第三十一幕!英雄の末裔

文字数 9,524文字

日高町の前線が突破された。その一報が入ったのは、新ひだか町に到達した頃であった。
姿を現してからそう時間は経っていないのに、先陣が既に敗北してしまう。これは、こちらの指揮を挫く大きな要因となっていた。
俺たちは、新ひだか町にある静内城に臨時の陣営を築き。そこで防衛線の戦略を話し合った。
イソンノアシは話を切り出す。


「日高町が取られたとなると、次の防衛線であるこの静内城を何としても死守しなければならない。ここが崩れたら、喉元にナイフを突きつけられたようなものだ。」


先生は淡々と語る。


「前線からの情報によれば、敵の総数は8万と兵力だけでも倍以上。それに戦車の5台保有しています。相当手の込んだ防衛陣を築かねばすぐに突破されます。」


「この静内城は西に海、北に川と森。防衛において完璧な場所じゃ。」


「守りには適しているが、守ってばかりでは潰される。」


「うむ。できることなら、敵の先鋒だけでも迎撃して出鼻をくじいてやりたい。」


すると先生はクスッと笑う。


「何を弱気になっておられますか。」


イソンノアシの頭上にハテナが浮かぶ。


「というと?」


先生は自信ありげに言い放つ。


「全軍壊滅させてみせます。」


イソンノアシは驚いた。


「な、なんじゃと!!真の言葉だから信じたいところじゃが...。」


先生は扇子で顔を仰ぎ、陣中をウロウロしながらボヤくように言う。


「ゲリラと水。」


その場に居た全員が、何のことやらと首をかしげる。


「まず敵の進撃速度を、AIMお得意のゲリラ戦で時間を稼ぎながら緩めます。ある程度戦わせては後退を繰り返させ、その間に静内川の上流をせき止めて川の水位を下げます。おびき出して川を渡らせ、程よい所で堰を切って濁流により敵を分断。そこを総攻撃して各個撃滅します。」


イソンノアシは、まだ少し彼の策を疑っている。


「そんな原始的な作戦が通用する相手か?」


先生は何の臆することもなく話す。


「AIMのゲリラ部隊は、自衛隊よりも優秀だと聞いております。敵の気付かれないようにおびき出すことは簡単だと言えましょう。そしてこの戦いで厄介なのは、敵の兵力と戦車部隊。戦車を川に沈めて敵兵を分断してしまえば、こちらの優勢は間違いない。」



「それはそうじゃが。ではどの辺りにおびき出す?」


「豊畑あたりが妥当です。 静内城は川に守られ、うぐいすの森周辺は視界も悪くて我々の伏兵が潜んでいると読んでくる。とすれば、川を安全に渡るとなると中洲も多く進軍しやすいその辺りになるでしょう。そこまで一気に進軍して、体勢を整えてから総攻撃をかけようとするはずです。」


イソンノアシはようやく納得したようだ。


「なるほど。では、その策はいつ決行するのだ?」


先生はきっぱり断言する。


「今夜です!それまでに川を堰き止め、静内川の川上に伏兵を配置します。それから、なぜゲリラ部隊がこの城から離れた方角へ逃げているのかを正当化します。その為、城周辺の橋を全て爆破して逃亡兵を見捨てて、殻に篭るかのごとく守りに徹しているように見せかけます。」


「それで、相手にゲリラの追撃と安全な渡河を促すわけだ。」


先生はニヤリと笑う。


「ええそんな所でございます。」


イソンノアシが、関心した顔で先生を見ている。
先生は続ける。


「それから、私共に手勢3千と船をお与えください。」


「何をする気じゃ?」


「敵の後詰を壊滅させます。」


「海から背後に回り込むということか。」


「さよう。決定的なダメージを与えて、官軍の進軍に待ったをかけさせます。」


「わかった。お主を信じるとしよう。」


先生は一呼吸置くと、サクの方を見る。


「道案内はサクに任せたい。」


サクは張り切って答える。


「任せとけ。官軍のゴミどもを1人でも多く殺害してやる。」


「それから、その3千人の指揮は、我がリーダーにとってに頂く。」


サクは、うってかわって否定的になる。


「いや待ってくれ。戦争に一度も行ったことのない奴に、指揮を取らせるとか正気か?」


先生は平然としている。


「ああ正気だ。リーダーはここにくるまでに幾多の試練を乗り越えてきている。この程度の任務を乗り越えられないわけがなかろう。それに、弱点である土地勘、兵士との信頼関係をカバーする為にあなたをつけるのだ。」


サクは仕方なそうに答える。


「わかったよ。真が言うのであればそれに従う。」


先生は俺に言う。


「リーダー。この作戦において後詰の壊滅は、相手の敗北を決定的にする重要な任務です。」


俺は不安になる。


「ほんとに上手く行くのか?」


先生は根拠を語る。


「ええ、間違いなく。根拠を言うのであれば、敵の先発部隊の大将である南十条雅人は、まだ新米で力任せの戦いを得意とするフィジカル系指揮官です。これまでの戦闘を分析しても、彼は戦略や戦術よりかは、兵力と兵器により勝利してきた傾向にあります。そして経歴を見ていくと、ここらの地理に疎いことがわかりました。夜間という条件、土地勘と戦闘技術に優れたAIMの兵士、そして死をも恐れないリーダーの勢いがあれば、倒せないことはまずないでしょう。」


