル隊のほとんどが壊滅した。
サクは、懸命に軍を指揮して戦ったが、到底太刀打ちできる相手ではない。
女性にも振られ、仲間を裏切り、軍律を違反した自分に生きている価値はない。そう思い込んだ彼は、残った全軍率いて討ち死に覚悟で突撃しようとした。
だが、彼の側近であるアヘヌワシはそれをさせてはくれなかった。


「サク様。あなたの死に場所はこんなところではありません。戦場の後始末は私に任せて、今すぐに落ち延びてください。」


「バカ、俺はここで死ぬと決めた。もういいだよ俺なんて。」


それを聞くと、アヘヌワシはキレる。


「本当は、こんなこと言いたくはないですが言いましょう。サク様は、ミナ様含め、死にたくもないのに殺されていった同志たちの前で、そんなことがいえますか???」


サクは黙った。アヘヌワシとの付き合いは相当長いが、こんなに怒られたのは初めてであった。
アヘヌワシは続ける。

「私なら冗談でも、死にたいなんて言えません。あなたはまだ、生きていて軍を指揮できる立場にある。必ずや生き残って再起を図るべきでしょう。」


サクは黙って、彼の話を聞いていた。
アヘヌワシは、ニッコリと笑う。


「サク様、先ほどの発言。冗談ですよね?」


サクはしばらく放心状態だったが、深呼吸をすると答えた。


「あ、ああ。冗談だと受け取ってくれ。」


アヘヌワシは微笑んだ。


「なら良かったです。最後に最上級のジョークが聞けて満足です。」


すると彼は、配下に命じて、スノーモービルをサクの前に持って来させた。


「これに乗って落ち延びてください。もうじき騎兵隊がここへきます。急いで。」


サクは彼に言う。


「お前も来い、全員で逃げるぞ。」


「私めは、ここに残って、この戦いの結末を見届けます。」


それを聞いたサクの目は、真っ赤に充血していた。遠くから、AIM軍の兵士たちの悲痛の叫びが聞こえてくる。
その声は、徐々に波のごとくこちらへと押し寄せてくるようだ。
アヘヌワシは最後に一言、


「サク様と出会えて私は幸せ者でした。」


そう言い残して、戦場へと姿を消していった。
彼の背中は、これから地獄に飛び込んでいくというのにも関わらず、どこか誇らしげに光を放っているように見えた。サクは、歯を噛み締めて涙をこらえながら、一部のお供とともに戦場から落ち延びた。





戦場では、紋別騎兵隊が最後の殺戮芸を繰り広げていた。崩壊寸前のサク軍残党に対して、騎兵隊の主力である重装槍騎兵部隊が突撃。彼らは、例の長弓の鏃と同じ製法で作った槍を片手に、次々とサク軍の兵士をぶち殺していく。彼らのもつ槍にもトリカブトを改良した猛毒が塗られており、それに触れた者は次々とあの世へ旅立っていった。
寿言が人殺しを楽しんでいると、崩壊したサク軍の中から、一騎こちらへ突撃してくる騎兵の姿があった。
その騎兵は叫んだ。

「我が名はアヘヌワシ!サク将軍の側近だ!貴様の命、俺が頂く!!」


彼は腰からマシンガンを抜き出すと、寿言に向かって銃撃を行う。しかし、寿言の着ている防具は、銃弾が貫通しないような特殊加工を施しているのでビクともしない。
寿言は、口に含んでいたチューインガムを飲み込むと、余裕の笑みを浮かべながら彼に向けてショットガンをぶちかました。
アヘヌワシと彼の馬は、血しぶきをあげながら雪が覆い尽くす北海道の大地に散った。


「うっぜー。ガム飲み込んじまったじゃねえかよ。」


すると寿言は、死体となったアヘヌワシに何度も銃撃を浴びせた。その上で、目玉や内臓や脳ミソを猛毒の槍で抉り出し、自身の馬で散々踏みつける。
それから、配下の兵士に言うのだ。


