第4話 美優、綺麗だよ…

文字数 814文字

 でもね、撮影が進むに連れて、ギャラリーの視線は圧倒的に美優に注がれていったんだ。
 そりゃそうだよね。男の子はもちろん女の子たちもみんな、憧憬の眼差しで美優を見つめている。ずっと動きっぱなしなのに、どんなに繊細で素早いアクションもほとんど完璧にこなしてる。これにはシオンちゃんもビックリな様子。時に大きな拍手や歓声まで沸き起こる。子どもたちだって大喜び!
 カッコいい…
 それにやっぱ、美優、綺麗だよ。
 容姿だけじゃないんだ。身のこなしや彼女が放つ雰囲気、そして何より、身体全体で釣り合いのとれた曲線を描く生き生きとした躍動感。
 マジ、見とれてしまう…



「美優、お疲れ!」

 ハアハア肩で息してる美優に冷たいドリンクを差し出す。

「あっ、ありがとう!ユウキもお疲れ!」

「ううん、美優に比べれば全然お疲れじゃない…」

「そんなことないよ、ユウキだってずっと出ずっぱでたいへんだったじゃん」

 そう言って美優は笑う。
 笑顔も綺麗。
 僕もつい釣られて笑いに引き込まれる。



 それとね
 この後、もっと美優を好きになる出来事があったんだ。
 それはね…
 お風呂

 ホテルには男女それぞれ、温泉の湧き出る立派な大浴場が設けられている。それがここの人気の一つにもなっている。
 部屋にバスルームもあるんだけど、ちょっと窮屈。でも、お風呂はさすが"ウリ"にしているだけのことはあってとても立派だし、ホンモノの温泉が湧き出ている。だから、みんな一日の疲れを癒しに温泉に浸かりにいくのを楽しみにしている。

 僕は去年、ほとんど部屋のバスルームで済ませた。ただ、最終日の一日だけ、みんなが気を遣ってくれて、女子が入った後、一人で女湯に入らせてもらったんだ。
 とても感謝しているよ。ただね、何となく広いところに一人で浸かっていても落ち着かないし、みんなに悪い気がして…。それで、今年は部屋のバスルームで済ませようと思っていた。特にそのこと自体、全然気にしてなかったんだけど…
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