Insects & Souls

文字数 383文字

なにか言葉を発するたび、半透明の人間が口から吐き出される現象が起きるようになってから、もう数日がたちました。
半透明の人間は口から出てくるときもあれば、出ないときもあるのです。
出てきたとしても、だいたいは、半透明の人間は空に駆け上っていって、それっきりです。

本を読んでいたとき、ポトリと何かが枕元に落ちたのが、視界の端にとらえられました。
ちょっとはハズんだのでしょう。そのほうに目をやると、5ミリにみたない丸っこい虫で、象の鼻のイメージに口吻が長い。番(つがい)なのか、数センチの距離をおいて、2匹いました。片方はシーツから何か吸っているのか触角もうごき、生命を感じさせ不気味です。
もう片方は死んでいるのか、なんの動きも示さず、生命を感じられないため、ちっぽけな種(たね)のように害は感じられませんでした。活動しているほうとはちがって、簡単に捨てることができそうです。
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