「生きた奴がいないか確認しろ。死体は全て粉になるまで潰せ。」


これが騎兵隊の戦後処理のやり方である。
寿言は神威に言う。


「飯食う前にこの匂い嗅ぎたくねえよな。」


神威はニヤつく。


「俺は、この刺激臭を嗅ぐと最高に気分が上がるけどな。」


2人は、死体潰しを散々楽しんでから、全軍に北見を壊滅させよと指令を出した。
こうして、神威率いる騎兵隊の魔の手は、徐々に北見の街へ迫っていくのである。





今日の天気も曇り空。紗宙の病状はだいぶ回復したが、まだ安静にしておいたほうがよさそうだ。彼女の手には、さっき灯恵から渡された一つの紙切れが握られていた。
不吉な色の空。
彼女は、よくわからない胸騒ぎにかられながら、静かに西の空を見上げていた。





(第四十三幕.完)

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登場人物紹介

・北生 蒼(きたき そう)

本作シリーズの主人公であり、青の革命団のリーダー。

劣悪な家庭環境と冴えない人生から、社会に恨みを抱いている。

革命家に憧れて、この国を変えようと立ち上がる。

登場時は、大手商社の窓際族で、野心家の陰キャラサラリーマン。

深い闇を抱えており、猜疑心が強い。

自身や仲間を守るためになら手段を選ばず、敵に残忍な制裁を加えて仲間から咎められることも多い。

非常に癖のある性格の持ち主ではあるが、仲間に支えられながら成長していく。

仙台にて潜伏生活中に、恋心を抱いていた紗宙に告白。

無事に彼女と恋人関係になった。



・袖ノ海 紗宙(そでのうみ さら)

青の革命団メンバー。

蒼の地元の先輩であり、幼馴染でもある。

婚約者と別れたことがきっかけで、有名大学病院の医療事務を退社。

地元に戻ってコンビニでバイトをしていた。

頭も良くて普段はクールだが、弟や仲間思いの優しい性格。

絶世の美人で、とにかくモテる。

ある事件がきっかけで、蒼と共に旅をすることになる。

旅の途中でヒドゥラ教団に拉致監禁されるが、蒼たち青の革命団によって無事救出される。

そして蒼からの告白を受け入れ、彼とは恋人同士の関係になった。


・直江 鐘ノ助(なおえ かねのすけ)

青の革命団メンバー。

蒼の大学時代の親友で、愛称はカネスケ。

登場時は、大手商社の営業マン。

学生時代は、陰キャラグループに所属する陽キャラという謎の立ち位置。

テンションが高くノリが良い。

仕事が好きで、かつては出世コースにいたこともある。

プライベートではお調子者ではあるが、仕事になると本領を発揮するタイプ。

蒼の誘いに乗って、共に旅をすることになる。

結夏に好意を抱いており、典一とは恋のライバルである。


・諸葛 真(しょかつ しん)

青の革命団メンバー。

蒼が通っていた自己啓発セミナーの講師。

かつては国連軍の軍事顧問を務めていた天才。

蒼とカネスケに新しい国を作るべきだと提唱した人。

冷静でポジティブな性格。

どんな状況に陥っても、革命団に勝機をもたらす策を打ち出す。

蒼の説得により、共に旅をすることになる。

彼のおかげで今の革命団があると言っても良いくらい、その存在感と功績は大きい。

革命団のメンバーからは、先生と呼ばれ親しまれている。


・河北 典一(かほく てんいち)

青の革命団メンバー。

沼田の町で、格闘技の道場を開いていた格闘家。

ヒドゥラ教団の信者に殺されかけたところを蒼に助けられる。

それがきっかけで、青の革命団に入団。

自動車整備士の資格を持っている。

抜けているところもあるが、革命団1の腕っ節の持ち主。

忠誠心も強く、仲間思いで頼りになる存在でもある。

カネスケとは結夏を巡って争うことがあるが、喧嘩するほど仲が良いと言った関係である。


・市ヶ谷 結夏(いちがや ゆな)

青の革命団メンバー。

山形の美容院で働いていたギャル美容師。

勝気でハツラツとしているが、娘思いで感情的になることもある。

手先が器用で運動神経が良い。

灯恵の義理の母だが、どちらかといえば姉のような存在。

元は東京に住んでいたが、教団から命を狙われたことがきっかけで山形まで逃れる。

流姫乃と灯恵の救出作戦がきっかけで、革命団と行動を共にするようになる。

山寺の修行で投げナイフの技術を取得。持ち前のセンスを活かして、革命団の危機を何度も救った。

蒼や先生は、彼女のことを天才肌だと高評価している。

革命団のムードメーカー的存在でもある。


・市ヶ谷 灯恵(いちがや ともえ)

