『実は臆病? 君子のツァラさん』
文字数 2,336文字
草木も寝静まる真夜中。おもては真っ暗闇だ。
暖かな部屋でうたたねをしていた老人は、突然のノックでたたき起こされる。
手に灯をもち、寝ぼけ眼で扉を開けると、扉の外には、亡者を背負った見知らぬ男がたっていた……。
「わしのところに来たのは誰だ。わしの浅い眠りをさまたげに来たのは」。
「ひとりの生者とひとりの死者だ」とツァラトゥストラは言った。「食べるものと飲むものを与えてくれないか。わたしは昼ひなか、飲食を忘れていた。飢えた者に食を施せば、回復するのは施した者の魂だ、と、ことわざにもある通りに」。
まず、『飢えたものにはつらい土地』~『だからこそここに住んでいる』というあたりが奇妙だな。なぜ『だからこそ』なのかは省略されているのか書かれていない」
「だって、お日様にだって偉そう発言してたんですよ?(『前口上~太陽をおまえ呼ばわり』参照)
あのぐらい元気なツァラさんなら、こう言わなきゃ嘘ですよー
『君よ、老人よ! いったい君の幸せもなにものであろうか、もし君のパンとワインを施す相手がいなかったならば!』
なんてふうに絶対言ったはずです」
やはり臆病なのか? いや、おそらくは、僕と同じく付き合ってられない連中とは会話せずに去っただけの、危うきに近寄らない君子、なのだろうなきっと……)