第43話 神裔VS神裔

文字数 6,483文字

「では第1問」


 これは? 怒虎ではないか? もう珍しくもなくなってきてしまったな……こんなに沢山の怒虎の写真が残されていればそれもしょうがない事……時代は変わったな……ほう、この怒虎は仕留めたばかりの大蛇を今正に食べようとしてい……ぬう!!? ひぃ……ひ、左の【あれ】はなんなのだ? 怒虎よりも遥かに巨大な【存在】がある様に見えるのだ……!

ゴシゴシ

いや、私の見間違いではない。確実に居る……!! 画面端に全貌は露ではないが遥かに大きな存在が……! 一体あれは……確か怒虎の大きさが高さ2kmで幅1kmで体重が300トンである筈だ……そこから比較し、目算していけばあの巨大な存在のおおよその大きさが算出出来る筈。ううむ……画像では怒虎の大きさは私の人差し第二関節位だ。もし怒虎背を正し、直立したとて1本分程度か……そしてその巨人は……恐らく左足のスネの真ん中あたりまで確認出来るが、その確認出来る部分だけで比較しても怒虎より大きいのだ。
ここからイメージで、この存在は写真に写っている4倍以上は高さがある筈……故に高さ8~9kmで幅も4km、体重は2300トン以上はある巨人という事が推測出来るな……これだけ大きい巨人となると絞られてくるぞ……よし、調べてみよう。えーと、ゴソゴソ……ジャジャジャジャーン

【語り専用PC 】

だ! 私は語り中にこっそりこの中に住んでいる

【語り専用GOOGLE先生】

に、分からない事を尋ねつつ語っていたのだ。別に悪い事ではないが言うまでもないと思い今まで秘密にしていた。ではその彼に聞いてみよう。いつもお世話になっております♡まずはここで語り専用マウスと言う外部入力装置を使用する。これをPCに差し込み使用する。で、そのマウスの裏には玉っころが搭載されていて、それを上手い事床の上を滑らせる事で、語り専用カーソルを移動させる事が出来る。それを巧みに操り、語り専用検索バーと言う検索する際に入力出来るスペースがあるのだが、その中にカーソルを移動させる。次にマウスの左側のボタンクリックを一回する。クリックとは押すと言う意味だ。右手人差し指でしっかりと押す。これがこのバーに文字を打ち込みますよ! と言う命令指示操作となる。これをうっかり忘れると、キーボードを幾ら叩き文字を入力したと思っても全く反映されないのだ。そう、打ち込んだ労力が完全に無効化され、時間と命を大幅に損してしまう。故にしっかりとやらなくてはな。これは語り専用PCだけでなく通常のPCの基本でもある。忘れるでないぞ? で……高さだから……T、で、次がAでしょ? 次がK、で……A、S、A、で高さ完成っと。ぬふう……疲れるなあ……だが、まだ戦いは始まったばかりなのだ……この様に一つの事を調べるにも相当な命を使う。これが私の仕事なのだ……全く……割に合わぬ仕事である……で、9に、K、mと! よし半分終ったぞ。ぬふうぬふう……で、次は重さを入力するんだよね? えっと……その前に一旦語り専用スペースキーを押して間を開けてから……2,3,0,0、t、で完成! なんとか重さの数値も打ち終えたぞ。もう一息! 頑張れ私! そしてN,O、で【の】を作り出し、最後の仕上げにK、Y、O、J、I、N、Nと打ち込み、完成だ! そして! 語り専用エンターキーを力強くターン!!
☆ターン☆

ぬはぁ終わった……これはかなりの命が削られたわ……どれどれ? ぬ? 出て来たぞ!
な、成程。あれはギリシャ神話に記された、巨人ヘカトーンケイルと言う巨人族なのか? 言われてみれば禍々しき邪闘気がこちらにも届く様である……! これはそのヘカトーンケイルが怒虎と会話しているシーンなのだろうか? 一体何を? 恐らく人類の身勝手な行動に不満を吐露しているのだろう。しかし、こんな画像を如何にしてここの運営は入手出来たのだ? ま、まあよい。まずはこの写真で対決する様である。さて、どんな戦いに?
「ではサイコロです。はい! 3です。白川さん先攻!」

「くっ……よし行くぜ」
流石に早い。ものの10秒で閃く。

『これでおさかにゃ捕まえてくるんですか!?』
ドッ
「おお中々の反応です。では後攻アリサさんです」

「考える時間も無いの?」

「あ、説明し忘れましたが制限時間は無いです。申し訳ございません。ですからじっくり考えて頂いて結構ですよ」

「そうなんだ! でもっ! はいっ!」
アリサも負けじと10秒で閃く!