それを聞いても、まだ不安だ。


「もし万が一、窮地に陥った時の策はあるのか?」


先生は自信に満ちている。


「ええ、考えてございます。どんな場合でも必ず勝利を掴みとる策を。」


俺は少しばかり自信が湧いた。


「そこまで先生が言うなら俺はやる。必ず勝鬨をあげて凱旋するから見ておくがいい。」


「リーダー、それからサク、任せましたよ。」


俺はサクの方を向いた。


「納得いかないかもしれないが、これはAIMにとっても大事な戦いとなる。協力してくれ。」


サクは仕方なさそうに言う。


「言われなくてもわかってる。足を引きずるような真似はすんなよ。」


俺は、軽く頷くと彼から目を背けた。
先生は、隣で話を聞いていた紗宙に話を振る。


「紗宙にも話がございます。後で私のところへ来てください。」


紗宙は、そわそわした顔で先生を見ていた。きっと彼女も戦争が怖いのであろう。
俺は彼女を戦場へ駆り出すことは反対である。後で内容を聞いて、そのようなものであれば、先生にすぐさま止めさせようと、心に誓いを立てた。
こうしてこの新ひだか町を舞台に、AIMによる官軍壊滅作戦は決行されることになった。





会議はひと段落ついた。
俺は、壁にもたれかかってスマホを見ているサクに声をかけた。


「ちょっと話さないか?」


サクはスマホから目を離さない。


「戦のことか?」


「城内を案内してほしい。」


サクはめんどくさそうに立ち上がると、俺と一緒に部屋を出た。
静内城は、こじんまりとした砦のような所で、余計なものを省いて戦闘に特化している。元は真歌公園と言う場所だったというが、札幌官軍と臨戦態勢になった時に、城として生まれ変わったのだ。城内の広場には英雄シャクシャインの銅像が立っており、その前まで来るとサクは銅像へ軽く会釈をした。
俺は、サクに謝罪をする。


「さっきは感情的になって済まなかった。」


「どうでもいい。それにお前が銃を向けたところで、その引き金が引かれることはなかっただろう。」


彼は、ポケットから小さな吹き矢を取り出して、それを俺の方へ向ける。


「きっとこいつが、お前の心臓を貫いていたさ。」


俺は背筋が凍る。


「そんなものを隠し持っているとは、さすが英雄の末裔だな。」


「俺は和人を信用していない。奴らはすぐに人をたぶらかし、そして騙し利用するからな。周りにいる誰が敵になって襲ってくるかわからん。お前にはこの感覚がわからんだろ。」


「全く同じとは言えないが、わからなくもない。」


「どう言うことだ?」


「俺もいわゆる人間不信で、猜疑心が強い人間だ。故に、相手を心から信じることができずに常に警戒をしてしまう。」


胸ポケットから拳銃を取り出すと、それをサクの目の前に突き出した。


「だからきっと、こいつを手放すことができないんだろうな。」


サクは鼻で笑う。


「人を信じれないもの同士が共に戦うわけだ。」


そう彼は言った瞬間、吹き矢を勢いよく吹いた。放った矢は、俺の首の横を通り過ぎると、後方の草むらに突っ込んだ。俺はいきなりの事で、頭が真っ白になる。
サクは、残念そうにため息をついた。


