4. 帰ってこない・・・
文字数 1,081文字
夕飯の支度 が途中で手につかなくなってしまったシャナイアは、落ち着かない様子で部屋の中をうろついたり、椅子 に腰を落としてじっと考えてみるも、急にパッと立ち上がったり・・・。
そこへ最初に帰ってきたのは、リューイだった。
「ただいま。なあ、蝋燭 って、これくらいのでよかったか。」
「リューイ!」
シャナイアは、いきなりリューイの腕に飛びついた。おかげでリューイは蝋燭 を落として割ってしまいそうになり、見事な反射神経でそれが床に届く前にキャッチすることはできたものの、勢い余って結局は自分でポキッと折ってしまった。
リューイはため息をついて折れた蝋燭 を悲しげに見つめながら、「どした?シャナイア、そんなあわてて・・・」と、自分と同じくらいシャナイアも泣きそうな顔でいることには気づかずに言った。
「ミーアが帰ってこないのよ、ちょっとお使い頼んだだけなのに。」
「ミーアのことだから、寄り道でもしてるんじゃないのか。」
「そう思って迎えに行ってみたんだけど、どこにも見当たらなくて。パン屋にもまだ行ってないのよ。」
リューイはそこで、やっとシャナイアの不安そうな顔を見た。折れた蝋燭 のことなどもうどうでもよくなるほどに、彼女は青ざめた深刻な表情で立っている。
リューイも思わず黙り込んだ。
するとそこへ、ミーアの元気な声が飛び込んできたのである。
「ただいまあー。」
「ミーア!」
五体満足で帰ってきたミーアを、シャナイアは両手でぎゅっと抱きしめた。これほど、生きるか死ぬかの戦場にいるより怖い思いをしたのは、いつぶりだろう。
ただ、不安はいっきに解消されたが、安心してばかりもいられなかった。ミーアは左の肘 と膝 に痛々しく包帯を巻いているのである。それに、服が黄色い生地の長いドレスに変わっていた。
「やだ、なに、怪我 したの?大丈夫なの?これ、誰に手当てしてもらったの?」
「うん、大丈夫だよ。手と足すりむいちゃって、肩がちょっと痛いだけ。」
リューイが腰を落として、ミーアの着衣の袖を両方まくり上げてみると、右肩に痣 ができていた。
「何があったんだ。これを見たら、レッドが血相変えて心配するぞ。」
「それに、その服どうしたの?」
「えっとね・・・えっと、目を開けたら、王子様のお部屋にいたの。馬車とぶつかって・・・服はもらった。」
リューイとシャナイアがどういうことかと顔を見合ったその時、お供を連れた煌 びやかな青年が入ってきた。いでたちもそうだったが、光り輝くオーラを感じる。浅黒い肌と、目元がキリリと引き締まった藍色 の瞳、そして、背中まである豊かな黒髪を一つにまとめた、美貌 の若い男が。
そこへ最初に帰ってきたのは、リューイだった。
「ただいま。なあ、
「リューイ!」
シャナイアは、いきなりリューイの腕に飛びついた。おかげでリューイは
リューイはため息をついて折れた
「ミーアが帰ってこないのよ、ちょっとお使い頼んだだけなのに。」
「ミーアのことだから、寄り道でもしてるんじゃないのか。」
「そう思って迎えに行ってみたんだけど、どこにも見当たらなくて。パン屋にもまだ行ってないのよ。」
リューイはそこで、やっとシャナイアの不安そうな顔を見た。折れた
リューイも思わず黙り込んだ。
するとそこへ、ミーアの元気な声が飛び込んできたのである。
「ただいまあー。」
「ミーア!」
五体満足で帰ってきたミーアを、シャナイアは両手でぎゅっと抱きしめた。これほど、生きるか死ぬかの戦場にいるより怖い思いをしたのは、いつぶりだろう。
ただ、不安はいっきに解消されたが、安心してばかりもいられなかった。ミーアは左の
「やだ、なに、
「うん、大丈夫だよ。手と足すりむいちゃって、肩がちょっと痛いだけ。」
リューイが腰を落として、ミーアの着衣の袖を両方まくり上げてみると、右肩に
「何があったんだ。これを見たら、レッドが血相変えて心配するぞ。」
「それに、その服どうしたの?」
「えっとね・・・えっと、目を開けたら、王子様のお部屋にいたの。馬車とぶつかって・・・服はもらった。」
リューイとシャナイアがどういうことかと顔を見合ったその時、お供を連れた