第18話 オペラに思う

文字数 631文字

 2000年、春。
 この歌劇を観るのは2回目であった。今回はプラハ国立劇場管弦楽団によるモーツァルト。前回観たのはモスクワの楽団だった。
 ドン・ジョヴァンニは、騎士長を殺し、その後も女遊びを繰り返す。
 そのラストは「亡霊」となった騎士長に「今までのお前の行いを悔い改めよ」と最終勧告を迫られるが、「いやだ!」とかたくな拒否、そして地獄に落ちていく、という壮絶なシーン。
 悪魔は去った、めでたしめでたし、で幕となるのだが、「ほんとにこれでいいんだろうか?」と、どうしようもないやるせなさが残る。

 死んで、たしかに悪党は去った。でも、死んでしまっては、どうにもならないんじゃないか、というやるせなさだ。(罪人を死刑に処し、それでほんとうにいいのか? みたいな。)
 ドン・ジョヴァンニに遊ばれる女の1人に、ツェルリーナという女の子がいる。この役をやった人は良かった。まわりの空気をパッと明るくさせた。こういう役者さんには、がんばってほしい。

 オペラでもシンフォニーでも、指揮者によってニュアンスの伝わり方が大きく違ってくる。前回観た「ドン・ジョヴァンニ」と今回とでは、残念ながらその差異はあまり見分けられなかったが、やはりテレビなんかで観るより格段にいい。
 しかしもうちょっと料金、安くならないものか、と思ってしまう。A席で8000円。1階の悪くない席だったけど、やっぱり高い。2000円位で観れるなら、毎週でも行きたい。芸術って、もっと身近にあっていいんじゃないか?
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み