「なんだ狸か。」


俺は一瞬感じた殺意に対して、何をすることもできなかった。


「札幌官軍は、こちらへスパイや刺客を送り込むことがある。常に警戒が必要なんだ。」


「この北の大地には、枕を高くできる場所はないと言ったとこだな。」


「そうだ。この陣中ですら厳戒態勢だ。お前が実は、スパイという可能性も捨てきれないからな。」


俺は一呼吸置いて言い返す。


「お前がどう考えていようがお前の自由だ。俺も心のそこから人を信頼する日はまだ果てし無く先だろう。だけども、今はお前を信頼する以外の道はなさそうだ。」


「勝手にしろ。俺はまだ、お前らを信頼することはないだろう。」


「いつか必ず信頼させてやるよ。」


「それは戦いで結果を出してから言うんだな。」


話をしていると、今朝以上に冷たい突風が吹き荒れた。サクは、それ以上言葉を交わすことなくその場を去る。
俺は、1人で部屋へ戻ることとなった。





参謀室の前まで来ると、部屋から出てきた紗宙とばったり鉢合わせた。
彼女は明るく声をかけてくる。


「お疲れ!どこ行ってたの??」


「サクに城内を案内してもらってた。」


「良いなー。」


「そういや、これからまた風の強い日が続くって。」


「え、また。寒いの苦手なんだよ。」


「耐えられなかったら言えよ。なんとかするからさ。」

紗宙は微笑んだ。


「うん、そうする。」


俺は、さっきのことが気になった。


「先生となんの話をしてたの?」


「治療のこと。」


俺が困惑していると、彼女は続ける。


「私たち戦争なんてしたこと無いじゃん。だから病や毒、それに重傷を伴ったあらゆる場合の関連知識を教えてもらったの。」


先生は、彼女が看護系の大学に通っていたことを知っている。だから、そういう知識はすぐに吸収して、即戦力になると考えたのだろう。


「難しそうだけど、知らないとあとで後悔しそうだ。俺にも教えてくれないか?」


紗宙は謙遜して言う。


「時間がある時にね。教えるの得意じゃないけど。」


「ありがとう!楽しみにしてる!」


そう言い終わった頃、サクもその場に姿を見せた。彼は、紗宙の顔を見ると頬を赤く火照らせた。
紗宙は、そんなサクを心配した。


「サク、大丈夫?」


サクはそっぽを向いた。


「ただの霜焼けだ。気にすんな。」


「なんかあったら頼ってね。遠慮はいらないから。」


サクは恥ずかしそうに言う。


「すまない、ありがとう。」


俺は少しぎこちないサクを見て、すぐに彼の気持ちを勘ぐった。きっと彼も、紗宙に惚れた男の1人なんだろうなと。





俺たちが参謀室で飯を食っている間も、AIMのゲリラ部隊から前線の情報が次々に送られてくる。
イソンノアシの話によれば、官軍の誘導は作戦通りに進んでいる。それに、川の堰き止め工事も順調とのことである。
戦争慣れしているサク、静内城に残る紗宙はともかく、初陣で奇襲作戦の指揮をとる俺の心臓は、はち切れんばかりに脈打っている。
サクが付いている。それに限られた時間ではあったが、3千人の奇襲部隊と簡単な演習を行い、それぞれの小隊の隊長とも打ち合わせをした。土壇場とはいえ、十分な準備はしたつもりではある。だが、やはり緊張が抜けきれない。
俺は弁当を無理やり掻き込むと、参謀室を飛び出して1人談話室へ駆け込んだ。
談話室は、すぐに使用できるように暖房が効いていてとても暖かい。俺はテーブルに座ると、作戦の内容や敵の情報、地図が記載された資料とにらめっこしながら、荒れ狂う自分の気持ちを整理することに全力を注いだ。
俺が率いる奇襲部隊の役割は、退路を制圧して官軍の先発軍を壊滅させる決定打を打ち込むことと、逃走兵を殲滅すること。そして、後からやってくる援軍の足止め役だ。
敵の後詰部隊は5千。兵力では上まわれているが、実戦経験に乏しい見習い兵が多いのだという。
それに引き換えこちらは兵力では劣るが、実戦経験が豊富なAIMの勇者達である。全くもって力の差があるわけではない。それに、土地勘はこちらの方が優れている。後は、俺が経験不足をどう補うか、というところにかかってくるだろう。
窓の外を眺めると、さっきまで吹いていた強風が徐々に弱まりつつあった。まるで大嵐の前の静けさのようだ。
俺は、壁に飾られている北海道の地図を眺めながらふと思った。先生はどう考えているか知らないが、国連の協力が得られない場合、AIMが取るべき道は2つだ。
1つめは、この日高地方を捨てて軍を広尾戦線に集結させ、反時計回りに北海道を制圧していく道。
2つめは、全軍をこの日高戦線に集結させて、総力戦で一気に札幌攻略を計る道。
だが、どちらの道に進むにしても、この戦で失敗するようなことがあれば、選択する未来すらない。
もちろん負ければ、国連から良い返事をもらう前に、AIMが滅ぶことも考えられる。それに、生き残っても不利な条件を突きつけられる可能性が高い。故にこの奇襲作戦は、必ずやり遂げなくてはならないのだ。
だがしかし、俺には少し不安があった。条件は悪くない、俺も頑張れる。しかし、指示に従わない者が規律を乱せば、勝てる物も勝てなくなってしまう。昼の訓練の時、先生やイソンノアシの協力もあって形としては成立した。だが、つい半年前まで一般企業の追い出し部屋にいて、戦の経験のみならず、人を管理したことのない素人の指揮である。良く思わない将兵も多数いたことは事実だ。それに副官のサクだって、会話はできるようになったが、心の距離はまだまだ遠い。いざとなれば、俺を犠牲にすることだって考えられる。
不安で頭がいっぱいになり、作戦資料に顔を突っ伏した。そんなことをしている間に、誰か部屋に入ってきた。俺は、くせ者を見るかのごとく振り返る。するとそこには、もの哀しそうな顔をした紗宙が立っていた。
彼女は、俺の座るテーブルの後ろの壁に設置された長椅子に座った。俺は資料に目を戻すと声を発した。


「何か辛いことでもあったか?」


彼女は何か言いたげだ。


「え、別に...。」


俺は素っ気ない。


「そっか。」


「本当に大丈夫なの?」


俺は、彼女に心配かけまいと強がる。


「大丈夫だ。ここにくるまで散々困難を乗り越えたんだ。こんなところで死ぬものか。」


けども彼女は、俺の手が震えているのを見逃してはいない。


「私、嬉しかったんだよね...。あの時。」


俺は、何のことかわからず聞き返す。
すると彼女は続けた。


「素直に気持ちを伝えてくれた時。」


俺は、よく分からずにぶっきらぼうに返す。


「急にどうしたんだよ。」


彼女は寂しそうだった。


「だから。私にくらいは本当のこと言ってよ。」


俺は、彼女が何でこんなこと言うのかわからなかった。


「なんか酷いことしたかな?」


彼女は俺の方を見ると言った。


「心配なの。この旅に出てから変わっていく姿を見れて嬉しいけど、何度も死にかけて、いつかは私の前から居なくなっちゃうんじゃないかって。」


俺は何て言葉をかければ良いのかわからず、ただ呆然と立ち尽くしていた。


「ほら、歳は1つ違うけど幼馴染じゃん。昔のことも知ってるから余計に不安なの。」


俺は、しばらく考えたから答えた。


「心配かけてごめん。勢い任せに引き受けたけど、正直恐ろしくて引きこもりたい気持ちでいっぱいだよ。でもやり遂げなくてはならないんだ。きっとこの先に、俺がこの世に生を受けた意味の答えがある気がするから。俺はその景色を確かめたい。」


