第3話 第3章
文字数 1,150文字
夕食を作っている最中に彩が帰宅する。思ったよりも早かったな。彩が家で夕食を食べるのは何日振りであろうか。
「澪は元気にやっていたのかしら?」
「うん。楽しかったみたいだよ、って直接聞きなよ…」
「それが、あの子私の顔見たら部屋にスッて入って行って。よっぽど疲れたのかしら。」
おいおい… 澪…
夕食が出来上がり、僕が部屋に呼びに行く。
「ごはんできたよ。おいでー」
「はーい…」
食卓についた澪は、彩と目を合わせようとしない。彩も遠足の様子なぞ一切聞かず、静かにナイフとフォークを動かす。
「ねえ、なんか凄く高級な肉使っていない?」
不意に彩が僕に問いかける。
「スーパーで買った、特売の和牛だけど…」
彩はムッとして、
「ハンバーグなんて安い肉使えばいいわ。どうせ子供に食べさせるのだから。こんなことしているから、お金貯まらないのよ。」
「ご、ごめん。今夜は澪がお泊まり遠足よく頑張ったみたいだから…」
「こんな小さい頃から贅沢覚えさせちゃダメでしょ。でないと臑齧りの誰かさんみたいになっちゃうわ」
僕は苦笑いしながら頭を掻き、
「そ、そうだね。ごめんなさい…」
ガチャンとフォークを皿に放り投げ澪が、
「ごちそうさま。おやすみなさい。」
と言って席を立ち自分の部屋に戻って行った。皿にはまだハンバーグが半分残っている。僕はそれをラップに包み冷蔵庫に入れる。
赤ワインを飲みながら、彩は澪の最近の生活態度の不満を色々指摘し、ボトルが空くとシャワーを浴びる、と立ち上がる。それが済むと自分の寝室に入って行った。
それからしばらくして、澪がそっとリビングに顔を出す。
「パパ。あの人もうねた?」
ヒソヒソ声で囁く。
「おい、あの人って… うん、ママはもう寝たよ」
ホッとした表情で、
「パパ。おなかすいた。」
僕は思わず吹き出しながら、
「さっきの残り。温めなおそうか?」
「うん!」
「澪、なんでさっきは途中で部屋に戻ったんだい?」
「ん、きゅうにねむくなったの。ごめんねー」
「いや。いいよ。それよりおなかいっぱいになった?」
「もういっこ、たべたーい」
「よーし。すぐに焼いてあげるからねー」
フライパンを温め、小さめのハンバーグを手際よく焼き上げる。
「パパっておりょうりじょうずだよね。みおもじょうずになりたい!」
「よーし。明日一緒に夕ご飯つくろうか?」
澪の目がキラリと光る。
「ほんと、やった、ぜったいだよ!」
その時、彩がキッチンに入ってきて、。冷蔵庫のミネラルウオーターのボトルをラッパ飲みする。そして僕と澪を一瞥し
「甘やかさないで、と言ったはずだけど。私の言うこと聞けないなら二人共、この家から出て行きなさい。誰が養ってあげているのかしら。」
冷蔵庫の扉を強く閉め、妻は寝室に戻って行った。
その妻の背中を澪は睨めつけていた。
「澪は元気にやっていたのかしら?」
「うん。楽しかったみたいだよ、って直接聞きなよ…」
「それが、あの子私の顔見たら部屋にスッて入って行って。よっぽど疲れたのかしら。」
おいおい… 澪…
夕食が出来上がり、僕が部屋に呼びに行く。
「ごはんできたよ。おいでー」
「はーい…」
食卓についた澪は、彩と目を合わせようとしない。彩も遠足の様子なぞ一切聞かず、静かにナイフとフォークを動かす。
「ねえ、なんか凄く高級な肉使っていない?」
不意に彩が僕に問いかける。
「スーパーで買った、特売の和牛だけど…」
彩はムッとして、
「ハンバーグなんて安い肉使えばいいわ。どうせ子供に食べさせるのだから。こんなことしているから、お金貯まらないのよ。」
「ご、ごめん。今夜は澪がお泊まり遠足よく頑張ったみたいだから…」
「こんな小さい頃から贅沢覚えさせちゃダメでしょ。でないと臑齧りの誰かさんみたいになっちゃうわ」
僕は苦笑いしながら頭を掻き、
「そ、そうだね。ごめんなさい…」
ガチャンとフォークを皿に放り投げ澪が、
「ごちそうさま。おやすみなさい。」
と言って席を立ち自分の部屋に戻って行った。皿にはまだハンバーグが半分残っている。僕はそれをラップに包み冷蔵庫に入れる。
赤ワインを飲みながら、彩は澪の最近の生活態度の不満を色々指摘し、ボトルが空くとシャワーを浴びる、と立ち上がる。それが済むと自分の寝室に入って行った。
それからしばらくして、澪がそっとリビングに顔を出す。
「パパ。あの人もうねた?」
ヒソヒソ声で囁く。
「おい、あの人って… うん、ママはもう寝たよ」
ホッとした表情で、
「パパ。おなかすいた。」
僕は思わず吹き出しながら、
「さっきの残り。温めなおそうか?」
「うん!」
「澪、なんでさっきは途中で部屋に戻ったんだい?」
「ん、きゅうにねむくなったの。ごめんねー」
「いや。いいよ。それよりおなかいっぱいになった?」
「もういっこ、たべたーい」
「よーし。すぐに焼いてあげるからねー」
フライパンを温め、小さめのハンバーグを手際よく焼き上げる。
「パパっておりょうりじょうずだよね。みおもじょうずになりたい!」
「よーし。明日一緒に夕ご飯つくろうか?」
澪の目がキラリと光る。
「ほんと、やった、ぜったいだよ!」
その時、彩がキッチンに入ってきて、。冷蔵庫のミネラルウオーターのボトルをラッパ飲みする。そして僕と澪を一瞥し
「甘やかさないで、と言ったはずだけど。私の言うこと聞けないなら二人共、この家から出て行きなさい。誰が養ってあげているのかしら。」
冷蔵庫の扉を強く閉め、妻は寝室に戻って行った。
その妻の背中を澪は睨めつけていた。