43.鼎泰豊の小籠包

文字数 1,509文字

店員に促されて席に着く。さて、やっと昼食だ。何を食べよう。注文はQRコードを読み取った専用のサイトから出すことが出来るらしい。

小籠包はマストとして、どう組み立てるか。と思ったが、小籠包にもいくつか種類があり、そこでまた悩んでしまう。1つスタンダートなものは行くとして、もう一つを頼むか、頼むのであれば何を頼むか。結果、普通の小籠包を6個と、えびとへちまの小籠包を6個頼むことにした。

他、せっかくなので小籠包以外にも何か食べてみたい。ランチセットで酸辣湯がついてそれが美味しいというのをWebで見た気がする。それを頼んでみることにしよう。

ビールも注文できるようだ。これは飲まずにはいられない。台湾ビールがいくつかあるようだったが、まだ飲んでいないonly 18 daysという台湾ビールを瓶で頼むことにした。どうやら賞味期限18日のビールとのことで、結構期待している。

あともう一品ぐらいほしい。つまみに何か冷菜をとあれこれ見ていたが、細い麺状の豆腐、豆干絲(トウカンスー)の和え物が気になったので頼んでみることにした。

本当は肉まんとかも食べたいけれど、まあこんなところだろう。注文ボタンを押した。暫く待つと、店員さんがやってきて注文の確認をする。はい、間違いないですと応答して、お茶と伝票が挟まれたバインダー、それから小籠包に添える刻みショウガが運ばれる。更にそれほど待たずして、ビールとグラスがやってきた。緑色の瓶に、「only 18 days」と白字で印字されている。つまみはまだないが、さっそくとばかりに一杯次いでぐいと呷る。なるほど、これは確かに美味しい。昨日、一昨日に飲んだ台湾ビールもよかったが、今日飲んだビールの方がよりドライで飲みなれたラガーといった感じがある。

さらに待つと、豆干絲(トウカンスー)が運ばれてくる。これは無難に美味しい。つまみにちょうどいい塩梅だ。それで粛々と飲んでいると、さほど待たずして小籠包が運ばれてくる。普通の小籠包と、えびとへちまの小籠包で蒸籠が二つだ。

早速とばかりに普通の小籠包の方の蒸籠の蓋をとる。蒸気がむわっと立ち上る。小籠包が6つ。蒸籠の大きさの割に、少し隙間が目立つ。12個入りがスタンダートなのだろうか。小籠包の一つを箸でつまむ。生地は薄く、箸でつついて破れてしまいかと、おどおどしながら慎重に頭の比較的固い部分を箸でつまんで蓮華の上に乗せる。薬味を添えたり、醤油を付けたりはせず、まずはそのままに食べてみる。レンゲの中で生地を少し箸でつついてから、あふれ出したスープとともに、少し息で冷ましてから、一口に口の中に放り入れる。警戒していたほどの熱さはない。ちょうどいい塩梅のあったかいスープが口腔を満たした。上品な味わいが口の中に広がる。ゆっくりと咀嚼して、薄く滑らかな生地と一緒にスープを味わう。なるほど、確かに美味しい。何か驚きを感じるようなパンチは無いが、温度と言い味加減といい、なんというか上品な味だなあという感想を持った。更にビールを一呷り。

そうして食べている内に、酸辣湯も運ばれてくる。トムヤムクンしかり、すっぱからい味の食べ物はあまり得意ではないのだが、これは酸味や辛味に負けずにうま味もしっかり感じられ、ああ、なるほど酸辣湯も悪くないと、夢中になって飲んだ。

そのような感じで、食べ飲みする。美味しい食べ物に、美味しいお酒。それを昼から堪能する。幸せだ。たった1本とはいえ、空腹で飲んだこともあり、そこそこに酒が回る。一通り食べて飲み終えて、一息ついた時にはもう15時前だった。少しのんびりしすぎたかもしれない。そう思いながら、会計を済ませて店を出た。
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