「そんなこと言うと思ってた。けどやっぱり...。」


俺は、立ち上がって彼女の隣へ行くと腰を下ろした。そして、彼女を抱きしめた。


「心配してくれたことは凄く感謝してる。だけど、紗宙には応援していて欲しい。必ず勝鬨をあげて帰ってくるから。そしたら俺のことをもっと信頼して欲しい。」


紗宙は俺の顔を見つめた。


「本当に生きて帰ってきてよ。」


俺はもう言うなとばかりに、彼女に深いキスをした。そして最後に呟いた。


「俺はもう、誰にも負けるつもりはない。」


彼女との約束が、心を取り巻いていた不安という痛みの鎮痛剤になったのかもしれない。英気を養った俺は、彼女を参謀室まで送りとどけると、モッズコートを羽織って外へ出た。
覚悟はできていた。後は、柔軟な決断と根性あるのみだ。





もう日も沈んでいる。中庭にある英雄シャクシャインの銅像が、ライトアップされて悠々と仁王立ちしている。11月の北海道の夜は、東京人からしてみれば冷凍庫のようである。厳しい寒気が包み込むその場所に、サクの姿があった。
サクは英雄の銅像の前で、1人考えごとをしているようだった。俺が後ろから近づくと、彼は音で感じ取ったのか、こちらを振り向かずに言う。


「出陣の頃合いだな。」


「敵が静内川対岸を豊畑方面へ進軍している。 全ての準備が整った。」


「先祖も和人に騙されて殺されている。俺と奴らは宿命の間柄のようだ。」


サクは銅像に向かって深々と礼をした。
そうこうしていると札幌の方角から、微かではあるが敵の歓声らしき音が聞こえてくる。川の向こう岸にある城下町は、住民を逃したことでもぬけの殻となっている。故に、敵からこの陣営まで遮る音源がないことから、遠方の敵の音も何百年前の如く聞き取ることができた。
俺たちは、敵の歓声とは別にこちらに迫ってくる排気音に気づいた。
サクは意地悪っぽく言う。


「お前が連れてきたチンピラか?」


俺は反論する。


「そうに違いない。けどあいつはただのチンピラじゃない。」


「初対面の俺からしてみれば、ただのチンピラだ。」


俺は、それ以上何も言わなかった。
排気音が間近まで迫ってきた。暴走天使との戦いで嫌という程聞かされたが、やはり心臓に悪い爆音である。
排気音は、俺の後方でピタリと止んだ。運転していた龍二は、俺の元へ近づく。


「豊畑方面まで偵察してきたが、約8万の正規軍の迫力は尋常だ。」


「そうだろうな。本州で粋がってる暴走族や仙台官軍とは規模が違うのだから。戦況はどうだった?」


「先発隊が渡河の準備をしていた。後1時間もしたら、上流の堰が切って落とされるだろう。」


もうじき戦の本番が始まろうとしている。気持ちに緊張が走り出す。
そんな時、サクは鼻で笑いながら言う。


「お前が大将なんだろ。そろそろ兵達を集めたらどうだ。」


俺の声は、少し苛立ち混じりになる。


「言われなくてもわかってる!」


俺は彼に港まで来るように伝えると、龍二とともにその場を去った。
サクの言動にイラついたのではない。言われないと答えを導き出せない、経験不足な自分に苛立っていた。
港へ向かう途中に龍二が俺に言う。


「いざという時は俺もいる。細かいことは気にしなくていい。」


「ありがとな。必ず打ち勝って、俺たちの実力を証明してやる。」


バイクの後ろに跨りながら決意を固めると、俺たちは風邪を切って港へ直行した。





港の広場では、AIMの兵士達が素人指揮官の到着を今か今かと待ちわびていた。三千人の兵がざわつく最中、その声をかき消すように、龍二はエンジンをかき鳴らしながら広場へ入った。バイクを兵士達の前方に停車させると、俺は三千人の前にゆっくりと姿をあらわにした。
こんなに大勢の前で、何かを喋った経験がない。だから、緊張で潰れるのではないかと思っていたが、どうもそんなことはなかった。大勢の社員の前で、晒し者の如く怒られていたあの頃に比べれば、全然大したことではない。
前からの景色は、様々なものが見えてくる。協力的な顔、小馬鹿にしたような顔、興味すらない顔、死ぬことを恐れている顔、不平を隠している顔、どんな人物なのか面白半分で見ている顔、そして寝顔。
俺がこの奇襲部隊の隊長になったことで、一枚岩でなくなりかけたこの一団。それを一枚岩に戻す義務が俺にはある。そんな思いを胸に、俺は胸ポケットから拳銃を抜き、天に向かって空砲を放った。ざわめきが瞬く間に収まり、広場が静けさに包まれた。
俺は思い切り息を吸い込む。そして、何が起きたのかわからないような顔をしている兵士たち。そんな彼らへ、今まで発したことのないくらい大きな声で語りかけた。


