『ダンシング・スター』
文字数 2,440文字
しかし、人間を愛する彼は諦めない。頭の上で綱渡り師が渡り始めたというのに、そんなことよりも、と地球人類最後の男、『末人』についての説明をつづけていたのであった。
今こそ人間がみずからの目標を立てるべき時である。人間がみずからの最高の希望の
まだいまは、人間の
かなしいかな。やがてその時は来るだろう。人間がもはやどんな星も生み出さなくなる時が。かなしいかな。もっとも軽蔑すべき人間の時代が来るだろう。もはや自分自身を軽蔑することのできない人間の時代が来るだろう。
ひとみの方を向いたれいかは彼女にこんな情報を与えた。
それと、スターとは違いますけれど、そのあとの
『もはや自分自身を軽蔑することのできない人間の時代が来るだろう。』
というところも、なんとなく、わたくしはわかる気がしますわ。
最近のSNSには、自分の間違いを認められない方や、謝ったら負けと思っている方々も多い気がしますし……」
この図書室の地下では、外界とは関係なく、幸せな時間がゆっくりと流れているかのよう。