第16話 語り部のお笑い論 前編 

文字数 7,890文字

こんにちは! 私は語り部だ。では、前回の約束を果たすとしよう。
前回鎌瀬は自分の欠点を持っている芸人は、いじって貰え、お笑い的には美味しいのだよ? と、言っていた。
……言いたい事は少し分かる。ほんの少しな。だが、違うのだ……この男の思想は何かが違う!!! ……私はお笑いは好きだ。だが、多岐に渡るジャンルの内、好きなジャンルと、嫌いなジャンルが明確に分かれている。
そして、私の語りにも好きなジャンルを私なりにミックスし、皆さんに笑いを提供しているつもりだ。
何? 全く気付かなかった? 何と! 悲しいなあ……そういう方も居るのだな……まあいい。
勿論私が面白いと思って発言しても、すべってしまう時もある。
だが、私のスタイルを貫けていると言う矜持があるせいか気にしてはいない。

 因みに私の笑いの学びの源泉は、長い事個人的に好きな芸人のネタを撮ったVHSだ。
今風に言えば【ぶるーれいでぃすく】 ?とかいう物であろう?
その中には、私が厳選に厳選を重ねたネタのみが詰まっている。当然ある程度の面白さがないとそこに入れる事はない。
その基準は、私が3回以上笑ったらだ。これを聞いて頂けばどれほど難しい事かと分かって頂けるはずだ。そんな厳しい審査をくぐり抜け、ビデオ入り出来たネタ達は、正に珠玉のネタだ。
それを毎日の様に繰り返し見て来た。良いネタは何度見ても良い物だ。

 そして、一度見たネタも、何度も見ている内に、笑う為に見る娯楽から、笑いの教科書へと変貌を遂げる。
そう、変わるのだ。紙ではない教科書にな。おまけに、映像と音声までも付いていると言うハイグレェドな教科書だ。
例えば、突っ込みのタイミング、ボケの表情、間の取り方、と言う細かなテクニックも見えてくる。
それは、一度見た位では気付けない。だが2度目は違った角度から見る事が出来、芸人のテクニックを次第に把握出来る。
お笑いとは教えて貰う物ではなく盗む物だ。
プロの技を見て学習し、自分の物に出来る場面は多々ある。いわば私は、お笑いネタを見ている内に、その隠された人を笑わせると言う仕組みを解明した男なのだ。ただ、それをプライベートで使う事はないが、語りの仕事には取り入れる事が出来ている筈。
そんな私から、これからお笑いを目指す若者にアドバイスがあるとすれば、お笑いの勉強は、専門用語習得に拘らないのであれば、別に養成所になけなしの金を払って机の上でお笑いの用語を勉強するよりも、実際にその勉強を終えて成功しているプロの芸人達の中でも自分の好きなネタを自身で選定し、何度も何度も見続けた方が、確実に笑いの勉強になるのだ。
声の張り方、間の取り方、全てそのビデオに集約されている。
そんな、語りの勉強と同じ位に、お笑いを楽しみながら、いつの間にか極めてしまった経歴のある私のお笑い論を語らせて頂くと、相手の欠点や悪口をネタにする事程、愚かな事は無いと考えている。いつの間にかテレビなどではそういうネタが氾濫して、見るに堪えない状況になっている。
他にも自虐ネタや下ネタ、そしてモノマネも同様である。そう、鎌瀬の上げた芸人達全ては邪道だと主張させてもらう。
モノマネも? と仰る方も居るかもしれないが、とりあえず聞いてほしい。

「どういう事なの?……自虐ネタ、悪口、下ネタ、モノマネだってれっきとしたお笑いのネタじゃないか!! このド変態!!」 

「女性芸人が健気に体を張る姿は美しいじゃないか! この大馬鹿ド変態野郎!」

「語り部さん酷い……最低! ド変態!」 

「そんな事は無いわ。鎌瀬が正しいわ。あなたは間違いマチガイまちがい間違いマチガイまちがい間違いマチガイまちがい間違いマチガイまちがい間違いマチガイまちがい間違いマチガイまちがい間違いマチガイまちがい間違いマチガイまちがい間違いマチガイまちがい」

