The Big Nowhere

文字数 564文字

繁華街にキラめくネオン管がピンク色に香る宵のこと。
ボディコンのOLとハイレグのJDにはさまれて、ぼくはメトロポリスの路地を歩いていた。ぼくは彼女たちに腕をはさまれ、流血していた。彼女たちは文句なしの美女だが、手がハサミなのだ。
「痛いなー。けっこうマジで痛い」ぼくはマジのうめき声をもらした。
「そんなこといってー。おウチにお持ち帰りしようってんでしょ、こんなに酔わせて」キャハハとOLがわらう。
「なによー。わたしんチにつれてくんだからっ。彼ったらわたしのハイレグすがたのとりこになってんのが、わかんないの?」
ぼくとしては、このままでは何処かにつくまえに失血で死んじゃうんじゃないかと心配だった。けっこう飲んでるので、流血が過剰にスムーズだ。
「きみたち手がハサミだけど、おウチどこなの? とおいとこじゃない?」
「あたしんチなら、スグそこ」とOLが、ハサミではさんだぼくの腕をグイグイひっぱって、「ジュースの空き缶おちてるでしょ? あの飲み口にあいた暗い穴」
「ハ」と、ぼくは一声わらったが、なんだかズンズンぼくは(OLも)小さくなっていく。
「ああ、ズルーいっ」という、空をやぶるような轟音が、いまや巨人となったハイレグ水着の女子大生から発せられ、ぼくは腕の骨に食い込むOLのハサミにひきずられ、空き缶の洞窟へと入っていくのだった、、、
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