「どうぞ!」

『大縄跳びの回す係の人が非力すぎる』
ドドッ

「むぅああ……」
VIP席からも感嘆の声が、恐らく蘇我子だなこの戦いをしっかりと観戦している様だ。そして、アリサのネタに「まあ……」と感動しているのだろうな。

「おお! こちらも中々の反応です。小学生の観点からの見事なネタですね! ですがこの学校は猫も生徒として学んでいるのでしょうか?
男女猫共学の珍しい学校ですね。これは拍手の大きさが違いますね。言うまでも無くアリサさんです!」

「やったー」

「おい! おさかにゃネタ面白いだろ!! ったく……客のセンスなってねえなあ」
客のせいにする白川。

「まあまあ、こう言う事もあるってww」
余裕のアリサ。

「アリサさん1ポイント先取! では第2問です」


これは? 虎であるな。怒虎よりは大人しい生物ではあるが、猛獣である。そんな獣がアリサよりも幼い幼女を追いかけているぞ? 撮影者は何をしているのだ? 暢気に撮影などする余裕などない筈であろう?
そのキャメラを手放し、急いであの幼女を助けるのが優先の筈だが、全く焦る様子もなく淡々と撮影しているな。
写真の仕上がりが見事で、手ビレ等で一切画像が歪む事なく撮影されている。そこからも良く分かる。この画像の撮影者は人間ではない。恐らく悪魔なのだろう。
もし撮影者が人間であれば、同じフィールドにいる以上当然危険が危ない筈だ。だが全く物怖じする事無く撮影出来ている事実から、自分には絶対虎は来ないと言う確信があっての行動。故に

【人間以外の存在=悪魔】

と言う単純な等式が成り立つ訳だな、その悪魔は、幼女が獣から逃げ惑う様を至近距離で楽しんでいるに違いない。そして、それを一回見るだけでは飽き足らず、撮影し写真に残す事で脳内で反芻させるだけでなく、その写真を見る事で何度も何度も楽しもうと言う事か……これは完全に撮影者のエゴイズム以外の何物でも無い……それにしてもこんな写真が出回ったと言う事実が恐ろしい。このような犯罪スレスレの画像を流しても平気な顔をしている輩が確実に最低でも一人はいると言う事実が明るみに出てしまったからだ。
そう、こんな事をしても大丈夫。安全な所に居るからね! とその悪魔は我々一般人や警察に挑戦状を叩き付けているという事なのかもしれない。だが私達はそれを手を(こまね)いて見ている事しか出来ない事実……(´・ω・`)そして私はこの画像を見て気付いてしまった。それは、本当に罰せねばならぬ存在と言うのは、実際は安全な所に隠れつつ悪事を行う為、決して表に出ることなく生き続ける物なのだなあ……という事をだ!! これが世に言う

【憎まれっ子世に憚る】

と言う言葉の真の意味なのだ。そして、その悪事を時々こうやって人々に見せつける事で、快感を味わい更に、

【お前たちは無力だ】

と言う事を伝えて来ているのかもしれない。こうして我々の無力さを痛感させているという訳だ。まあ折角悪い事をしても、誰にも気付かれなければやった意味は無いと言うひねくれた考えを持つだろうからこうしたアピールをしたいのだろう。寂しがり屋の悪魔なのだ。こんな目的で犠牲になった幼女も、それを追う虎も、これを見せられている我々も、全てが犠牲者なのかもしれない。そう考えるとこれは悲しい画像だな……作った本人以外誰も得をしない。
この数秒先を想像するのが非常に怖い写真であるが、こんな悪魔の生み出した写真を果たして面白くする事は出来るのか? 選手の腕の見せ所だな。
「サイコロは? はい! また奇数の1ですね。先攻白川さんです」

