第7話 パフェとか…

文字数 1,207文字

「ああ、なんか、お腹いっぱいになってしもたなぁ…」

 ん…?
 満足感の中にも、何やら不安が垣間見えるもの言い。だから、すかさず言ってやったんだ。

「デザートなら別腹だから心配しないで!」

ってね。

 憲斗、えっ!て意表つかれた表情浮かべた。
 図星じゃん…

「憲斗のことだから、次に行くお店、考えてくれてたんでしょ?心配しないで。憲斗お勧めのお店なら、喜んで行くから」

 そう言うと憲斗は笑った。

「よし、じゃあ、行こ!ただ、なかなか手強いから覚悟しといてや。パフェ好きやろ?」

 当たり前じゃん!
 そんなのとっくに知ってるよね?

「行こ!行こ!」

 ちょっと食後のお散歩兼ねて、辺りをプラプラしてからお目当てのお店に向かった。大阪の下町らしい、趣のある町並みがとても親しみ感じる。ただ、日傘差して歩かなきゃいけないほど、日差しが強かった。腕に日除けのカバーも着けて。これでもね、日焼けには細心の注意払ってます…
 でも、考えることは…

 今日も暑いなぁ。冷たいもの食べたいな…。甘いもんなら最高だね。パフェとか…、パフェとか…、それに…、パフェとか…

 既にお店の前には、長い行列ができていた。ほとんど若い女の子。憲斗、何から何まで分かってくれてるんだね…

「うわっ!いっぱいやな…。でも、そんなに時間かからんと思うから、待とか…」

「人気あんだね。いつもこんなに混んでるの?」

「うん。いっつも行列できてる。」

「へえぇ…」

 どんなパフェ出てくんだろ。パッと見、有りがちな風貌の喫茶店だけど。
 二人であれこれお話しながら順番を待った。どのパフェが美味しいか、どのパフェが人気なのか、それに、どのパフェが憲斗のお薦めなのか、等々…、いろんな話題に花咲かせながら。
 ちょっと待たされたけど、丁度良かった。お陰で、心行くまでパフェを受け入れられる体制整えられた。
 ただ、それんしても…

 デカッ!!
 なるほど…、これは確かに手強いわ…
 さすがのユウキちゃんも絶句…

 唖然とした表情で、目の前の特大タワーを見つめるヒメを気遣ってくれたのか、

「あんだけ食った後に、ちょっとそれ、デカ過ぎたかな…。俺も初めての時はビビったもん。無理せんと残してや…」

って言った。
 それには、ムカッ!
 要らぬ心配なのだ。

「ヤだよ!全部食べるから!」

「そ、そうなん?」

「うん。憲斗のも美味しそうだから、ちょっともらうね」

「うん…、好きに取ってくれ…」

 で、あのね、やっぱ別腹なんだってわかった。甘いものって消化する場所が違うんだよ。そうに決まってる。教科書の内臓の絵、あれ、全部間違ってる。今度、文句言ってやろ!で…
 完食!

 満足してもらえるように、楽しんでもらえるように…、憲斗、事前にいっぱい考えてくれてたんだね。
 ホントになかなかできないことだよ。ありがとう。楽しいよ…
 で、心からの感謝の気持ちを込めて、憲斗のパフェの一番美味しそうな部分、ちゃんともらってあげました。
 

 
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