ストゼロ症候群

文字数 516文字

春だからといって、とくだん、しあわせが待っているわけでもないのだけれど、春を迎えたということが、それだけでしあわせなのだと思い込んでいるわけでもない。
しかしウカレてくるのだ。おかしな犯罪者が増えるのもこの季節である。
ぼくはストゼロが止まらない。ウマい飲み物じゃないのだが、中毒になるのだ。生産性はないし、このままでは大それた犯罪ではなく、軽犯罪をおかして、その罪悪感でゴールデン・ウイークを台無しにしかねない。人間、なにをしでかしたところで悪くはないのに、罪悪感というものがとりつくことがあるものである。
くだらないことに悩み、生産性がない。
「破廉恥になってやろう。そうだ、それしかない」そうつぶやいたとき、いつのまにか朝になっていて土やなんかで汚れて寝そべっているぼくには溢れる桜の間隙にパステルな青空がみえていたはずだが、また夜だった。また飲み続けて、時間経過の意識ゼロのまま、また夜になったものらしい。
ぼくの頭の横には体育座りした女の子がいて、やはりストゼロを飲んでいた。
「破廉恥、いいよね」前をむいたままそういった彼女はぼくといつからいるのだろう。

仲間ができていたのだ。
そして気がつけばもう、夕焼けがぼくたちを彩っているのだ。
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