第4話

文字数 759文字

カラスは あんがい 小食でした
と思ったら すぐに こばらをすかせて
どんぐりを 二つ三つ 食べたりするのでした

「 吾輩は緊急時にも瞬時に羽撃けるよう、
  常時、躯を軽くしておきたいのですよ。」

カラスは 正直者のような
素朴な声質でしたが
会話のふしぶしからは 頑固な一面も
かいまみられました

「 植林されたコナラは 口に合わない 」
「 最近のシマバトは 礼儀を知らぬのう 」

こちらが 親しみを 感じたつもりで
つい くだけた言葉を使うと しばらく
口をきいてくれない みたいにもなりました

初対面で しかも
ふたりしかいないのに
口をきいてくれなくなるのは
たいへん 困ります

ですから
わたしは ことばじりなどを
きちんとした敬語 よくわかりませんが
けんじょうごみたいなものにして
ふたたび 会話をはじめますので ございました

カラスは ひとでゆうと 中年以降
黒いせいか ぼくとつとした印象があり
人間の有名人に例えるなら
むかしの映画にでていた
高倉健みたいな感じのおじさんかと思われました

なぜなら カラスは その高倉健のように
自分で自分のことを「不器用だ」と
くちばしを かたむけたからです

そこで つい わたしは
「 そんなこと ないゾ 」と
げんこつを作り 優しく 黒いおでこを
グリグリとして なぐさめてしまい また
カラスを 黙らせてしまいました

もしかしたら
こうゆう感じも

カラスの不器用さのいちぶ
なのかもしれない と思いました

このカラスからは
なんとゆうか
誇り高き とゆうか

傷つけては いけない
怒らせてはいけない
そのような 高貴なムードを
全体に まとっていました

それが
野生で生き抜いた証
なのかもしれません

このように 高潔な気質に
かたく守られた カラスの脳みそは
まだ 誰にもさわられていないみたいでした



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