39.民主主義について考える

文字数 726文字

再び紀念堂の1階に戻る。時間的に、もうそろそろ次の目的地へ出発しなければならない。少し巻きで見て回ろう。1階はここも大きな広間になっている。その中央には、何か展示があるらしく、寄って見てみる。するとそこには、自由や平等、人権、気候変動や女性の権利といったテーマでいくつもの作品が飾られていた。あまり時間がないはずなのだが、思わず一つ一つを見て回ってしまう。

さっき見た2階の展示もそうだが、民主主義や自由といった概念を大切にしている感じがする。もちろんこの紀念堂の位置づけもあってのことだと思うのだが、こうして展示の形でその概念の大切さを示そう、共有しようという熱意がそこにあるのではないだろうか。外国勢力の圧力にさらされてきた歴史の中で、次第に民族としての意識に目覚め、民主主義を自分の力で勝ち取ってきた気概、そんなものを感じる。

翻って自分は、それから日本はどうだろうか、と考えてしまう。そのような、普遍的価値を論じたテーマについて、みんなが触れたりする場があるだろうか。自分が知らないだけかもしれない。それはよくわからない。ただ、小難しいからと言って、脇においてやしないだろうか。昨今のいろいろな議論や炎上事案を見ていると、基本的概念の根本をきちんと理解せず曲解したままに、お互いに思い込みや、独善、あるいは憎悪をぶつけているような気がしてならない。もちろん簡単なことではないのだろうけれど、もっと冷静にあるべき姿を論じるようにはできないのだろうか。あれが悪いこれが悪いと、犯人捜しをする前に、互いに互いを信頼、尊敬しあって、民主主義に原点に立ち返るべきなのではないだろうか。そして、そのために自分は何ができるだろうか。そんなことを思ったりなどする。
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