、、、吉祥寺(2)

文字数 470文字

教室の扉をあけると、そこはまるでピンク・サロンかなにかのように妖艶に空気がくすんでいて、そうか今日は文化祭かと思いかけたが、まだ四月下旬なのだ。
ミラー・ボールがまわっているわけでもないのに、白っぽいふわふわしたものが、あちらこちら、よぎって過ぎるのは、文化祭でもないのにお化け屋敷でもつくったのか。
「おい、おまえらっ」いちおう教師らしく喝をいれてみるが、みんな仮面をつけているので、もちろん生徒たちの表情に変化はみられず、肩透かしをくらった形だ。
センセ、センセー、センセイと、あちらこちらから、女子生徒・男子生徒の声がするが、
「なにをやっちょるかっ。授業だ授業っ、吉祥寺にもほどがあるっ」と怒鳴ってみた。
目がダークな桃色世界に慣れてきてみれば、あちらこちらで、生徒が白骨化している。何者か白っぽい存在が室内を跳梁して、好き勝手、生徒たちを喰っているのだった。生きのいい肉はまだふんだんにあるからか、白っぽい者たちは私におかまいなしだった。
しかしこれは大変だ。すみやかに退室して鍵をかけ、被害の拡大を阻止する方向へと一歩ふみださねばなるまい。
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