ガッコで

文字数 1,080文字

キーンコーンカーンコーン、カーンコーンキーンコーン、キーンコーンカーンコーン、カーンコーンキーンコーン、、、
「ああ、きもちよく寝てたのにヨッ」おれは邪魔されて、もう自然と、意思にかかわらず目がうっすらあいちまった。
「ばかッ、起きるでねええ、ほかの生徒の邪魔ダッ」センコーが、おれのほう見て吼えてらア。
数学の授業で寝たのが、英語まえのチャイムで起こされちった。
「なんでガッコに刀なんぞ、もってきた!」またセンコー吼えてきた。チョーク投げんなヨッ。逆だべ、おれ起きたんだ。
おれは背中に刀しょってきだんだった。肩に手をのばして柄(つか)をつかんで、日本刀がまだちゃんとあることをたしかめる。とられてねえや。
「ああ? 先日のことよッ。寝てるあいだにキットカットとられただ!」
「妄想いうなッ おまえのおやつはみんなのものだッ」
「それがセンコーのいうことかよ?」
「んだよ。そーだ。センコーのゆうこった」あたりめーだろ、ちがくねえよっていうスッキリしたセンコーのいいぐさ。
「ラチがあかねえ、たたっきったる!」肩の刀の柄に手をかける。ばかなこというでねーッ。
おれが青筋うかべてフガフガいいだすと、
はははははっは、ははー、と教室にクラスメートの哄笑がワンワン湧いた。
「鼻くそも切れねーだべー? おおぐちたたいてよ」「くそくってねろや」「どっから盗んだ刀だー?」「おんめの墓の土饅頭にさしてやらー」「うんだ、土饅頭くってろやー。だどもそりゃオメの墓だぞ」口々にクラスメート、ごちゃごちゃごちゃごちゃいってくる!
「クラスメートになにいうだ! ばかメらッ」どなりかえしてやったものの、髪の薄い30代のセンコーは黒板に英文書きつつ、ふりむきふりむき授業を開始した。
ムカつくぜ。
あっ、おれのキットカットは? 今日もとったのか?
おれがカバンや机や床や、あちこち目をさまよわせているとパンティがおれの頭に降ってきて顔を包み込んで貼りつきよった。
爆笑、どでかい爆笑の教室。涙がにじむのがくやしい。
「センコー! どうしてくれる!」
「なんぬ、ゆってんだオメ? パンツかぶるな、何回ゆったらわかる? ばかッ。 なー、みんな?」センコーのムカつくいいかた、だけんど、それにのっかちまう教室、
「おかしなやつだな、パンツかぶっちゃうんだからな」「ゆだんもすきもねえ」「パンツ、だれのだべ?」「気にすっとこか、ソレ?」「ヘンタイは、あいつだけでじゅうぶんだー」クラスメートがのんびりガヤガヤしよる。
ああ、たえられん。おれは立ち上がって日本刀ブンブンふりまわした。見えねーッ、パンティがおれの目じゃましてるーッ
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