「俺は北生蒼!
知っての通り、半年前までただの一般人だ!
指揮官としての経験もゼロ、戦争の経験すら皆無、喧嘩だってここ数ヶ月でちょこっとかじったくらいである!
こんな奴にあれやれこれやれ言われるのは、不服以外ないだろう!
その気持ちは重々わかっている!
けどもこれは、AIMの運命を決める大事な勝負である!
俺はアイヌ民族でもなければ、北海道に所縁のある者ですらない!
だが俺は、死ぬ気で勝ちを取りに行く!
なぜなら、AIMと俺が目指している場所は、似ていないようで実は似ていたからだ!
お前達は北海道の自由のために、俺は日本国を変える為に、いずれは札幌官軍を討ち滅ぼさなくてはならない!
故に、俺はお前達を同志だと勝手に思わせてもらっている!
頼りない指揮官だが、期待して任せてくれた先生やイソンノアシ、ここまで支えてくれた革命団の仲間、そして同志であり同じチームのメンバーであるお前達の為に、命を捨てる覚悟で官軍どもの矢面に立って戦う所存だ!
最後になるが、こんな俺に戦とは何かを叩き込んで欲しい!
一緒に勝利をつかませて欲しい!
様々な思いはあるかと思うが、今回ばかりは力を貸してくれ!
そして、どうかこの俺についてきて欲しい!
よろしく頼む!」


覇気を纏ったかの如き勢いのある語りに、AIMの兵士たちは黙って見守っていた。
そんな時、俺の隣にサクが現れ、そして叫んだ。


「俺はまだこの男を好きになれない!
だけどこいつは、ただのリストラ間際の社会不適合系サラリーマンから身を起こし、困難を突破してこの地にたどり着き、死をも恐れぬ覚悟でこの大役を引き受けた!
その思いと勇気は賞賛すべき物であるだろう!
それから目指す方向が一緒である以上、足の引っ張り合いは不利益にしかならない!
だからこの戦いは、この男の思いに賭けてみてはどうだろうか!
それにいざとなったら俺もいる!
ふざけた采配をすれば、この男の首は飛ぶ!
それすらも承知の上でこんな語りをしたのだ!
札幌官軍を倒し、北海道を取り戻す為にみんなで力を合わせようではないか!」


そう言い終わると、AIMの戦士達が次々と声を上げ始めた。
この歓声は、英雄の末裔であり、イソンノアシの息子であるサクに対する声援だろうと思っていた。しかし、龍二に言われて気がついた。なんとサクだけではなく、みんなが俺の語りに対しても、暑い喝采を返してくれているではないか。よくわからないが、緊張がほぐれたのか少しばかり涙が溢れた。
そして、拳銃を天にかざすともう一度叫んだ。


「いいか、必ず勝利して支配という夜を明かしてやる。この戦いは夜明けへの第一歩となるのだ。俺についてこい!!!」


すると三千人が一斉に歓声を上げた。内心どう思ってるかわからないが、サクもここにいるAIMの兵士達も、今夜は一枚岩になってくれそうだ。俺はアドレナリンが全開に放出されたような状態で、疲れすら感じず、ただただ勝利へのイメージが脳内を覆い尽くしていった。





全員が乗り込むと、10隻の小舟は密かに北上して静内川河口を超え、夜陰に紛れて徐々に敵陣に接近していく。どうやら同じ頃、上流では堰が切られて水攻めが成功したそうだ。
敵の戦車部隊は水中に沈み、分断された軍隊が隊列を崩し始めたという連絡が次々に入ってくる。
あと数分もすれば、奇襲作戦本番が幕をあける。
俺は、非常灯のみ灯る小さい小舟の中で、刻一刻と迫る初陣の時を息を殺して待ち構えた。






(第三十一幕.完)
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登場人物紹介

・北生 蒼(きたき そう)

本作シリーズの主人公であり、青の革命団のリーダー。

劣悪な家庭環境と冴えない人生から、社会に恨みを抱いている。

革命家に憧れて、この国を変えようと立ち上がる。

登場時は、大手商社の窓際族で、野心家の陰キャラサラリーマン。

深い闇を抱えており、猜疑心が強い。

自身や仲間を守るためになら手段を選ばず、敵に残忍な制裁を加えて仲間から咎められることも多い。

非常に癖のある性格の持ち主ではあるが、仲間に支えられながら成長していく。

仙台にて潜伏生活中に、恋心を抱いていた紗宙に告白。

無事に彼女と恋人関係になった。



・袖ノ海 紗宙(そでのうみ さら)

青の革命団メンバー。

蒼の地元の先輩であり、幼馴染でもある。

婚約者と別れたことがきっかけで、有名大学病院の医療事務を退社。

地元に戻ってコンビニでバイトをしていた。

頭も良くて普段はクールだが、弟や仲間思いの優しい性格。

絶世の美人で、とにかくモテる。

ある事件がきっかけで、蒼と共に旅をすることになる。

旅の途中でヒドゥラ教団に拉致監禁されるが、蒼たち青の革命団によって無事救出される。

そして蒼からの告白を受け入れ、彼とは恋人同士の関係になった。


・直江 鐘ノ助(なおえ かねのすけ)