青の革命団メンバー。

結夏の義理の娘。

家出をして生き倒れになっていたところを結夏に助けられた。

15歳とは思えない度胸の持ち主。

コミュ力が高い。

少々やんちゃではあるが、芯の通った強い優しさも兼ね備えている。

秋田公国に拉致されたところ、革命団に助けれる。

それがきっかけで、共に行動することになる。

戦場では戦えないものの、交友関係を作ったりと、陰ながら革命団を支えている。

先生から才を認められ、彼の弟子のような存在になりつつもある。


・関戸 龍二(せきど りゅうじ)

青の革命団メンバー。

『奥州の龍』という異名で恐れられた伝説の不良。

達也に親族を人質に取られ、止むを得ず暴走天使に従っていた。

蒼と刃を交えた時、彼のことを認める。

革命団が達也から両親を救出してくれたことに恩を感じ、青の革命団への加入を決める。

寡黙で一見怖そうだが意外と真面目。

そして、人の話を親身になって聞ける優しさを兼ね備えている。

蒼にとって、カネスケと同等に真面目な相談ができる存在となる。

真冬の北海道でもバイクを乗り回すほどのバイク好き。


・酒々井 雪路 (しすい ゆきじ)

青の革命団メンバー。

かつては政治家を目指して、東京の大学で法律を学んでいたが、少数民族の為に戦いたいという思いから北海道へ渡り、AIMに参加する。

ツーリングが趣味で、それ故に機動部隊へと配属されてしまう。

だが、そこで龍二と出会い、彼の紹介で青の革命団へと加入。蒼や先生とともに、新国家の憲法作成することになった。



※第三十八幕から登場

・イカシリ

青の革命団メンバー。

AIM軍の腕利きのスナイパーで、アイヒカンの部隊に所属していた。

射撃の腕は一流で、雪愛(美咲)から密かにライバル視されている。

南富良野で蒼と一緒に戦った時、彼に才能を認められ、次第と行動を共にすることが多くなる。そしていつの間にか、蒼の配下のスナイパーとなり、彼の元で官軍と壮絶な銃撃戦を行う。

服が好きで、アイヌの伝統衣装を自分でアレンジして作った服を着こなしている。



※第三十六幕から登場

・間宮 恋白 (まみや こはく)

青の革命団メンバー。

麟太郎の娘で、年齢は4歳。

生まれたばかりの頃、麟太郎が官軍に捕えられてしまい、母子家庭で育つ。

紋別騎兵隊が街に侵攻した時、母親を殺され、更には自分も命を狙われるが、サクの手により助けられた。

それから灯恵の力により、北見の街を脱出して、一命を取り留める。

命の恩人でもある灯恵のことを慕っている。また彼女から実の妹のように可愛がられており、「こはきゅ」という愛称で呼ばれている。



※第四十四幕から登場

・間宮 麟太郎 (まみや りんたろう)

青の革命団メンバー。

恋白の父親で、元銀行員。

網走監獄に捕らえられていたが、AIMの手により助け出された。

娘が灯恵により助けられたことを知り、何か恩返しがしたいと青の革命団に参加する。

経済について詳しく、蒼からは次期経済担当大臣として、重宝されることになる。

また長治とは、監獄で共に生活していたので仲が良い。



※第五十一幕から登場

・許原 長治 (ゆるしはら ちょうじ)

青の革命団メンバー。

元力士。北海道を武者修行していた時、AIMに協力したことがきっかけで、網走監獄に捕らえられていた。

囚人達からの人望が熱く、彼らをまとめ上げる役を担っていた。

AIMに助けられた後は、青の革命団に興味を持ち、自ら志願する。

典一と互角にやりあうほど喧嘩が強く、蒼や先生からの期待は厚い。

監獄を共に生き抜いた間宮と、その娘の恋白とは仲が良い。



※第四十三幕から登場

・レオン

紗宙が飼っている茶白猫。

元は帯広市内にいた野良猫であったが、紗宙と出会い、彼女に懐いてAIM軍の軍用車に忍び込む。

大雪山のAIM陣で紗宙と再会して、彼女の飼い猫になった。



※第五十二幕から登場

・石井 重也 (いしい しげや)

