第12話 このカラダで男やってきたん?

文字数 976文字

 どれくらい時間が経ったんだろ
 ずうっと夢中になって唇重ね合わせてた。

 キスし疲れて唇が離れても、抱き合ったまま二人、じっと見つめ合っていた。
 ふと右の胸に、手のひらが乗っていることに気づいた。

「今日は大胆だね…」

「これでもどうにか抑えてる…
 今日のユウキ、めっちゃ可愛い…
 その服、よう似合ってるし…
 一日中ドキドキしっぱなしやった…」

 そう…
 胸に置かれた憲斗の手のひらに、自分の手を重ね合わせた。

「ちっちゃいでしょ…」

「めちゃめちゃ綺麗やん!忘れられへん…」

「えっ…」

 そっか…
 憲斗、見たことあったよね
 一度、みんなの前で服脱いだことあった
 あの時、憲斗もいたもんね…

「ユウキ、このカラダで男やってきたん?無理やで、そんなん…」

 わたしの目をじっと見つめながら、なぜか悔しそうにそう呟いた。それから力いっぱい抱き締めてくれた。
 憲斗はいつも分かってくれてた…
 
 そうなんだ
 このカラダで男の子やってきたんだ
 心配してくれるほど辛くはなかったけど
 それでも、結構しんどかったな…

「形も全然オトコのと違う…、これ、オッパイやん。これかて…、チ、ク、……」

「フフッ…、ブラの上からでも分かるでしょ?だから、ちゃんとブラしないとね…」

「もうオトコの振りなんかせんでええよ…
 今日もずっと周りのオトコの視線感じまくっとった。メチャ綺麗やもん…」

 そうなんだ…
 憲斗に夢中で周りに気がいかなかったけど…

 すると唐突に…

「ユウキ、もう一度…見たい…」

そう言って胸に乗せた手のひらを、ほんの少し握るような仕草をした。

「見るだけでいいの?」

 意地悪く言ってみた。

「い、いや…、あの…、多分…、そんなわけにいかんやろけど…、正直、それで終わる自信、全然ないんやけど…、それでも…」

「いいよ、憲斗なら…
 好きにして!」

笑ってそう答えた。だって憲斗、ちゃんと順序踏んでくれてるもんね。強引なことしたり、無茶なことしないもん。今だって了解求めてくれてるし…

「ちょっと待ってね…」

憲斗から身を離すと、バンザイして上の服をさっさと脱いだ。
 自分でも驚くほど積極的
 憲斗も驚いてる

 今回は見られる機会はないだろな…と思ってたけど…
 勝負下着つけてて良かった!
 このブラ、美優と一緒に選らんで買ったの…
 お気に入りなんだ 
 
 待ってね…
 ブラを取ろうと後ろに手を回した、その時…


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