青の革命団メンバー。

蒼の大学時代の親友で、愛称はカネスケ。

登場時は、大手商社の営業マン。

学生時代は、陰キャラグループに所属する陽キャラという謎の立ち位置。

テンションが高くノリが良い。

仕事が好きで、かつては出世コースにいたこともある。

プライベートではお調子者ではあるが、仕事になると本領を発揮するタイプ。

蒼の誘いに乗って、共に旅をすることになる。

結夏に好意を抱いており、典一とは恋のライバルである。


・諸葛 真(しょかつ しん)

青の革命団メンバー。

蒼が通っていた自己啓発セミナーの講師。

かつては国連軍の軍事顧問を務めていた天才。

蒼とカネスケに新しい国を作るべきだと提唱した人。

冷静でポジティブな性格。

どんな状況に陥っても、革命団に勝機をもたらす策を打ち出す。

蒼の説得により、共に旅をすることになる。

彼のおかげで今の革命団があると言っても良いくらい、その存在感と功績は大きい。

革命団のメンバーからは、先生と呼ばれ親しまれている。


・河北 典一(かほく てんいち)

青の革命団メンバー。

沼田の町で、格闘技の道場を開いていた格闘家。

ヒドゥラ教団の信者に殺されかけたところを蒼に助けられる。

それがきっかけで、青の革命団に入団。

自動車整備士の資格を持っている。

抜けているところもあるが、革命団1の腕っ節の持ち主。

忠誠心も強く、仲間思いで頼りになる存在でもある。

カネスケとは結夏を巡って争うことがあるが、喧嘩するほど仲が良いと言った関係である。


・市ヶ谷 結夏(いちがや ゆな)

青の革命団メンバー。

山形の美容院で働いていたギャル美容師。

勝気でハツラツとしているが、娘思いで感情的になることもある。

手先が器用で運動神経が良い。

灯恵の義理の母だが、どちらかといえば姉のような存在。

元は東京に住んでいたが、教団から命を狙われたことがきっかけで山形まで逃れる。

流姫乃と灯恵の救出作戦がきっかけで、革命団と行動を共にするようになる。

山寺の修行で投げナイフの技術を取得。持ち前のセンスを活かして、革命団の危機を何度も救った。

蒼や先生は、彼女のことを天才肌だと高評価している。

革命団のムードメーカー的存在でもある。


・市ヶ谷 灯恵(いちがや ともえ)

青の革命団メンバー。

結夏の義理の娘。

家出をして生き倒れになっていたところを結夏に助けられた。

15歳とは思えない度胸の持ち主。

コミュ力が高い。

少々やんちゃではあるが、芯の通った強い優しさも兼ね備えている。

秋田公国に拉致されたところ、革命団に助けれる。

それがきっかけで、共に行動することになる。

戦場では戦えないものの、交友関係を作ったりと、陰ながら革命団を支えている。

先生から才を認められ、彼の弟子のような存在になりつつもある。


・関戸 龍二(せきど りゅうじ)

青の革命団メンバー。

『奥州の龍』という異名で恐れられた伝説の不良。

達也に親族を人質に取られ、止むを得ず暴走天使に従っていた。

蒼と刃を交えた時、彼のことを認める。

革命団が達也から両親を救出してくれたことに恩を感じ、青の革命団への加入を決める。

寡黙で一見怖そうだが意外と真面目。

そして、人の話を親身になって聞ける優しさを兼ね備えている。

蒼にとって、カネスケと同等に真面目な相談ができる存在となる。

真冬の北海道でもバイクを乗り回すほどのバイク好き。


・酒々井 雪路 (しすい ゆきじ)

青の革命団メンバー。

かつては政治家を目指して、東京の大学で法律を学んでいたが、少数民族の為に戦いたいという思いから北海道へ渡り、AIMに参加する。

ツーリングが趣味で、それ故に機動部隊へと配属されてしまう。

だが、そこで龍二と出会い、彼の紹介で青の革命団へと加入。蒼や先生とともに、新国家の憲法作成することになった。



※第三十八幕から登場

・イカシリ

青の革命団メンバー。

AIM軍の腕利きのスナイパーで、アイヒカンの部隊に所属していた。

射撃の腕は一流で、雪愛(美咲)から密かにライバル視されている。

南富良野で蒼と一緒に戦った時、彼に才能を認められ、次第と行動を共にすることが多くなる。そしていつの間にか、蒼の配下のスナイパーとなり、彼の元で官軍と壮絶な銃撃戦を行う。

服が好きで、アイヌの伝統衣装を自分でアレンジして作った服を着こなしている。



※第三十六幕から登場

・間宮 恋白 (まみや こはく)

青の革命団メンバー。

麟太郎の娘で、年齢は4歳。

生まれたばかりの頃、麟太郎が官軍に捕えられてしまい、母子家庭で育つ。

紋別騎兵隊が街に侵攻した時、母親を殺され、更には自分も命を狙われるが、サクの手により助けられた。

それから灯恵の力により、北見の街を脱出して、一命を取り留める。

命の恩人でもある灯恵のことを慕っている。また彼女から実の妹のように可愛がられており、「こはきゅ」という愛称で呼ばれている。



※第四十四幕から登場

・間宮 麟太郎 (まみや りんたろう)

