、、、吉祥寺(5)

文字数 273文字

教師になど向いていないことにハッキリと気づいていた。とにかくもう学校を去ることだ。顔やスニーカーから溶解した焼きソバを手で払うと、わたしは廊下を端まで歩き、そのまま階段を下りて昇降口から校庭を歩き去った。振り返っても仕方ない。
こうなったら井の頭公園にいって、「いせや」などが並ぶ階段の下の大きな木の傍の水道で顔を洗うつもりだった。
そこにむかう、池に沿った小路を歩いていると、
「センセイ」という、かぼそくすすり泣くような声がすぐ後ろにきこえ、白骨化した手が私の肩にのった。「たいへんだったんだから」髪と顔の表面が半分だけのこった女の子がそういった。
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