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文字数 966文字
平日は火曜日。
私はこの日もいつも通りの時間に起きると、母の朝食を堪能してから家を出て、学校へと向かった。
学校ではのんびりと午前中の授業を消化し、昼休みには久しぶりに知り合いと昼食を一緒に楽しんだりした後で、満腹感と疲労感から来る睡魔と戦いながら午後の授業をやり過ごす。
放課後には知り合い二名からお誘いがあったものの、ありがたいと思いつつ辞退して――代わりに次の誘いは断らないことを約束させられてしまったけれど――まっすぐ家に帰った。
相変わらずねぇ、と母に呆れられながら、私は部屋に戻って部屋着に着替えると課題や予習復習を片付けるべく机に向かう。
途中で階下に居る母から夕食のお呼びがかかり、作業を途中で中断したりしながらも、なかなか片付かない課題に四苦八苦しながら作業を続けて。
「……っ」
――不意に鳴り響いた携帯のアラームで、びくりと体を跳ねさせる。
作業に集中していると時間を忘れることが多いので、毎日同じ時間に鳴るようにアラームを設定していて、それが鳴っただけなのだけれど。
……集中している最中に鳴ると、やっぱりびっくりするな。
アラームを止めながら改めてそんなことを考えつつ、携帯の液晶に映った時間を見る。
表示されたデジタル文字が示す時間は午後十一時。
予定よりも進んだ作業の量に満足しながら、勉強道具を片付けて部屋を出る。
向かう先は下の階にあるお風呂場だ。
今からお湯を張り、ゆっくりと湯船に浸かって一日の疲れを解きほぐせば――布団に入るのは零時を回るくらいの頃になることだろう。
と言うか、実際にそうなった。
「…………」
いつも早く寝ないとなぁと考えつつ、こんな時間まで起きているのだから呆れるばかりであるが、そうし続けては居られない。
明日も平日であり、学校に行かなければならないのだ。いつぞやのように軽く寝坊して、朝食を摂り損なうようなことはあってはならない。
そう結論付けてから、さくっと登校の準備を終わらせて、布団に入ると。
私の意識は割とすぐに、まどろみの中に溶けていった。
そして、いつも通りであれば次に目覚めたときは朝になっている――はずだったのだけれど。
そのときの私は、見覚えのない場所に立っている自分に気付いてしまったのだった。