青の革命団メンバー。

恋白の父親で、元銀行員。

網走監獄に捕らえられていたが、AIMの手により助け出された。

娘が灯恵により助けられたことを知り、何か恩返しがしたいと青の革命団に参加する。

経済について詳しく、蒼からは次期経済担当大臣として、重宝されることになる。

また長治とは、監獄で共に生活していたので仲が良い。



※第五十一幕から登場

・許原 長治 (ゆるしはら ちょうじ)

青の革命団メンバー。

元力士。北海道を武者修行していた時、AIMに協力したことがきっかけで、網走監獄に捕らえられていた。

囚人達からの人望が熱く、彼らをまとめ上げる役を担っていた。

AIMに助けられた後は、青の革命団に興味を持ち、自ら志願する。

典一と互角にやりあうほど喧嘩が強く、蒼や先生からの期待は厚い。

監獄を共に生き抜いた間宮と、その娘の恋白とは仲が良い。



※第四十三幕から登場

・レオン

紗宙が飼っている茶白猫。

元は帯広市内にいた野良猫であったが、紗宙と出会い、彼女に懐いてAIM軍の軍用車に忍び込む。

大雪山のAIM陣で紗宙と再会して、彼女の飼い猫になった。



※第五十二幕から登場

・石井 重也 (いしい しげや)

青の革命団メンバーであり、日本の国会議員。

矢口宗介率いる野党最大の政党、平和の党の幹事長を勤めている。

党首である矢口から命を受け、用心棒の奥平とともに北海道へ渡航。先生の紹介で蒼と会い、革命団への加入を果たす。

政治に詳しい貴重な人材として重宝され。雪路とともに、新国家の憲法作成に携わっていくこととなる。

頑固で曲がったことが嫌いな熱い性格だが、子供には優しいので、恋白から慕われている。

元青の革命党の党員でもあり、革命家の江戸清太郎と親しい関係にあった為、革命家を志す蒼に強く共感していく。



※第五十四幕から登場

・奥平 睦夫 (おくだいら むつお)

青の革命団メンバー。

平和の党の幹事長である石井の用心棒として、共に北海道へ渡航。先生の紹介で蒼と会い、革命団への加入を果たす。

石井とは青の革命党時代からの知人で、かつて彼の事務所で勤務をしていた。その頃、江戸清太郎の演説を聞きに来ていた蒼にたまたま遭遇している。

普段は物静かだが、心の中に熱い思いを持った性格。



※第五十四幕から登場

羽幌 雪愛(はほろ ゆあ)

札幌官軍三将の豊泉美咲が、AIMに潜入する為の仮の姿。

青の革命団について調査する為に、蒼や先生に探りを入れたり、時には彼らの命を狙う。

その一方で、スナイパーとしてAIM側で戦に参戦。戦力として大いに貢献。紗宙や灯恵と仲良くなり、彼女らに銃の手解きをする。

また、その関わりの中で紗宙の優しさに触れ、スパイであることに後ろめたさも生まれてしまう。

性格はポジティブで明るいが、裏に冷酷さも兼ね備えている。



※第三十五幕から登場

・矢口 宗介 (やぐち そうすけ)

国会議員で、先生の旧友。

27歳の若さで初当選を果たし、33歳で野党最大の政党である平和の党の党首まで上り詰めた。

温厚で正義感が強く、日本国を腐敗させた神導党と激しく対立。神導党の後継団体であるヒドゥラ教団から、命を狙われている。

内からの力だけでは日本国を変えられないと判断して、旧友である先生が所属する革命団に未来を託すべく、石井と奥平を北海道へと派遣した。

蒼や先生にも負けず劣らずのロン毛が特徴。



※第五十四幕から登場

・イソンノアシ

AIMの首長であり、英雄シャクシャインの末裔。

サクの父親でもあり、温厚で息子思いの性格。それ故に、AIM軍や統治領域の民衆からの人望が厚い。

諸葛真が大学生の頃、遭難から救ったことがきっかけで、彼とは親友の仲になる。

サクの和人嫌いというトラウマを克服させる為に、彼を革命団の案内役に任命した。


・サク

イソンノアシの息子で、英雄シャクシャインの末裔。

毒舌で攻撃的な性格。

実行力と統率力、そして軍才があるので、AIM関係者からの人望が厚い。また父を尊敬していて、親子の関係は良好。

しかし、交戦的で容赦がないので、札幌官軍からはマークされている。

かつては、温厚かつ親しまれる毒舌キャラだったが、恋人を官軍に殺されたから変貌。和人を軽蔑して、見下すようになったという。

殺された恋人と瓜二つの紗宙へ、淡い好意を寄せる。



・ミナ

サクの元婚約者。

アイヌ民族の末裔で、自らの出自やアイヌの文化に誇りを持っており、北海道を愛していた。

2年前、裏切り者の手によってサクと共に捕らえられる。

そして、彼の目の前で、松前大坊に殺された。



※第三十三幕と第五十幕で登場

・ユワレ

サクの側近であり、幼馴染でもある。

正義感が強く、曲がったことが好きではない性格で、みんながサクを恐れて諌めようとしない中、唯一間違っていることは間違っていると言ってのける存在。

また忠義に熱く、蒼から何度も革命団への入団オファーを受けるが、全て断り続けている。



※第三十三幕から登場

・アイトゥレ

AIM幹部の筆頭格で、イソンノアシやサクの代わりに、軍の総大将を務めることも多々ある。

歴史ファンで、特に好きなのが戦国時代。お気に入りの武将は本多忠勝。

道東遠征で、共に戦うカネスケの才を見抜き、別働隊を任せるなど、彼に軍人としての経験をつませる。



※第三十八幕から登場

・京本 宗男(きょうもと むねお)