「うーんうーん。よっし」

「早いですね! どうぞ!」

『お前も反神タイガーズに入れー』
ドドッ
「ああ、これは獲物を狩る虎と、逃げる幼女の写真ではなく、女子野球選手の勧誘なんですね? 強引な勧誘ですねえ……しかし、スカウトマンのスカウト方法もその姿もちょっと野性的過ぎますよ。
では次は、後攻のアリサさんです! お願いします!」

「これで行けるかなあ」

「すごい! もう思い付いてらっしゃる? ではどうぞ!」

『親父があたちに与えたちれん(試練)』
ドッ

「酷い父親ですね。目的は何なんですかね? 女の子が虎に食べられる危険性がある中、あえてこの試練にしたと言う理由は? この試練の果ては、女の子が虎のエサになるか、何とか逃げ切っても下半身だけムキムキのゴリラの様な幼女になるかの2つに1つですよ? どっちにしても嫌ですよね? うーん、これは白川さんですね」

「よしっ! 今度の客はセンスがあるな!」
同一人物であるが……

「くうーくやしい! 差を付けて余裕を持ちたかったなあ」

「白川さんも1ポイントです。並びました! 第3問です」


何だこのお題は? 男達が9人いるな。しかし、8人は表情こそ違うが同一人物だな。
中央にいる人物は、良く見るとカリフォルニア州の元州知事のツュワルシェネガーではないか? この2人の男達、一体どういう関係性があるのだ? この運営の傾向が全く掴めぬな……このお題一体何が正解だというのだ?
「サイコロタイムです。はい! 4ですね。という事は、偶数が初めて出ました。アリサさん先攻です」

「一瞬で出たわ」
ほほう、このお題でか……

「おおっ! どうぞ!」

『10連ガチャで全部被りかなと思ったら、最後の最後でウルトラレアの大当たりが来た!!』
ドドッ

「うぇ? ぬぅあぬぅいくぁすぅいるぁ? ゆぅぉくうぁかるぁぬぁういぅぁ? どぅえむぅぉおいむぃをすぃってるぁっしゃるうくぅたぁぐぁつぁぬぁるぅぁあおむぉすぃるぉうぃんどぅえしゅぉうぬぅええ? うぁつぅぁすぅぃいむぅおむぅおすくぉすぅいあんつぅえぬぅあをふぃるぅぉぐぅえぬぁくぅえるぅぇヴぁいくぅえむぁすぅえんぬぅえ……」

訳「え? 何かしら? 良く分からないわ? でも意味を知ってらっしゃる方々なら面白いんでしょうね? 私ももう少しアンテナを広げなくてはいけませんね……」

「これはソシャゲの10連ガチャですね? そのガチャ結果の画面だと考えたんですね? 流石小学生ですね。今風ですねえ! 真ん中が大当たりなんですね? 何となく分かります。
当りが最後という事は、左上から時計回りに一つずつ排出されて、最後に真ん中が開くと言った感じで終わるガチャなんですね。開き方も珍しいですね。
ですが、回した人も途中まで被りのゴミクズばかり出てイライラしてたでしょうねぇ? でも最後の最後で報われましたねえ……でも10連ガチャって仰っていませんでしたか? どう見ても9個しか排出されていない様な? 故障していますねこのガチャ。これ、運営に通報できませんか? ま、まあいいですね細かい事は。しかも、大当たりも来たんですからね。
もし文句を言って、じゃあ再度引き直しましょう。なんて言われて、折角引いた大当りまで回収されて、引き直しで爆死だったら目も当てられませんし。では、後攻の白川さんです!」

「うーん……」

「あっ、白川さんが珍しく長考されています」

「よし、いける!!」

「閃いたみたいですね! どうぞ!!」

『海外のおそ松様』
ドドドッ

「アリサさんとは対照的に、昭和のアニメで攻めたあ! あれ? 実写だからドラマですね? ちょっと待って下さい? おそ松様って確か原作では赤塚藤子不二夫先生の、6つ子が登場するギャグ漫画ですよね? どうして9人なんでしょうか? あっ成程! 分かりました! 海外って言ってましたもんね! 海外だと9人になっちゃうんです! 日本のドラマをそのまま使うのではなくて少しアレンジをするんです。そして今回は人数を少し水増ししたんですね。何でもスケールを大きくしたがりますからね海外のドラマって! 監督さんが、

