第32話 朝まで歌うということ

文字数 516文字

 昨日、日付変わって一昨日、カラオケボックスに約11時間居たのだった。
 朝まで歌い続けた。
 それは、布施明の「きみは薔薇より美しい」から始まった。

 24歳になったO君は、 ’80年代の歌謡曲を好意的に聴ける体質であるらしく、ばんばひろふみの「SACHIKO」、狩人の「あずさ2号」、さらに古く「いちご白書をもう一度」なんかも一緒に歌った。

 岩崎宏美の「聖母たちのララバイ」、ザ・ピーナツ、青い三角定規、村下孝蔵、平松愛理、石川ひとみ、五輪真弓、中島みゆき、ユーミン、ゴダイゴ、オフコース…。

 セルジュ・ゲンスブールの曲もあった。「リラの門の切符売り」。
 さらに、70年代に放送禁止になったあの名曲、「ジュテーム・モワ・ノン・プリュ」もあった。ジェーン・バーキンとのデュエット曲である。単調なメロディーなので、O君も即興で歌ってくれる。彼がバーキン役であった。(ぼくらは、そういう関係ではないけれど)

 この約11時間、「きみは薔薇より美しい」を3回歌い、「SACHIKO」を2回歌ったのは確かである。
 そして朝になり、日常に戻っていく。
 戻るのは、時間や生活だけでなく、いつも自分の原点的なところ。… それは、きっと誰もが変わらない。
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