37.中正紀念堂

文字数 558文字

再び広場に戻り、中正紀念堂の方へと歩いていく。近づけば近づくほどに、かなり巨大な建築であることが分かる。ようやく階下にたどり着いたころには、少し疲れてしまっていた。なかなか段数がある階段だ。その先に控える宮殿の威容も相まって、登っていくのに少し躊躇する。

汗を流し、息を切らしながら階段を登り終えると、大きな広間がありそこに巨大な銅像が石造りの台座に乗せられ、左右に台湾の国旗を伴って、安置されていた。ゆったりとどっかりと椅子に腰かけ、真正面に穏やかな笑みを向けている。その背後の壁には「論理」「民主」「科学」と書かれた文字の下に、その説明と思しき文章が書かれている。

これが蔣介石か。中国共産党の毛沢東と戦い、敗れて台湾に転進したということは知っているのだが、その後の台湾でどのような活動をしたのかは把握していない。ただ、実際、台湾人の尊敬は受けているようなので、きっと大きな貢献はあったのだろうと思う。

一方で、少し気を付けなければならないとも思う。誰もが慕う人、誰もが尊敬する人、その貢献を認めてモニュメントがつくられるような人。確かにそこには多大な貢献や尽力があったとしても、すべてがすべて評価されるべきものなのか、印象操作はそこに無いか、権力者のイメージ戦略によるものがないかはちゃんと見ていかなければならない。
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