青の革命団メンバーであり、日本の国会議員。

矢口宗介率いる野党最大の政党、平和の党の幹事長を勤めている。

党首である矢口から命を受け、用心棒の奥平とともに北海道へ渡航。先生の紹介で蒼と会い、革命団への加入を果たす。

政治に詳しい貴重な人材として重宝され。雪路とともに、新国家の憲法作成に携わっていくこととなる。

頑固で曲がったことが嫌いな熱い性格だが、子供には優しいので、恋白から慕われている。

元青の革命党の党員でもあり、革命家の江戸清太郎と親しい関係にあった為、革命家を志す蒼に強く共感していく。



※第五十四幕から登場

・奥平 睦夫 (おくだいら むつお)

青の革命団メンバー。

平和の党の幹事長である石井の用心棒として、共に北海道へ渡航。先生の紹介で蒼と会い、革命団への加入を果たす。

石井とは青の革命党時代からの知人で、かつて彼の事務所で勤務をしていた。その頃、江戸清太郎の演説を聞きに来ていた蒼にたまたま遭遇している。

普段は物静かだが、心の中に熱い思いを持った性格。



※第五十四幕から登場

羽幌 雪愛(はほろ ゆあ)

札幌官軍三将の豊泉美咲が、AIMに潜入する為の仮の姿。

青の革命団について調査する為に、蒼や先生に探りを入れたり、時には彼らの命を狙う。

その一方で、スナイパーとしてAIM側で戦に参戦。戦力として大いに貢献。紗宙や灯恵と仲良くなり、彼女らに銃の手解きをする。

また、その関わりの中で紗宙の優しさに触れ、スパイであることに後ろめたさも生まれてしまう。

性格はポジティブで明るいが、裏に冷酷さも兼ね備えている。



※第三十五幕から登場

・矢口 宗介 (やぐち そうすけ)

国会議員で、先生の旧友。

27歳の若さで初当選を果たし、33歳で野党最大の政党である平和の党の党首まで上り詰めた。

温厚で正義感が強く、日本国を腐敗させた神導党と激しく対立。神導党の後継団体であるヒドゥラ教団から、命を狙われている。

内からの力だけでは日本国を変えられないと判断して、旧友である先生が所属する革命団に未来を託すべく、石井と奥平を北海道へと派遣した。

蒼や先生にも負けず劣らずのロン毛が特徴。



※第五十四幕から登場

・イソンノアシ

AIMの首長であり、英雄シャクシャインの末裔。

サクの父親でもあり、温厚で息子思いの性格。それ故に、AIM軍や統治領域の民衆からの人望が厚い。

諸葛真が大学生の頃、遭難から救ったことがきっかけで、彼とは親友の仲になる。

サクの和人嫌いというトラウマを克服させる為に、彼を革命団の案内役に任命した。


・サク

イソンノアシの息子で、英雄シャクシャインの末裔。

毒舌で攻撃的な性格。

実行力と統率力、そして軍才があるので、AIM関係者からの人望が厚い。また父を尊敬していて、親子の関係は良好。

しかし、交戦的で容赦がないので、札幌官軍からはマークされている。

かつては、温厚かつ親しまれる毒舌キャラだったが、恋人を官軍に殺されたから変貌。和人を軽蔑して、見下すようになったという。

殺された恋人と瓜二つの紗宙へ、淡い好意を寄せる。



・ミナ

サクの元婚約者。

アイヌ民族の末裔で、自らの出自やアイヌの文化に誇りを持っており、北海道を愛していた。

2年前、裏切り者の手によってサクと共に捕らえられる。

そして、彼の目の前で、松前大坊に殺された。



※第三十三幕と第五十幕で登場

・ユワレ

サクの側近であり、幼馴染でもある。

正義感が強く、曲がったことが好きではない性格で、みんながサクを恐れて諌めようとしない中、唯一間違っていることは間違っていると言ってのける存在。

また忠義に熱く、蒼から何度も革命団への入団オファーを受けるが、全て断り続けている。



※第三十三幕から登場

・アイトゥレ

AIM幹部の筆頭格で、イソンノアシやサクの代わりに、軍の総大将を務めることも多々ある。

歴史ファンで、特に好きなのが戦国時代。お気に入りの武将は本多忠勝。

道東遠征で、共に戦うカネスケの才を見抜き、別働隊を任せるなど、彼に軍人としての経験をつませる。



※第三十八幕から登場

・京本 宗男(きょうもと むねお)

