54.帰国

文字数 601文字


3時間半ほどして、飛行機は着陸態勢に入った。今日の天気は曇りのようで、窓の外は雲しか見えない。雲の層を突っ切りながら、下降していくと、漸く地上が見えてきた。房総半島の形が見て取れる。ああ、日本、わが故郷、無事に帰ってこれたのだと、ちょっと感動する。この日本を再度目にしたときの何とも言えない感情。たかだか4日間の旅行でも、感じるものがある。

飛行機は無事成田空港に着陸。4日ぶりに日本の地に戻ってきた。これでほとんど旅は終わったようなものだが、まだ気は抜いてはいけない。家に帰るまでが旅行である。

入国手続を済ませて、関税を通る。が、ここで関税向けの申請書を書いてないことに気づく。そういえば、飛行機の中で配っていた。特に要らないものとして受け取ってなかったが、どうやら全員申請書を出さなければならないらしい。以前旅行に行った時は任意だったような気がするが、気のせいだろうか。

申請書に必要事項を記載して、関税を抜ける。スーツケースを回収して、空港のロビーへ。あとはここから自宅に帰るだけだ。当然ながら、ここからはもうすべてが日本語表記、道行く人が話す言葉も日本語。勝手知ったる自国内だ。少し緊張がほぐれてきたような気がする。帰ってきたんだという実感をじわじわと感じる。

そんな思いと疲れと眠気でふわふわするような足取りで、京成線のホームに向かった。そして、東京方面の電車に搭乗する。旅は終わりに近づいている。
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