「モノマネはモノマネ大会みたいに、一つの番組まで作れるほど有名なのよ? それを否定するなんて……このド変態!」

「辞めちまえ!! このド変態バカたり部!!」

「見損なったぞ! もうお前は語らないでいい! ド変態の俺が代りに語る!」

と、仰る方々も最後まで聞いてほしい。
賛否両論あるだろうが、忌憚なく語る! 私は語り部だ。それで飯を食っているし、誇りもある。
以前私は語り法に抵触する危機を自らの機転でくぐり抜け、カタリナに喉を潰されずに未だにこうして語る事が出来ている。そうだ! 私は語ってよいのだ。
故に、その全てを! 融通無碍(ゆうずうむげ)に、当意即妙(とういそくみょう)に、自由闊達(じゆうかったつ)に、変幻自在(へんげんじざい)に、語らせて頂こう。
始めは見過ごすつもりだったのだ。
だが彼の話を思い出せば思い出す程、自分が考えていた物とものの見事に真逆を行っていて、怒りが激怒に、激怒が憤怒に変わってしまったのだ。その状態で冷静に居られる筈もない。この精神状態のまま、この先の話を語る自信はない。
恐らく鎌瀬に対して差別発言をし続け、私の印象が悪くなってしまうばかりか、皆さんにもその口汚い言葉を見た事で嫌な気分を味わわせてしまう危険性がある。
故にここで、私の考えを全て吐き出さなくてはスッキリしないのだ。
だから、ここは、リセットする意味も込めて、語らせてくれるか? この荒唐無稽な鎌瀬のトンデモ論を、その通り! あなたの言う通り! と認めてしまっては、私の沽券に関わる。しっかり反論を語らなければなるまい。
そうでなければ職務怠慢と指摘されかねないし、鎌瀬の為にもならない。
鎌瀬はまだ新米の芸人だ。まだまだ知らない事も多い故に、そんな偏って間違ったお笑い論を語ったのだろう。
そこを、お笑いをこよなく愛しつづけ、見る側ではあるが、鎌瀬よりも長い間お笑いに触れてきた私が、反論をしっかりと語らせていただく!
恐らく100行以上は語ると思うので、心してスクロールしてくれ。では、いくぞ!
 
 悪口や自虐ネタ、下ネタを主とする芸人にも、当然家族はある。
そして、その家族の者は、周りの人達からその芸風に対してこう言われたり、ネットでもこう書きこまれる可能性がある。

「あなたのお父さんは、自分の短所や人の悪口や下品な事をテレビで言う事でしか笑いを取る事が出来ない情けない人間だ。辞めてしまえ!」

とな……悲しい事だと思わないか? 

「お父さんは頑張って仕事しているだけで、何も悪くないのに……」

といくら心で思っていてもそう罵られ、蔑まれたり、笑われても何も文句は言えない。
何故ならそれはどうしようもない理由がある。
それは、そんなふざけた内容の仕事でも、仕事である事には変わりはないのだ。それで収入が発生し、豊かな生活が出来ているのだ。
それは、言い換えれば自分の短所や誰かの悪口で得た報酬だ。それだけではない! その上、サラリーマンの稼ぐ量よりも遥かに多くのお金を稼いでいる芸人も居る訳だ。芸人と言う括りには入っているが、蓋を開けてみれば、唯の悪口を公共の電波で言うだけのいじめっ子と言い換える事も可能である。
彼等の放つそのネタを小学生や中学の頃に、いじめを【していた側】は、そういうネタを楽しんで見る傾向がある。
何故なら自分が過去にしていた事が、笑いのネタとして取り扱われている事で、過去に自分達の犯した過ちは大した事ではなかった。と正当化出来、安心を得ると言う歪んだ気持ちから来るものなのだろう。
だが、心が狭い事を言う様かもしれぬが、そんな卑怯者達にまで私は笑って欲しいとは思わないのだ。そういう過去のある人達は、被害者を一生思い、反省し続け、ずっと苦しみを味わいながら、その心労が祟り、短めの寿命でこの世を去って欲しいとさえ思っている。
まあ、この類の人間は都合の悪い過去などケロッと忘れているから、100%あり得ない話だが……