北海道知事であり、札幌官軍の代表。

日本政府の指示の元、北海道の平和を守る為に、AIMとの紛争に身を投じた。

政府に忠誠を尽くす一方で野心家でもあり、いつかは天下を取ろうと画策している。

それ故に、紛争を理由に軍備の増強を図る。

人の能力を的確に見抜き、公平な評価を下すことから、部下からの信頼は厚い。

公にはしていないがヒドゥラ教団の信者で、土龍金友のことを崇拝している。



※第三十二幕から登場

・土方 歳宗 (ひじかた とししゅう)

札幌官軍三将の筆頭で、身長190㎝超えの大男。

京本からの信頼も厚く、札幌官軍の総司令官の代理を務めることもある。

武術の達人で、国からも軍人として評価されており、一時期は先生と同じく国連軍に所属していた経験もある。

北海道の治安を守る為にAIMとの戦争で指揮を取るが、特にアイヌやAIMを憎んでいるわけではない。

部下からも慕われていて、特に美咲は彼のことを尊敬している。また彼女と同様に松前の残虐非道な行為をよく思ってはいない。



※第五十一幕から登場

・豊泉 美咲(とよいずみ みさき)

札幌官軍三将の1人。

セミロングの銀髪が特徴的なスナイパー。銃の腕前は、道内一と言われている。

性格はポジティブで、どんな相手にも気軽に話しかけられるコミュ力の持ち主。

京本からの指示を受け、青の革命団の実態調査の任務を引き受ける。

キレ者で冷酷な所もあるが、非道な行為を繰り返す同僚の松前を心底嫌っている。



※第三十ニ幕から登場

・松前 大坊(まつまえ だいぼう)

札幌官軍三将の1人。

人柄はさておき、能力を買われて三将の地位まで上り詰める。

サクの恋人を殺害した張本人。

類を見ない残忍性で、AIMおよびアイヌの人々を恐怖に陥れた。

再びAIM追討部隊の指揮官に任命され、AIMと革命団の前に立ち塞がる。



※第三十ニ幕から第五十幕まで登場

・エシャラ

イソンノアシの弟で、サクの叔父に当たる人物。

元AIMの幹部で、考え方の違いから、札幌官軍に内通して寝返る。

サクとミナを松前大坊へ引き渡し、ミナの殺害に少なからず加担した。

温厚だが、自分の信念を曲げない性格。

AIMをえりもへ追いやって以降は、松前の手先として帯広地域を統治していた。



※第三十三幕〜三十四幕で登場

・御堂尾 神威 (みどうお かむい)

紋別騎兵隊の副隊長。

日本最恐の軍隊と恐れられる騎兵隊の中でも、群を抜く武勇と統率力を誇る。

しかしその性格は、冷酷で自分勝手で俺様系。

人を恐怖で支配することに喜びを覚え、敵対した者は、1人残らず殺し、その家族や周りにいる者、全てを残忍な方法で殺害。

また、騎兵隊の支配地である紋別の町では、彼の気分次第で人が殺され、女が連れさらわれていた。

その残酷さは、松前大坊と匹敵するほど。

結夏に因縁があるのか、執拗に彼女のことを狙う。



※第四十一幕から登場


・御堂尾 寿言 (みどうお じゅごん)

神威の弟で、紋別騎兵隊の隊員。

兄と同じく残忍な性格。

兄弟揃って紋別の町にふんずりかえり、気分で町の人を殺したり、女性に乱暴なして過ごしている。

食べることが好きで、体重が100㎏を超えている大男。

兄の神威と違い、少し間抜けな所があるものの、他人を苦しめる遊びを考える天才。

大の女好き。



※第四十二幕から第四十八幕まで登場

・北広島 氷帝 (きたひろしま ひょうてい)

紋別騎兵隊の隊長で騎兵隊を最恐の殺戮集団に育て上げた男。

『絶滅主義』を掲げ、戦った相手の関係者全てをこの世から消すことを美学だと考えている。

松前大坊からの信頼も厚く、官軍での出世コースを狙っていた。



※第四十六幕から第四十九幕まで登場

・仁別 甚平 (にべつ じんべえ)

黒の系譜に選ばれた者の1人。

カニバリズムを率先して行い、雪山で焚き火をして遭難者を寄せ付け、殺害しては調理して食べる、という行為を繰り返している。

特に若い娘の肉を好んで食す。

リンに狂酔しており、彼女の興味を一心に浴びる蒼を殺そうと付け狙う。



※第四十二幕から登場

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