ほんとはわたしなのよ、それしたの

文字数 338文字

医師になったばかりの新人時代、不良だった、わたし。
ダニと蜘蛛とマグロと冷蔵庫と患者とをパーフェクト・バランスで継ぎ接ぎ(ツギハギ)し、退院させた。当時はSNS全盛だったから皆こぞって騒ぐだろうしとおもって、そして新人ならではの苦しみに負けて、わたしはそんなことしたわよ。
それはバズったわよ。誰がしたのかなんてわかんないから、わたしは炎上なんかまぬがれ、天才的個人研究を重ねられたし、とうとう男性・女性の区別なんかぜったいできない、モノと生物の区別もつかない、そんな、なんていったらいいかしら、絨毯みたいに平たくて、もちろん空を飛べる人間の作成にも成功した。

それでわたし、こうおもうのね。
わたしは未来をつくったんだって。祖先をたどることもできないし、たどる意味も、もうないのよ。
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