『眠れ良い子よ〜ねむねむ賢者の安眠法』
文字数 1,695文字
『眠ることを誇り、眠らぬことを恥ずかしく思うがいい! これこそ何よりも大事なことだ! よく眠れぬ者、夜おきている者とつきあうな!
泥棒でさえ人の眠りをさまたげることを恥ずかしく思っている。だから夜中に足音を忍ばせてあるくのだ。』
『 十度、お前は昼の間に、自分自身に打ち克たねなくてはならない。そうすれば快い疲労が訪れ、それは魂の阿片となる。
十度、お前はさらに、自分自身と和解しなくてはならない。自分に打ち克つことはつらいことだから、和解できない者はよく眠れなくなる。
十の真理を、お前は昼の間に見つけなければならない。さもないとお前は夜にも真理を探し求めねばならず、お前の魂は空腹なままだ。
十度、お前は昼の間に笑って、ご機嫌でいなくてはならない。さもないと夜中、胃袋という悲しみの父が、お前の差し障りとなるだろう。』
ツァラトゥストラが代弁する賢者のような説教者は未だに似た者がいるそうだ(すくなくとも100年前にはいたらしい)
……現代もそうなのだろうか?
だが、彼らの時はもう過ぎ去り、彼らももう長くは立っていられない、はやくもその身を横たえ、眠りにつこうとしている。