 他者を虐げて引き起こされる笑いは、笑いであって笑いではない。断言する。いじめられていた過去を持つ人達は、そのネタを見たら過去を思い出し悲しんでいる筈だ。甘い事を言う様だが、全員が悲しむ事のない、純粋に笑える様なネタが良いのだ。
そんな事をしてお金を貰える仕事と言うのは、そう多くは無い筈だ。
だから、日々8時間労働をしている一般人にしてみれば、そんな事で自分の何倍も稼いでいる芸人は、目の上のたんこぶである。
そして、例え子供から

「パパはなんであんな変な事しか言わない変態な芸人さんよりお金が稼げないの? パパはあんな変な事を言う芸人さんよりも仕事が出来ない変態なの?」

と聞かれる事は無いとしてもだ。
その芸人がネタをやっている姿をテレビで見かける度に思い出されてしまうのだ。
それも下品な内容で笑いを取っているとなれば更に怒りは増す。

「自分はこんなに社会や人の役に立っているのに、その対価は貰えていない。
なのに、こんな下品なネタや、有名人のモノマネを人前で言うだけで……何でこんなに差が出るんだ……!」

 そういった心の中の憤りやもやもやが爆発して、関係者につい当たってしまうと言う事だ。
私の求める笑いとは、そのネタを放つ事で、陰で苦しむ人が一切出る事が無い笑いの事を言うのだ。
それは、ネタを披露した芸人側も、相手に笑って貰って快感を得て、心も懐も豊かになり、お客側も芸人自身の頭で練りに練ったネタを堪能し、感心と驚きと笑いを受け取り、心が豊かになると言う平和な笑いである。当然そのネタを見た後に、家族が批判される事も無い様な、誰もが納得出来るネタである。

 そう、練りに練ったネタには敬意すら覚える事が出来る。そんな珠玉のネタにはそんな力があるのだ。
そう言うネタを考える芸人の息子や娘は、同じお笑いの道を目指す事がある。いわゆる2世芸人だ。
彼らが繰り出すネタは、どれも親譲りの王道だ。ずっと親を近くで見てきて、幼いながらも自分の親のネタは素晴らしいと思ったからだ。
私の知る限り、親譲りの悪口ネタで有名になった2世芸人と言うのは余り見かけない気がする。考えてみれば当然だ。
親が、仕事とはいえ悪口を言っている姿を見て、自分もそうなりたいと思えないからである。
そして、お笑いの事を全く知らない素人の中からも、そのネタに感動し、自分もあの人と同じ様な面白ネタを思い付いてみたい! と、その芸人に憧れて弟子入りしたり、弟子入りせずとも、自分一人の力でその芸を追い越そう! と、独学での笑いの道を選ぶ人もいないだろう。

だが、素晴らしいネタであったら話が違う。素晴らしいネタは、それを幾つも見て来た人達の中から、お笑いを目指そうと思い立つ人間のやる気スイッチを押し、奮い立たせる鍵であると私は思っている。
それ程に強い気持ちを貰えるのが、そう言う練られたネタなのだ。
そう、全ての芸人は、王道のネタから生まれたのだ。それこそが生みの親と言い換える事も出来るのだ。
この大会に参加した、元モデルの梓のセリフを思い出してほしい。彼女もそういった動機で、モデルと言う華やかな職業から芸人に転身したと言う話もあった。恐らく彼女も親からモデルから芸人になれと言われてなった訳ではない筈である。
自らの意思で茨の道を進んだと言っていたな。
そう、殆ど全ての人間は、自主的にその道に進むのだ。理由は【あの人みたいになりたい】と言う曖昧な動機だけ。思っただけで誰しもなれるとは限らない。

 皆さんは【ネタ】の語源をご存じだろうか? 種のひっくり返した呼び方だ。
江戸時代から、的屋が、商売の糧となる商品の事をそう呼んだ。
ここから、各職業や商売において、店にとっての商品の様に核、糧となる物をそう呼ぶのだ。
そう、ネタとは芸人にとっての商品そのもの。商品を提供した後に陰で悪口を言われる様なお店はどうだろう?
いずれ客も離れていくに違いない。そして罵倒や誹謗中傷の的にもなる。
 
