第27話
文字数 894文字
キノコに含まれた、不気味な成分を思うさま吸引せし、不埒な者共による聖なる宴は、いつ果てるともなく続いた。
もとよりこのロマンチカの世界には、勤労という概念はなく、従って弛緩性の薬物に対する警戒心もさほどではない。
その上、邪道士ポナンのようなひとでなしが大手を振って弟子をとる世の中だから、人々はまあ堕落していたと言っても良かっただろう。
そんななか、スフィンクスとの頭脳と肉体による死闘が行われるはずだったこの館で実際に繰り広げられていたのは、平和な平和なドラッグの宴だった。
その果てにスフィンクスがカスウィザードに告げたのは、次の言葉だった。
『あんたにあたしの心臓をやるわけにはいかない。だってイタイもの。でも、代わりにこのキノコをあと二、三本、坊やに持たせてあげるわ。これを邪道士あたりに売りつけたら、少しはお金になるはずよ』
へらへら笑いながらカスウィザードは答えた。
『そりゃ平和っすね。でも、モンスターとの間に平和が可能なのかな?ぼくとあんただけの平和じゃないの?!』
『それでも良くはなくって?まずはそこから始めない?』
しばらくの間、カスウィザードは考えた、いや、考えるふりをした。そして頷いた。
『うん。おれも、雷神の剣は諦める。うすうすは分かっていたんだ。雷神の剣があったって、今のおれにはクラーケンは倒せないってことぐらい。分相応な敵をチマチマ倒して次第に名を上げていくよ。』
『ふふっ。あっという間に歳をとるわよ。』
『だとしたら、それもまたおれの人生だ』
『面白いの謎を思いついたら、またおいでなさいな。いつでも相手してあげるわ』
『分かったよ。そうそうは来れないけどね』
『なんでかしら?』
『ちょっと遠いからね』
『モームにあんたのことをここまで運ばせるわ。半日で来れる』
『どうやったらモームを呼べる?』
スフィンクスは二本のキノコと、呼笛を手渡した。小さな呼び笛で、今まさに跳ぼうとする猫を象ってあった。
『わたしの知恵が必要になったら、その笛を吹きなさい。いつでもあなたの助けになるわ』
『悪いな、何もかも』
『あら、良いのよ。一緒にはっちゃけた仲だもの』
とスフィンクスはウィンクしてみせた。
もとよりこのロマンチカの世界には、勤労という概念はなく、従って弛緩性の薬物に対する警戒心もさほどではない。
その上、邪道士ポナンのようなひとでなしが大手を振って弟子をとる世の中だから、人々はまあ堕落していたと言っても良かっただろう。
そんななか、スフィンクスとの頭脳と肉体による死闘が行われるはずだったこの館で実際に繰り広げられていたのは、平和な平和なドラッグの宴だった。
その果てにスフィンクスがカスウィザードに告げたのは、次の言葉だった。
『あんたにあたしの心臓をやるわけにはいかない。だってイタイもの。でも、代わりにこのキノコをあと二、三本、坊やに持たせてあげるわ。これを邪道士あたりに売りつけたら、少しはお金になるはずよ』
へらへら笑いながらカスウィザードは答えた。
『そりゃ平和っすね。でも、モンスターとの間に平和が可能なのかな?ぼくとあんただけの平和じゃないの?!』
『それでも良くはなくって?まずはそこから始めない?』
しばらくの間、カスウィザードは考えた、いや、考えるふりをした。そして頷いた。
『うん。おれも、雷神の剣は諦める。うすうすは分かっていたんだ。雷神の剣があったって、今のおれにはクラーケンは倒せないってことぐらい。分相応な敵をチマチマ倒して次第に名を上げていくよ。』
『ふふっ。あっという間に歳をとるわよ。』
『だとしたら、それもまたおれの人生だ』
『面白いの謎を思いついたら、またおいでなさいな。いつでも相手してあげるわ』
『分かったよ。そうそうは来れないけどね』
『なんでかしら?』
『ちょっと遠いからね』
『モームにあんたのことをここまで運ばせるわ。半日で来れる』
『どうやったらモームを呼べる?』
スフィンクスは二本のキノコと、呼笛を手渡した。小さな呼び笛で、今まさに跳ぼうとする猫を象ってあった。
『わたしの知恵が必要になったら、その笛を吹きなさい。いつでもあなたの助けになるわ』
『悪いな、何もかも』
『あら、良いのよ。一緒にはっちゃけた仲だもの』
とスフィンクスはウィンクしてみせた。