「ジャパニーズと同じ数じゃつまらないデース! 1,5倍に増量シマース!!」

って感じですね? 分かります。しかし、追加された3人の名前は何なんでしょうね? 赤松、黒松、後始末でしょうかね? 後気になったのですが、真ん中の子だけ同じ遺伝子配列とは思えない程異様に発育が良くないですか? どう考えても別のグループですよね? まあ似てない双子も居る筈ですから、9つ子にもなれば、一人や二人変わった子がいてもおかしくないですね。納得しました。しかしこの豪華メンバー達で一体どんな物語が繰り広げられるのか……個人的に気になります。うーん……これは歓声の盛り上がり方が違います。これは白川さんでしょう!」

「よし! どうだ!! 逆転だぜ?」

「うーん、ソシャゲネタは駄目だったかー、悔しいよー! リセットボタン欲しいよー」

「馬鹿め、人生もソシャゲにもリセットボタンなんぞねえよwお前はな、思い付いた物を勢い任せで言うからダメなんだw客にうけるかどうかを言う前にしっかり判断して、駄目なら却下しろ! 時間はあるんだからよ!」

「くー、でも確かに……言われてみればそうだったわ……」

「白川さん2ポイント目です! 一歩リードです! そのまま突っ走るのでしょうか? そして連取され、ピンチですアリサさん。
一体どうなってしまうのでしょうか? 続きまして第4問です」


これは? 男性の髪型が生き生きと爆発しているな。

「では……サイコロです。行きます! 6です。と、言う事は? アリサさん先攻ですね。どうぞ!」

「うーんとうーんとあーでもないこーでもない」

「時間はありますから、落ち着いて下さい……!」

「よし! これで行ってみるか」

「どうぞ!」

『防御力+31 攻撃力+385』
ドドドッ

「頭に装備する防具なのに、攻撃力も上がるタイプのお得な装備ですね? 確かにあれに切られたら痛そうですね。と言うかコレ装備なんですね? 髪の毛の形してますし……と、いう事は? この人カツラって事になっちゃいますけど……ばらしてはいけない気がしますが……では後攻の白川さんどうぞ!」

「……どうするか」

「時間は幾らでもあります」

「うーん……よし、これ行ってみるか……」

「はい! お願いします!」

『骨山臑男(すねお)35歳』
ドドッ

「こ、これは……アニメの銅鑼衛門でお金持ちキャラの臑男君が、25年後にはこんなにもダンディで素敵な漢になって……ポッ♡……て、あれ? 臑男さんって確か小柄で、鳥類の(くちばし)の様に尖っている口元をした少年でしたよね? お顔も少々変わった気がします。それに全体的に大きい様に感じるのですが……髪型の迫力でそう見えるだけでしょうか? まあ、体までは見えませんもんね……顔はあれでも体は小さいという事でいいですね? そう考えると萎えちゃいますね……それにしても確か日本人だったような気がしますが……髪の色が……人種も変わっている様な気がしますよ? これも気のせいですか? うーん……これはアリサさんでしょうか?」

「よかったー」

「では次の問題です」


これはコートジボワールのサッカー選手か? その上に口癖を聞いてくるテキストが。これはどういう答えが最適なのだろう?

「サイコロタイムです。はい! 2ですね。立て続けにアリサさんです」

『今年ももう終わーる』
ドッ
「まだ七月の終わりですよ? まだ少しありますね。変な口癖ですね。口癖って言うからには新年から毎日言っているのでしょうか? では、白川さんお願いします」

「これは簡単だぜ」

「おお! どうぞ!」

『ξ§ΘΔν£ЖΦ(=^ω^=)(*´▽`*)bЩ』
ドドドッ

「え? なんて? 何を言っているか全く分かりません。ですが、盛り上がりが凄いですね。これは白川さんでしょう」

「やったぜ」

「結局差が縮まらないなあ」
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