 そして、これは私の持論だが、ネタと言う言葉は【練った】と言う所からも来ているのでは? と考えている。
特にお笑い芸人のネタは、頭で練って練って練りまくり、練り終えた物がネタとして提供されるという事。
頭の中で練り上げる言葉の練り物である。
しかも、ただすり潰して固めただけでは駄目で、しっかりとそこに味付けまでしなくてはいけない。
そう、芸人のセンスと言う味付けをな。そして、今の時代のニーズに応える事の出来る物である必要もある。
いくら内容が良くても江戸時代に流行った物は、今の人にはあまり受け付けて貰えないからな。
そこまでしなければ面白いネタは生まれない。だが、それでも諦めず練り続けていれば、誰もが認めてくれるネタを生み出す事は必ず出来る! これは私も何度か体験している事である。

 だが人の悪口、自虐ネタの方はそこまで苦労する事も無く簡単に作れてしまう。まあ人の悪口を練ったらそれこそ捏造で最低の行為である。
当然度を越せば侮辱罪で訴えられる危険性も孕んでいる。
ネットが発展している今なら、そういう噂をサーチする事は容易に出来るのではないだろうか? こういうネタを私は【負のネタ】と呼んでいる。法律によって処罰される危険性まであるのに、客に見せても不快に感じそうなネタだとしても、作るのは簡単だから、そして、いじめっ子の気質がある人間が、こいつの悪口ならいいか。と、言う理由で作ってしまう。
そんな負のネタには、そういった感動という物は殆ど無い筈。人の悪口を沢山聞いた後、

「あー本当心に沁みるいいネタだったねー面白かったー」

と、本当の本当に心の底から思えるのだろうか? もしそうだとしたら精神科を受診する事を強く勧める。
もし、不祥事を起こして叩かれるべきであろう人間の悪口のネタを芸人が放ち、それで笑ったとしても、
「それだけ酷い事をしたのなら、ネタにされてもおかしくないわねw」と、笑ったとしよう。

だが、ここで良く考えて欲しいのだ。今まで知らなかった、ちょっと知っているくらいの芸能人の不祥事なのに、その芸人のネタで初めてその悪事を知って、

「なんて悪い奴! 許せない! こんな奴の事ならいくら笑っても構わないわ」

と言う正義の心が生まれたとしよう。だが、それはまやかしの正義の心だ。
エンターテインメントを堪能していた人間が、急に人伝(ひとづて)で聴いた噂で、正義の味方に変貌する方がおかしいのだ。
一時的に気持ちは盛り上がるが、一瞬で消える物だ。そして、それに腹を立てる事自体が確実に貴方の人生にとって無駄な時間なのである。

「え? どういう事なの?」 と仰る方に説明する。
例えばある有名人が不倫などの不祥事を起こしたとしよう。だが、その人が近所に住んで居て、いつも話をするような人なら話は別だが、これから関わり合う可能性が限りなくゼロに近い方が多い筈である。知っていて、自分からお金を払ってライブを見に行ったとしても、直接会う事はまず不可能だ。
そんな【現世】と切り離された様な存在の人の事を考え、あれこれ言う時間は、貴方の超絶大切なプライベートの時間を消費し行われる事が多い筈。
仕事中にそんな話は出来ないからな。そうなのだ! あなた達が、本来リラックス出来たりスキルアップ出来る筈の時間そのものをその下らない話をする事で消失させている事に他ならないと言う訳だ。
そして、人間の脳のキャパシティは限界がある。その下らない情報で脳を満たせば、それだけ他の重要な事を覚えられるスペースが減る。
芸人が、自分のネタにそういう悪口や噂話を面白おかしくした物を入れるのは、仕事であり、そこから収入が発生する。
だが、それを見たあなた達は、その、人生で全く必要のない情報を頭に植え付けられただけ。と、言える。いや……それどころか後で誰かに話すと言う種を植え付けられてしまったのだ。あなたの脳のキャパを下らない情報で埋めただけでなく、大切な知り合いの方の時間と容量までも奪う可能性もある。
そういうどうでもいいネタを平気で言う芸人は、恨まれるべき。まで言えると思う。