北海道知事であり、札幌官軍の代表。

日本政府の指示の元、北海道の平和を守る為に、AIMとの紛争に身を投じた。

政府に忠誠を尽くす一方で野心家でもあり、いつかは天下を取ろうと画策している。

それ故に、紛争を理由に軍備の増強を図る。

人の能力を的確に見抜き、公平な評価を下すことから、部下からの信頼は厚い。

公にはしていないがヒドゥラ教団の信者で、土龍金友のことを崇拝している。



※第三十二幕から登場

・土方 歳宗 (ひじかた とししゅう)

札幌官軍三将の筆頭で、身長190㎝超えの大男。

京本からの信頼も厚く、札幌官軍の総司令官の代理を務めることもある。

武術の達人で、国からも軍人として評価されており、一時期は先生と同じく国連軍に所属していた経験もある。

北海道の治安を守る為にAIMとの戦争で指揮を取るが、特にアイヌやAIMを憎んでいるわけではない。

部下からも慕われていて、特に美咲は彼のことを尊敬している。また彼女と同様に松前の残虐非道な行為をよく思ってはいない。



※第五十一幕から登場

・豊泉 美咲(とよいずみ みさき)

札幌官軍三将の1人。

セミロングの銀髪が特徴的なスナイパー。銃の腕前は、道内一と言われている。

性格はポジティブで、どんな相手にも気軽に話しかけられるコミュ力の持ち主。

京本からの指示を受け、青の革命団の実態調査の任務を引き受ける。

キレ者で冷酷な所もあるが、非道な行為を繰り返す同僚の松前を心底嫌っている。



※第三十ニ幕から登場

・松前 大坊(まつまえ だいぼう)

札幌官軍三将の1人。

人柄はさておき、能力を買われて三将の地位まで上り詰める。

サクの恋人を殺害した張本人。

類を見ない残忍性で、AIMおよびアイヌの人々を恐怖に陥れた。

再びAIM追討部隊の指揮官に任命され、AIMと革命団の前に立ち塞がる。



※第三十ニ幕から第五十幕まで登場

・エシャラ

イソンノアシの弟で、サクの叔父に当たる人物。

元AIMの幹部で、考え方の違いから、札幌官軍に内通して寝返る。

サクとミナを松前大坊へ引き渡し、ミナの殺害に少なからず加担した。

温厚だが、自分の信念を曲げない性格。

AIMをえりもへ追いやって以降は、松前の手先として帯広地域を統治していた。



※第三十三幕〜三十四幕で登場

・御堂尾 神威 (みどうお かむい)

紋別騎兵隊の副隊長。

日本最恐の軍隊と恐れられる騎兵隊の中でも、群を抜く武勇と統率力を誇る。

しかしその性格は、冷酷で自分勝手で俺様系。

人を恐怖で支配することに喜びを覚え、敵対した者は、1人残らず殺し、その家族や周りにいる者、全てを残忍な方法で殺害。

また、騎兵隊の支配地である紋別の町では、彼の気分次第で人が殺され、女が連れさらわれていた。

その残酷さは、松前大坊と匹敵するほど。

結夏に因縁があるのか、執拗に彼女のことを狙う。



※第四十一幕から登場


・御堂尾 寿言 (みどうお じゅごん)

神威の弟で、紋別騎兵隊の隊員。

兄と同じく残忍な性格。

兄弟揃って紋別の町にふんずりかえり、気分で町の人を殺したり、女性に乱暴なして過ごしている。

食べることが好きで、体重が100㎏を超えている大男。

兄の神威と違い、少し間抜けな所があるものの、他人を苦しめる遊びを考える天才。

大の女好き。



※第四十二幕から第四十八幕まで登場

・北広島 氷帝 (きたひろしま ひょうてい)

紋別騎兵隊の隊長で騎兵隊を最恐の殺戮集団に育て上げた男。

『絶滅主義』を掲げ、戦った相手の関係者全てをこの世から消すことを美学だと考えている。

松前大坊からの信頼も厚く、官軍での出世コースを狙っていた。



※第四十六幕から第四十九幕まで登場

・仁別 甚平 (にべつ じんべえ)

黒の系譜に選ばれた者の1人。

カニバリズムを率先して行い、雪山で焚き火をして遭難者を寄せ付け、殺害しては調理して食べる、という行為を繰り返している。

特に若い娘の肉を好んで食す。

リンに狂酔しており、彼女の興味を一心に浴びる蒼を殺そうと付け狙う。



※第四十二幕から登場

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