 そして例え、その類のネタをお笑いの舞台で聞いた直後は、その場の雰囲気や、お金を払って見た物だから、面白いと思わないと何となく損してしまうと言う錯覚で、うっかり笑ってしまう事もあるかもしれない。
そして、そうでもなかった芸人だけど、そのライブ以降好きになってしまう事もあるかもしれない。
これは、【一貫性の原理】と言って、お金を払ったんだからいい物に違いないんだ。と言う固定観念が強く残ってしまい、それを誰かに面白くないよ! と指摘されたとしても

「そんな筈は無い!」 

と意地を張ってしまうのだ。そう、いつの間にか自分が意図して選択し惚れ込んだと勘違いしてしまう。

 だから、お金を払ってまで見たあの芸人は面白いと思い込み、ファンになる。
だがもう一度自分に問うて欲しい。自分は本当にそんなネタを見たかったのか? お金を払って見たけど、ちょっと違ったな……と、折れる勇気も必要なのだ。
そして、負のネタを見た後、会場を後にし、帰りの電車内? もう少し後になるかもしれないか? おうちでお風呂に入っている辺りでか? 冷静になった時、あなたは高確率でこう思う筈。

「確かにあの場面では笑っていたけど何で私、あんな下品なネタで笑っちゃったんだろう? 私、もっとお上品な筈なのに……私ってお下劣だったのね……」

とな。まあそこまで酷く自己嫌悪に陥る事も無いとは思うかも知れぬが、それに近い気持ちにはなる筈なのだ。私はそうなる事が多い。
お笑いライブなどで唐突に出る負のネタは正にハズレ、事故としか思えない。
正直、どの芸人が、いつそれを出してくるかなんて事は、誰にも予想が出来ないからな。
お笑いライブと言う物は、芸人が新しく作った、未知のネタを見たいが為に時間とお金を払って見に行く物なのだからな。
その唐突の下ネタに対応出来ず、うっかり大笑いしてしまって一緒に来た伴侶にドン引きされて後悔する。お笑いライブあるあるである。
こんな事を回避するには、楽屋でネタ合わせ中の芸人を盗聴でもしない限り絶対に分からない。
だが、寧ろ分かってしまったら、本来の目的であるネタの内容全てを覗いてしまう訳で、見た時の楽しさが半減する。
もはや、負のネタは来る物だ、と予め覚悟するしかないのだ。
お笑いライブに行くという事は、そういうリスクもあるという事なのだ。
宝箱はミッミクだった。とならない様に、宝箱鑑定呪文のイパンスがこのリアルにも存在すればよいのだがな……
それでも回避したいよって方は、これから行くお笑いライブで、出来れば負のネタに会いませんように”! と、神社でお祈りしてから行くしかないのだ。理不尽ではあるがな。

そして……ぬ……大分語ってしまった様で……ゲホッゲホッ……少し喉が……仕方ない。今回はここまでにしておこう。

「おい! いい所で切るんじゃない! 意気地なし!」

「え? 中途半端じゃない! この意気地なし!」

「何で? ちょっと無責任すぎやしませんか? この意気地なし!」

「そんな事は駄目よ? 許さない逃がさないユルサナイニガサナイ許さない逃がさないユルサナイニガサナイ許さない逃がさないユルサナイニガサナイ許さない逃がさないユルサナイニガサナイ許さない逃がさないユルサナイニガサナイ」

「続きは気になるけど体も大事よね。わかったわ、休んでいいわ。この意気地なし!」

「語り部が疲れてしまったみたいだ……仕方ないな。ほれ! バトンタッチだ! 代りに俺が語るよ!」

おおみんな……その様に挑戦的な言葉をかけて私の闘争心を煽ってくれて……嬉しいぞ? だが悪いが喉が限界なのだ。
何を言われようともここで一旦休憩するぞ。ではまたな!
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